事業内容
株式会社エヌ・シー・エヌは1996年創業、「日本に安心・安全な木構造を普及させる」ことを目標に、独自の木造建築システム「SE構法」を全国637社の登録施工店ネットワークを通じて提供する。主力の木造耐震設計事業では構造計算書の出荷と構造加工品の販売を行い、住宅分野・大規模木造建築(非住宅)分野・環境設計分野・DX分野の4領域で事業を展開。
連結子会社にKINO BIM(BIMソリューション)・木構造デザイン(非住宅構造計算)・翠豊(大断面集成材加工・施工)を擁し、構造設計から加工・施工までワンストップで対応できる体制を構築している。創業以来30年で3万棟超の構造計算実績を有する。
ビジネスモデル
登録施工店(工務店等)がSE構法を採用した物件を受注すると、当社は設計段階で構造計算書を出荷し、建設段階で構造加工品・SE金物・構造用パーティクルボード等を販売する。登録施工店からは登録料・月会費も継続的に受領する。
加えて省エネルギー計算サービス・長期優良住宅申請代行・BIMソリューション等の付帯サービスを提供し、工務店の業務課題をワンストップで解決することで顧客粘着性を高める収益構造を持つ。
企業の強み
1996年創業以来、SE構法による木造建築の構造計算実績は2026年3月末時点で3万棟超に達する。独自の立体解析構造計算ソフト(WOLF-3)と2025年4月取得の新構造評定「SE構法Ver.3」により、設計自由度と耐震性能を継続的に向上させており、競合他社が短期間で模倣困難な技術的蓄積を有する。
2026年3月末時点で637社の登録施工店を全国にネットワーク化しており、当期も新規38社が加入した。登録施工店はSE構法施工管理技士の資格取得が必須であり、参入障壁が高い。
このネットワークは構造計算・資材販売・省エネ計算・BIM等の複数サービスの販売チャネルとして機能し、収益基盤の安定性を支えている。
環境設計分野の売上高は2026年3月期に403百万円(前期比39.0%増)、省エネルギー計算書出荷数は4,315件(前期比34.0%増)と急拡大している。BIM事業を担うKINO BIMのMAKE ViZも売上高前期比13.0%増と好調。
これらは2025年4月施行の省エネ基準適合義務化を背景に需要が構造的に拡大しており、主力事業の収益補完機能を果たしている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期7,998百万円を底に回復し、2026年3月期は8,414百万円(前期比3.6%増)と増収を確保。住宅分野は出荷棟数減少(848棟・前期比6.0%減)も単価上昇(前期比6.9%増)でカバー、非住宅分野は4.5%増、環境設計分野は39.0%増と高成長。
一方、営業利益は152百万円(前期比14.6%減)と減益。販管費が2,127百万円(前期比7.2%増)に膨らんだことに加え、持分法投資利益が94百万円から7百万円へ急減したことで経常利益は36.0%減の187百万円となった。
外部要因として、2025年度の新設住宅着工戸数は71万1,171戸(前期比12.9%減)と市況悪化が続いており、建築確認申請の審査期間長期化も構造計算出荷数の減少(932棟・前期比5.8%減)に影響した。
成長戦略
法改正追い風を活かした住宅・非住宅の同時拡大とDX・省エネ分野の収益多様化
2025年6月提供開始のSE構法Ver.3により在来工法に対する設計自由度の優位性を拡大。2025年4月の法改正に伴う建築確認申請停滞で積み上がった受注ストックの消化により、2027年3月期のSE構法出荷数は1,041棟(前期比22.8%増)、住宅分野売上高5,468百万円(前期比15.0%増)を計画。
木構造デザイン・KINO BIM・翠豊との連携により、店舗・宿泊施設等の非住宅木造建築に対してワンストップ対応を提供。2027年3月期の非住宅構造計算出荷数278棟(前期比6.5%増)、SE構法出荷数156棟(前期比10.6%増)、売上高3,152百万円(前期比2.4%増)を計画。
2025年4月の省エネ基準適合義務化を背景に、省エネ計算出荷数は4,315件(前期比34.0%増)、長期優良住宅申請サポートは633件(前期比29.4%増)と急拡大。リノベーション・集合住宅・非住宅への対象拡大により、2027年3月期売上高485百万円(前期比20.4%増)を計画。
高画質建築空間シミュレーション「MAKE ViZ」の受注好調(2026年3月期売上高前期比13.0%増)を継続しつつ、BIMによる確認申請対応設計図書作成サービス「MAKE DoC」の展開を強化。将来的な確認申請電子化を見据えた先行投資として位置付ける。
最終更新: 2026年7月19日

