地政学・経済安全保障リスク
中東情勢、中国の対日輸出規制、米国の関税措置等、国際的な地政学リスクが激化しており、川崎重工グループの多国間にわたる生産・販売拠点における調達・物流の停滞やコスト上昇が懸念される。日本の経済安全保障推進法をはじめとする各国規制への対応が不十分な場合、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性がある。対応策として、リスクの継続的モニタリング、代替調達先の確保、生産拠点の分散、販売価格への転嫁等を実施している。
コンプライアンス違反リスク
2024年に潜水艦修繕事業・舶用エンジン事業における不正事案、神戸造船工場での工数付け替え事案、潜水艦エンジンの燃費性能検査不正事案が判明し、社会的信用の失墜や損害賠償リスクが顕在化している。特別調査委員会による調査結果を公表するとともに、コンプライアンス特別推進委員会を新設し、「不正ができない仕組みの構築」「不正発見の強化」「組織風土・意識改革」の3本柱で再発防止策を継続実施している。法令違反や倫理違反が再発した場合、経営成績および企業価値に重大な影響を及ぼす可能性がある。
品質管理リスク
航空・防衛・エネルギー・鉄道等の社会インフラを含む多岐にわたる製品・サービスを提供する中、予期せぬ製品欠陥や品質不備が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜につながる可能性がある。2019年度より全社的なTQM推進専門組織を設置し、デジタル技術を活用した品質管理の高度化を進めており、2026年度には本社に品質保証総括部を新設して全社の品質管理体制を強化する予定である。
プロジェクト履行リスク
大型プロジェクトにおいて、見積・契約条件・技術仕様・履行能力・債権管理等に起因する損失リスクが存在し、過去にも契約条件の不備や解釈の相違から多額の損失を計上した事例がある。現在履行中の大規模水素サプライチェーン構築プロジェクト(NEDOグリーンイノベーション基金事業)を含む大型案件については、受注前のリスク審査強化と法務部門による事前チェック、経営会議・取締役会へのタイムリーな報告体制を整備している。プロジェクト遂行上のトラブルが発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
インフレによるコスト上昇リスク
国内外のインフレ進行および中東情勢の緊張を背景に、人件費・エネルギー価格・原材料価格・物流費の上昇が継続しており、事業計画の想定を超えるコスト増加や部品供給不足が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性がある。対応策として、販売契約へのエスカレーション条項の織り込みや調達品価格の高騰を販売価格へ適切に転嫁するとともに、継続的なコストダウン活動を実施している。
脱炭素トランジションリスク
AIやデータセンター需要拡大による世界的な電力需要増加を背景に、再生可能エネルギー・原子力の供給が追いつかない場合、火力発電への依存が継続し、当社グループが推進する水素関連製品への移行が想定より遅延するリスクがある。各国の脱炭素政策動向を注視しつつ、ガスタービン・ガスエンジン等のエネルギー事業を強化するとともに、天然ガスと水素の両方を燃料として利用できる「水素Ready製品」の充実を図ることでトランジション期の市場ニーズに対応している。
情報セキュリティリスク
業務プロセスのデジタル化進展に伴い、海外拠点を含むグループ全体およびサプライチェーンへのサイバー攻撃が増加傾向にあり、重要情報の漏洩・システム停止・身代金要求・工場生産システムへの攻撃等による損失リスクが高まっている。グローバルサイバーディフェンス体制の強化、セキュリティオペレーションの高度化、サプライヤーとの情報連絡体制の構築、サイバーBCPの整備等を推進しており、役員・従業員への継続的なセキュリティ教育も実施している。
人財の獲得・維持リスク
少子高齢化による労働人口の減少、人財獲得競争の激化、キャリア意識の多様化に伴う労働市場の流動化により、事業継続・成長に必要な人財の確保が困難となるリスクがある。「川崎重工グループHRポリシー」のもと、働きがいと働きやすさを実感できる環境整備に取り組むとともに、ロボット・AI・DXを活用した業務効率化により少ない人数で最大の成果を出せるマネジメントを推進している。
為替変動リスク
当社グループの業績見通しには一定量の為替変動リスクが含まれており、特に中東情勢が為替相場の短期的ボラティリティを上昇させるとともに、原油価格上昇を通じた長期的な為替影響も懸念される。実需の外貨建債権・債務に対して為替予約等のヘッジを実施するほか、パワースポーツ&エンジン事業を中心に為替影響分の価格転嫁、海外調達・海外生産比率の見直し等を通じてリスク低減に取り組んでいる。
資金調達・金利変動リスク
金融危機等により金融市場が正常に機能しない場合、想定どおりの資金調達が困難となる可能性があり、市場金利の急激な上昇は支払利息等の金利負担増加を通じて経営成績に影響を及ぼす可能性がある。また、借入金に付されたコベナンツ(財務制限条項)に抵触した場合、期限の利益喪失や一括返済要求により財政状態に重大な影響が生じるリスクがある。対応策として、資金調達手段の多様化、コミットメントラインを含む十分な融資枠の確保、固定金利での長期資金調達、サステナブルファイナンスの積極活用を実施している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

