事業内容
近畿車輛株式会社は1920年創業、近鉄グループの一員として大阪府東大阪市に本社を置く鉄道車両専業メーカーである。西日本旅客鉄道・近畿日本鉄道をはじめとする国内主要鉄道事業者向けに電車を製造するほか、米国・カナダ・中東等の海外市場にも展開し、ロサンゼルス郡都市交通局やカイロ地下鉄向けの大型案件を受注・遂行している。
事業は鉄道車両関連事業(売上高の約97.7%)と不動産賃貸事業(東大阪・所沢の商業施設)の2セグメントで構成される。米国・カナダに複数の現地法人を持ち、海外案件の受注・組立拠点として機能させている。
ビジネスモデル
鉄道車両関連事業は受注生産型であり、受注から納入まで複数年にわたる長期プロジェクトを遂行する。当連結会計年度末の受注残高は113,226百万円と厚く、中期的な売上を担保する構造となっている。不動産賃貸事業は営業利益率87.6%と極めて高く、車両事業の業績変動を補完する安定収益源として機能している。
企業の強み
当連結会計年度末の受注残高は113,226百万円(前年同期比96.0%)に達し、カイロ地下鉄向け電車・ロサンゼルス郡都市交通局向け電車等の大型海外案件を含む。受注高は31,537百万円(前年同期比155.5%増)と大幅に拡大しており、複数年にわたる売上の可視性が高い。
西日本旅客鉄道との業務提携契約(2012年締結)を基盤に、当連結会計年度は同社向け販売高9,431百万円(全体の25.4%)、近畿日本鉄道向け7,573百万円(同20.4%)と上位2社で売上の約46%を占める。近鉄グループの一員という関係性も含め、主要顧客との継続的な取引関係を構築している。
不動産賃貸事業は売上高847百万円に対し営業利益742百万円、営業利益率87.6%を誇る高収益セグメントである。東大阪・所沢の商業施設を中心に安定した賃貸収入を確保しており、受注生産型の鉄道車両事業の業績変動を補完するポートフォリオ効果を発揮している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の業績推移は、2024年3月期(売上43,154百万円・営業利益4,306百万円)をピークに2025年3月期(売上30,257百万円・営業利益232百万円)に急落し、2026年3月期は売上37,100百万円と回復基調に入ったものの営業損失234百万円に転落した。売上原価率の悪化(90.2%)が主因であり、外部要因として原材料・エネルギー価格の高騰と人件費上昇が製造コストを押し上げている。
営業活動によるキャッシュ・フローは15,630百万円と大幅改善したが、これは主に契約負債(前受金)の増加14,489百万円によるものであり、将来の売上計上に対応した前受けに過ぎない点に注意が必要。2027年3月期は売上53,000百万円・営業利益100百万円を会社予想としており、増収継続が見込まれるが利益率の本格回復は不透明。
成長戦略
受注済み大型海外案件の着実な遂行とDX・製造改革による収益体質強化。
カイロ地下鉄向け電車およびロサンゼルス郡都市交通局向け電車の最終組立工事等、受注済み大型海外案件を着実に遂行することで、受注残高113,226百万円を売上・利益に転換する。2027年3月期の売上高53,000百万円予想の主要ドライバー。
DXや製造設備改良によるものづくりの変革を推進し、売上原価率の改善を目指す。2026年3月期に売上原価率が90.2%まで悪化しており、製造効率化による原価低減が収益回復の鍵となる。再生可能エネルギー電力の活用によるコスト抑制も並行して推進。
資本効率の向上を目的として政策保有株式の縮減を進めており、2026年3月期に投資有価証券売却益961百万円を計上。売却収入1,363百万円をキャッシュとして確保し、財務基盤の強化に活用。自己資本比率は49.3%(前期57.1%)と低下したが、総資産増加(主に契約負債増)が主因。
省エネルギー化・CO2削減に向けた鉄道分野のGX対応要請を背景とした国内鉄道事業者の車両新造需要を取り込む。海外では納入実績のある鉄道事業者での新造計画を商機として、デザイン力・製造技術力を活かした最適仕様車両の提案により案件獲得を推進。
2026年3月期の受注高は31,537百万円(前年同期比155.5%増)と大幅増加。
最終更新: 2026年7月19日

