事業内容
株式会社ステムセル研究所は1999年創業の国内最大手民間さい帯血バンクである。出産時に採取されるさい帯血・さい帯(へその緒)を長期凍結保管し、将来の再生医療・細胞治療への利用に備えるサービスを提供する。
主要顧客は妊婦およびその家族であり、産婦人科施設との連携ネットワークを通じて顧客を獲得する。2026年3月末時点の累計保管検体数は11万件超と国内民間バンク市場の大半を占め、東京・横浜に細胞処理センター(CPC)と細胞保管センター(CCC)を自社運営する。
子会社STEMCELL INNOVATIONS PTE. LTD.(シンガポール)および株式会社ミルケアを通じ、東南アジア展開と関連新規事業も推進している。
ビジネスモデル
収益は「技術料」(細胞分離・検査・登録料)、「保管料」(年次継続収益)、「その他」(更新手数料等)の3区分で構成される。2026年3月期の内訳は技術料2,226,568百万円、保管料526,077百万円、その他58,698百万円(いずれも千円単位の原数値を百万円換算)。
保管料は契約時に前受金として計上し保管期間に応じて毎期認識するストック型収益であり、累計保管検体数の積み上がりとともに安定的に拡大する構造を持つ。
企業の強み
厚生労働省報告(2025年3月31日時点)によると、臍帯血取扱事業届出を行う民間バンク2社の合計保管数95,821件のうち当社保管数は95,005件と99%超を占める。さい帯保管事業においても国内民間企業で唯一の事業者であり、競合不在の独占的地位を確立している。
2011年よりISO9001を取得・維持し、2019年には国際認証基準AABBを取得。東京CPCおよび横浜CPCの両施設でPMDA実地調査を経た特定細胞加工物製造許可を保有する。これらの認証・許可は参入障壁として機能し、品質面での信頼性を裏付ける。
2026年3月末時点の累計保管検体数はさい帯血102,040件・さい帯12,135件の合計11万件超。保管料は契約年数にわたり毎期計上されるストック型収益であり、検体数の積み上がりとともに保管料収入が逓増する構造を持つ。2026年3月期の保管料売上は526,077千円に達している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期1,782百万円→2023年3月期2,091百万円→2024年3月期2,481百万円→2025年3月期2,679百万円→2026年3月期2,811百万円と5期連続増収を達成し過去最高を更新。ただし増収率は鈍化傾向。
営業利益は2025年3月期419百万円から2026年3月期203百万円へ約51%減少し、営業利益率は7.2%まで低下。シンガポール子会社の立ち上げ費用(販管費増)、人件費増、原材料価格上昇が主因。
2027年3月期予想は売上高3,100百万円(+10.3%)、営業利益100百万円(△50.7%)とさらなる減益を見込む。国内単体では増益見通しだが、連結ベースでは海外先行投資負担が継続する構図。
成長戦略
国内HOPECELL浸透・東南アジア事業化・臨床応用拡大・システム刷新の4軸
2024年11月開始の新保管プラン「HOPECELL」の市場浸透が順調に進み、さい帯・さい帯血合計の総保管数が大きく伸長。「保管料5年間分無料キャンペーン」を2026年6月まで継続し資料請求数・成約率の向上を図る。将来目標は年間保管検体数20,000検体(現状の約2.5倍、出生率の3%)。
STEMCELL INNOVATIONS PTE. LTD.のCPC・CCCを2026年5月中に完成・引渡し後、シンガポール保健省(MOH)の事業許可取得を経て2027年3月期半ばの稼働開始を計画。シンガポール(想定市場6,000件/年)・インドネシア(同3,000件/年)で将来的に50%シェア獲得を目標とし、中期的に東南アジア全域へ展開。
大阪公立大学(ASD)・高知大学(脳性麻痺)・米国デューク大学の臨床研究支援を継続。iPSポータルとの自家さい帯血由来iPS細胞製造・保管サービスの実用化検討、さい帯由来培養上清液の美容・自由診療領域への利用拡大、国際医療福祉大学との眼疾患治療共同研究(2025年12月契約締結)を推進し、保管細胞の活用機会を拡大。
老朽化した基幹システムの刷新を2027年3月期に実施予定。無形固定資産(ソフトウエア仮勘定)として203百万円を計上済みであり、準備は進捗中。システム刷新により業務効率化と顧客管理の高度化を図り、増加する保管検体数への対応力を強化する。
最終更新: 2026年7月19日

