事業内容
日本電子株式会社(JEOL)は1949年創業の精密機器メーカーで、電子顕微鏡・分析機器・計測検査機器を中核とする「理科学・計測機器事業」、半導体製造向け電子ビーム描画装置等の「産業機器事業」、および2026年4月にシスメックスへ譲渡した「医用機器事業」の3セグメントを展開してきた。主要顧客は大学・研究機関・半導体メーカー・製薬企業等で、米国・欧州・アジアを含む世界33の子会社を通じてグローバルに販売・サービスを提供する。
2026年3月期の連結売上高は179,353百万円。
ビジネスモデル
自社開発の電子光学・分析技術を核に、透過電子顕微鏡・電子ビーム描画装置等の高付加価値製品を製造し、世界各地の販売子会社を通じて研究機関・半導体メーカー等に直販する。製品販売に加え、保守・サービス・周辺機器の仕入販売も収益源とする。
産業機器事業は売上高営業利益率40.2%と突出した高収益構造を持ち、グループ全体の収益性を牽引している。
企業の強み
産業機器事業は2026年3月期に売上高48,131百万円、セグメント利益19,363百万円、利益率40.2%を達成。スポットビーム型・シングルビームマスク描画装置の受注・売上が堅調に推移しており、半導体製造プロセスの高度化に不可欠なニッチ技術で高い参入障壁を形成している。
米国・欧州・アジア等に33の連結子会社を持ち、1949年の創業以来70年超にわたり電子顕微鏡分野で実績を積み上げてきた。理科学・計測機器事業の受注残高は53,058百万円(前期比105.7%)と堅調で、大学・研究機関・半導体メーカー向けに安定した引き合いが継続している。
2026年3月期の研究開発費総額は11,405百万円で、理科学・計測機器事業に7,632百万円、産業機器事業に2,387百万円を投下。設備投資総額も20,182百万円に上り、理科学・計測機器事業だけで15,493百万円を投資。
ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー㈱の連結子会社化によりNMR関連の技術基盤も強化した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期138,408百万円から2025期196,695百万円まで4期連続増収を達成したが、2026期は179,353百万円と8.8%減に転じた。営業利益も35,501百万円から26,017百万円へ26.7%減少し、売上高営業利益率は18.0%から14.5%に低下。
外部要因として米国の科学技術予算削減、中国経済の停滞、マルチビームマスク描画装置の需要回復遅延が重なった。一方、前期の投資有価証券評価損(12,381百万円)の剥落により純利益は22,097百万円(前期比18.2%増)と増益。
2027年3月期は売上高164,000百万円(8.6%減)、営業利益26,500百万円(1.9%増)を予想しており、売上の本格回復には時間を要する見通し。
成長戦略
「Evolving Growth 2.0」で半導体・ライフサイエンスに集中投資し2029年度に営業利益率20%・ROE15%以上を目指す
2025〜2029年度の5カ年計画として、半導体・ライフサイエンス分野への戦略的投資を強化。2026年3月期の有形・無形固定資産増加額は20,182百万円(前期7,030百万円)と大幅拡大し、建設仮勘定も12,784百万円(前期1,183百万円)に急増。生産・開発能力の拡充が進行中。
低収益(営業利益率0.4%)の医用機器事業を2026年4月1日付でシスメックスへ譲渡完了。理科学・産業機器の2事業への経営資源集中を実現し、事業ポートフォリオの高収益化を図る構造改革。譲渡価額は算定中で譲渡損益は未確定。
AIデータセンター向け光トランシーバに用いられるDFBレーザーの高性能化・多様化を背景に、量産立ち上げを含む製造工程向けの需要増加が期待される。シングルビームマスク描画装置とともに受注・売上は堅調に推移しており、産業機器事業の中核成長ドライバーとして位置付けられる。
目標配当性向30%を基本方針とし、2026年3月期の年間配当は132円(前期106円)、配当性向30.5%。加えて12,770百万円の自己株式取得を実施。2027年3月期も年間配当132円(配当性向30.5%)を予想しており、資本効率向上と株主還元強化を並走させる方針。
最終更新: 2026年7月19日

