事業内容
ニチコン株式会社は1950年創業の京都本社の電子部品・エネルギー機器メーカーで、コンデンサ事業とNECST事業の2セグメントを展開する。コンデンサ事業ではアルミ電解コンデンサ(導電性高分子タイプ含む)、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等を製造・販売し、車載・情報通信・産業用インバータ向けに供給する。
NECST事業では家庭用・産業用蓄電システム、V2Hシステム、EV急速充電器、スイッチング電源、医療・学術用特殊電源等を手掛ける。国内外25子会社・3関連会社を擁し、海外売上比率は50.7%(2026年3月期)に達する。
主要顧客は自動車メーカー、情報通信機器メーカー、エネルギー関連事業者等に及ぶ。
ビジネスモデル
コンデンサ事業ではマザー工場制と販売統括制を組み合わせ、国内製造拠点で高付加価値品を生産しつつ、アジア・米州・欧州の現地法人を通じてグローバルに販売する。NECST事業では家庭用蓄電システム等の環境関連製品を政府補助事業と連携しながら国内市場へ展開するほか、特殊電源は受注生産型で学術・医療機関向けに供給する。
研究開発費は年間7,279百万円(2026年3月期)を投じ、製品競争力を維持する。
企業の強み
業界最高水準の125℃・12,000時間保証チップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PCYシリーズ」や、従来比3ランク上の高容量・1.8倍高リプル化を実現した「GYGシリーズ」を市場投入。AIサーバー・車載ECU向けに高付加価値製品を自社開発・量産できる技術基盤を有する。
xEV向けDC-LINKコンデンサの主要材料である金属蒸着フィルムを自社開発・製造する垂直統合体制を構築。高耐電圧・大電流対応と車種ごとのモジュール設計技術を組み合わせ、国内外メーカーの多くの車種に採用実績を持つ。生産能力増強投資も継続中。
「SLBシリーズ」は2019年の販売開始以来、累計5,000万個以上を出荷するベストセラー製品。異常時の発煙・発火リスクが極めて低い安全性が評価され、環境発電との組み合わせ用途など新市場への展開も進む。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期の184,725百万円をピークに3期連続で減少し、2026年3月期は169,724百万円(前期比3.4%減)となった。ただし営業利益は6,456百万円と前期比24.1%増に転じ、2期連続の減益から反転。
売上総利益率は前期16.1%から17.7%へ改善し、コンデンサ事業の収益性急回復(セグメント営業利益前期比196.3%増)が主因。NECST事業は家庭用蓄電システムの新製品投入遅延・スイッチング電源の関税問題等で減収減益。
外部要因として生成AI投資の活発化がコンデンサ需要を押し上げた一方、中国経済の低迷・米国関税問題がNECST事業の重荷となった。包括利益は12,335百万円と前期4,040百万円から大幅増加し、為替換算調整勘定・有価証券評価差額金の改善も寄与した。
成長戦略
AI・車載・脱炭素の3成長テーマを軸に製品ラインアップ強化と生産能力増強を推進
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ・ハイブリッドアルミ電解コンデンサおよびAIサーバー電源用大形アルミ電解コンデンサの製品ラインアップ拡充と量産体制の確立を推進。開発から量産までのビジネスサイクルのスピードアップを含む供給体制強化を継続し、重点成長市場での受注拡大を図る。
xEV向けフィルムコンデンサは2026年3月期下半期に調整局面を脱し新規案件の量産を開始。2026年3月期設備投資のうちコンデンサ事業分6,001百万円の一部を充当し、生産能力拡大とさらなる新規案件獲得に注力。日系・輸入EV車の増加を背景に中長期的な需要拡大を見込む。
トライブリッド蓄電システム「ESS-T5/T6シリーズ」を2026年3月期下半期から販売開始。政府・地方自治体の補助事業との相乗効果を狙うが、新製品投入時期の遅れから当期は売上減少。
2027年3月期は本格寄与とGX ZEH対応・VPP展開を含むエネルギーマネジメントソリューション事業の拡大を目指す。
マザー工場制と販売統括制の強化によりワールドワイドでの開発・製造・販売の一気通貫体制を構築し、顧客要求への迅速な対応と競争力強化を図る。2026年3月期は設備投資7,568百万円を実施し、技術・開発投資と生産能力増強を継続。
最終更新: 2026年7月19日

