事業内容
FDK株式会社は1950年創業の電池・電子部品メーカーで、東京証券取引所スタンダード市場に上場。電池事業(売上高の約81%)ではアルカリ乾電池・ニッケル水素電池・リチウム電池・マンガン乾電池・蓄電システムを製造販売し、国内外の家電・セキュリティ・スマートメータ・住宅用警報器メーカー等に供給する。
電子事業ではスイッチング電源・トナー・各種モジュールを手掛け、エレクトロニクスセットメーカーへ納入する。国内製造拠点に加え、中国・台湾・米国・シンガポール・香港・ドイツ等に子会社を持ち、売上高の44.7%が海外ビジネスで構成される。
2025年3月にSILITECH TECHNOLOGY CORPORATIONが筆頭株主となり、資本構成が変化した。
ビジネスモデル
電池事業では自社工場および中国・台湾等の海外子会社で製造した電池製品を、国内外の機器メーカーや市販チャネルへ販売する。電子事業では固有の素材技術を活用したスイッチング電源・トナー・各種モジュールをセットメーカーへ供給する。
原材料(ニッケル・亜鉛・リチウム・レアアース)の調達コスト管理と技術VEによるコストダウンが収益性を左右する構造であり、為替予約等でリスクをヘッジしながら海外売上を確保する。
企業の強み
国内のセキュリティ・スマートメータ・住宅用警報器向けリチウム電池で継続的な売上増を実現。2026年3月期には高容量モデル「CR17500EX」(既存比17%容量向上)を開発・量産化し2026年2月より出荷開始。特定用途向けの製品開発力と量産体制が競合との差別化要因となっている。
SMD小型全固体電池SoLiCell®(高エネルギー密度モデル・定電圧充電対応モデル「SCD4532K」)、ニッケル亜鉛電池(2027年度中の量産開始目標、50社超に紹介済)、水素貯蔵タンク用高容量AB₂型水素吸蔵合金(AB₅型比約20%多い水素貯蔵量)など複数の次世代技術を同時並行で開発しており、研究開発費は793百万円(2026年3月期)を投じている。
ニッケル・亜鉛・リチウム・レアアース等の主要材料価格変動に対し、材料使用量の低減・安価材料へのシフト・リサイクル材活用・適切な時期での予約等の技術VEを組み合わせて対応。2026年3月期の電池事業セグメント利益は1,707百万円(前期比49%増)と、売上減にもかかわらず原材料価格変動対応と円安効果により大幅増益を実現した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期61,456百万円→2026期59,561百万円と横ばい圏で推移し、2026期は前期比3,610百万円減の減収。ニッケル水素電池の海外家電向け減少・設備関連ビジネスの一服・電子事業モジュール減少が主因。
一方、営業利益は2024期568百万円を底に2025期1,394百万円・2026期1,667百万円と2期連続増益を達成。技術VEによるコストダウン・外形標準課税減額・販管費削減が寄与。
外部環境としてロシア・ウクライナ情勢長期化・中国経済減速・米国高金利継続が需要の重石となっている。親会社株主帰属当期純利益は745百万円(前期536百万円)と増益。
自己資本比率は40.2%(前期35.2%)に改善。
成長戦略
中計「R3」で現行ビジネスの多角的拡大と事業ポートフォリオ多様化を推進
セキュリティ・スマートメータ・住宅用警報器向けリチウム電池の需要増を取り込み、高容量タイプの高出力円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池の開発により製品競争力を強化。2026年3月期に増収を達成しており、継続的な需要獲得が見込まれる。
高エネルギー密度モデルに加え定電圧充電対応モデルを開発し、顧客要求性能への対応幅を拡大。ただし前期の減損損失計上時に「従来製品仕様で汎用性が低い」と指摘されており、商業化・量産化に向けた課題が残る。
Energizer Holdings, Inc.とのブランドライセンス契約を締結し、より効果的なブランド体系を構築。物価高による消費者動向変化でアルカリ乾電池が減収となる中、ブランド力強化による売上・認知度拡大を目指す。
液晶ディスプレイ用途の生産終了等、不採算製品の整理を進める一方、トナーは増収を達成。2026年3月期に電子事業セグメント利益が△39百万円と赤字転落しており、残存製品の収益性改善が急務。
FUCHI ELECTRONICS CO.,LTD.によるFDK TAIWAN LTD.吸収合併(2026年3月31日実施)で事業効率化を図る。
2026年3月期をもって「R2」が終了し、2026年4月28日に「R3」を公表。「現行ビジネスの多角的拡大」「事業ポートフォリオの多様化」「失敗に学び成長を実感できる文化の醸成」を柱に掲げる。2027年3月期予想は売上高60,000百万円・営業利益1,400百万円。
最終更新: 2026年7月19日

