事業内容
IHIは1889年創業の総合重工業グループで、連結子会社127社・持分法適用関連会社18社を擁する。事業は「資源・エネルギー・環境」「社会基盤」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4セグメントで構成される。
主要顧客は防衛省・JAXA等の官公庁、国内外の航空会社・エンジンメーカー、電力・エネルギー会社、インフラ事業者など多岐にわたる。2026年3月期の売上収益は1,643,402百万円で、航空・宇宙・防衛セグメントが651,718百万円と全体の約40%を占め、成長を牽引している。
2040年に向けた「中長期の方向性」ではエアロスペース・エネルギー・インフラの3ドメインに注力する方針を明確化している。
ビジネスモデル
IHIは航空エンジン・発電設備・橋梁・過給機等の製品を製造・販売するとともに、納入後の保守・修理・スペアパーツ供給等のアフターマーケット(ライフサイクルビジネス)で継続的な収益を獲得する。特に航空・宇宙・防衛セグメントでは民間航空エンジンのスペアパーツ販売・整備が高収益を生み出し、セグメント利益率は17.2%に達する。
資源・エネルギー・環境や産業システム・汎用機械でも既設ストックを活用したサービス収益の拡大を推進している。
企業の強み
IHIはGE・RTX・Rolls-Royceとの長期技術ライセンス契約のもと、F100・F135・PW1100G-JM等の主要エンジンの製造・整備に参画する。2026年3月期の航空・宇宙・防衛セグメント売上収益は651,718百万円、セグメント利益は112,429百万円(利益率17.2%)に達し、グループ全体の利益の大半を創出している。
鶴ヶ島工場(2021年稼働)を整備拠点として保有し、修理棟の新設も進行中である。
IHIは「グループ経営方針2023」のもと、収益性の低い事業の売却を積極的に実行した。2025年度(2026年3月期)には運搬機械事業・IHI汎用ボイラ・IHI建材工業・新潟トランシス・明星電気等の譲渡を完了。
その結果、2026年3月期の営業利益率は10.1%、ROICは11.0%となり、「グループ経営方針2023」の目標(営業利益率7.5%・ROIC8%以上)をいずれも達成した。
社会基盤セグメントでは橋梁・水門で国内トップクラスのシェアを有し、首都高速大師橋更新工事が「IABSE AWARDS 2025」最優秀作品賞を受賞するなど技術力が国際的に評価されている。原子力分野では長年の原子炉重要機器製造経験を活かし、SMR向け鋼製モジュールのモックアップを完成させるなど、次世代原子力への対応も進んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2024年3月期にPW1100G関連損失で営業損失△70,138百万円を計上した後、2025年3月期に143,517百万円へV字回復。2026年3月期はさらに165,534百万円へ改善し、当期利益も160,992百万円と前期比42.8%増を達成した。
売上収益は1,643,402百万円と前期比微増にとどまるが、航空・宇宙・防衛セグメントの外部売上が648,135百万円(前期比+17.3%)と拡大し利益を牽引。外部要因として民間航空旅客需要の回復・防衛予算増額が追い風。
一方、資源・エネルギー・環境セグメントのセグメント利益は5,959百万円と前期の16,136百万円から大幅減少しており、収益構造の偏在が鮮明になっている。
成長戦略
航空エンジン・防衛を成長牽引役に、脱炭素技術を次の柱として育成しポートフォリオ改革を加速
民間航空エンジンのスペアパーツ販売・整備(MRO)需要の中長期的拡大を取り込む。鶴ヶ島工場新修理棟(2026年度稼働予定)による部品修理能力増強で需要増に対応し、アフターマーケット収益の更なる拡大を目指す。
日本の防衛予算大幅増額を背景に、防衛関連製品・システムの受注拡大を推進。宇宙産業の市場成長(衛星コンステレーション等)にも対応し、航空・宇宙・防衛セグメント全体の売上・利益拡大を図る。2026年3月期の同セグメント外部売上は648,135百万円と前期比17.3%増を達成。
アンモニアガスタービン等の脱炭素技術の実用化を推進し、カーボンソリューションのライフサイクルビジネス拡大を目指す。エネルギー安全保障意識の高まりを背景に、東南アジア等新興国での大型発電所プロジェクト受注も継続的に推進する。
住友重機械搬送システムの機械式駐車場事業承継(2025年11月効力発生予定)等によるスケール拡大と、収益性の高い事業への経営資源集中を推進。2026年3月期のセグメント利益は30,778百万円(前期比+185%)と大幅改善を達成。
大型プロジェクトの採算管理強化とコスト構造改革を推進。2026年3月期のセグメント利益は5,959百万円と前期16,136百万円から大幅に悪化しており、プロジェクト管理の高度化と選別受注による収益性回復が急務。
最終更新: 2026年7月19日

