事業内容
株式会社名村造船所は1911年創業の独立系造船グループで、当社・函館どつく・佐世保重工業など13社の連結子会社・3社の関連会社で構成される。主力の新造船事業では伊万里事業所(当社)・函館どつくがハンディ型撒積運搬船から大型撒積運搬船・VLGCまで幅広い船種を建造・販売する。
修繕船事業では佐世保重工業・函館どつくが艦艇・民間船の修繕を担い、鉄構・機械事業では橋梁鉄構と舶用クランクシャフトを製造する。主要顧客は国内大手海運会社を中心とした国内外の船主であり、防衛省・海上保安庁向け艦艇修繕も手掛ける。
ビジネスモデル
船舶建造は受注から完工まで数年を要する長期受注生産型であり、受注時に前受金を受領しながら工程進捗に応じて原価を投下し、完工・引渡時点で売上を一括計上する。2026年3月期末の新造船受注残高は422,073百万円と売上高の約2.7年分に相当し、中期的な売上の視界が確保されている。
修繕船・鉄構・機械事業は短サイクルの受注生産で補完し、グループ全体の収益安定性を高める構造となっている。
企業の強み
2026年3月期末の新造船受注残高は422,073百万円(前年同期比7.1%増)で、同期売上高159,035百万円の約2.7年分に相当する。当期は大型撒積運搬船10隻・ハンディ型撒積運搬船5隻を受注し、グループ全体の受注残高合計は441,093百万円(前年同期比8.5%増)に達しており、中期的な売上の視界が確保されている。
2026年3月期末の有利子負債比率は15.4%(前年同期比1.6ポイント改善)と低水準を維持し、現金及び現金同等物は119,124百万円(前年同期比28,984百万円増)に達する。自己資本比率51.3%と財務健全性が高く、大型設備投資や不況期の資金需要にも対応できる財務基盤を自己資金で構築してきた実績がある。
佐世保重工業は海上自衛隊基地・米海軍基地に隣接し、大型ドック2基を含む5基体制の国内最大級修繕ヤードを保有する。函館どつくは関東以北唯一の大型船修繕拠点として機能する。これら3拠点が国内艦艇・巡視船の修繕工事で実績を積み重ねており、防衛・安全保障分野での参入障壁の高い競争優位を形成している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期83,423百万円の底から急回復し、2025期159,227百万円・2026期159,035百万円とほぼ横ばいで高水準を維持。営業利益は2026期28,085百万円(前期比4.7%減)と微減ながら高水準を継続。
経常利益は29,535百万円(同0.1%増)と実質横ばい。純利益の減益(26,245百万円→21,590百万円)は法人税等の増加(3,058百万円→7,873百万円)が主因。
外部要因として円安基調(売上高平均レート151.80円/US$、前期比1.80円円安)が収益を下支えした。受注残高441,093百万円が中長期の業績安定を担保している。
成長戦略
大型船・VLGC建造へのプロダクトミックス移行とGX対応設備投資による複合成長
伊万里事業所において大型撒積運搬船の連続建造を中心に、付加価値の高い大型LPG船(VLGC)建造を組み合わせる体制へ移行中。2026年3月期は移行初年度として大型撒積運搬船4隻を完工し工程は順調。2027年3月期は移行期として売上高170,000百万円を見込む。
政府のGX経済移行債を活用した支援を受け、ゼロエミッション船等の建造のための大型設備投資に着手。環境対応船の建造期間長期化・研究開発費増加(2026年3月期863百万円、前期比55.2%増)に対応した設備・能力強化を推進。
函館どつく・佐世保重工業の老朽設備更新・増強と各工場のスマートファクトリー化を推進。有形固定資産取得支出は2026年3月期6,752百万円(前期比27.3%増)と投資を加速。有利子負債比率80%を上限に借入増額・当座貸越増枠等の資金調達多様化も検討。
佐世保重工業の海上自衛隊・米海軍基地隣接立地を活かし、防衛費増額を背景とした艦艇修繕需要を取り込む。2026年3月期末の修繕船受注残高は10,226百万円(前期末比92.1%増)と急増しており、次期の収益改善が期待される。
最終更新: 2026年7月19日

