事業内容
株式会社チノーは1913年創業、東証プライム上場の産業用計測制御機器メーカーである。「温度のチノー」として知られ、記録計・調節計等の計測制御機器、燃料電池・水電解評価試験装置等の計装システム、温度センサ・赤外線機器等のセンサの3事業を主軸とする。
国内製造拠点(藤岡・久喜・山形事業所)に加え、米国・中国・タイ・韓国・インドに連結子会社12社を擁するグローバル体制を構築。主要顧客は半導体・電子部品製造、自動車、熱処理加工、水素エネルギー、船舶等の製造業全般であり、2026年3月期の連結売上高は31,648百万円と6期連続で過去最高を更新した。
ビジネスモデル
計測制御機器・センサ・計装システムの製造販売を主収益源とし、稼働台数の増加に伴う定期校正・点検・修理等のアフターサービス収益を積み上げる構造を持つ。さらに「チノークラウド」の有償版サービス開始に向けた開発を進め、リカーリング型収益の創出を目指している。
受注型の計装システムは大型案件の受注・納期タイミングに業績が左右される一方、計測制御機器・センサは継続的な需要を背景に安定した収益基盤を形成している。
企業の強み
センサセグメントは2026年3月期に売上高9,188百万円、セグメント利益2,098百万円、利益率22.8%を達成した。受注高は前期比17.2%増の9,788百万円と売上高を上回る伸びを示しており、次期への成長モメンタムが蓄積されている。
明陽電機㈱による船舶向け温度センサの継続的な売上増加もセグメント収益を下支えしている。
計装システムセグメントは燃料電池評価試験装置・水電解評価装置・自然冷媒対応コンプレッサ評価試験装置を手掛け、2026年3月期に売上高11,695百万円(前期比17.4%増)、セグメント利益1,663百万円(前期比7.2%増)を達成した。三基計装㈱・アドバンス理工㈱を含むグループ技術力の集約により、脱炭素関連の受注型システム事業で差別化されたソリューションを提供している。
米国・中国(2拠点)・タイ・韓国・インドに連結子会社を展開し、計測制御機器の海外販売・現地生産体制を構築している。韓国チノー㈱は計測制御機器・計装システム・センサの3事業を担い、千野測控設備(昆山)有限公司は計測制御機器・計装システムの現地生産を行う。
中国生産品のグループ内取引拡大を通じた収益基盤強化も進めており、国内主要顧客の海外現地法人向けAI関連・環境配慮型投資案件の受注も獲得している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高31,648百万円(前期比7.9%増)、営業利益3,225百万円(同12.0%増)と6期連続の増収増益を達成し、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益のいずれも過去最高を更新した。営業利益率は10.2%(前期9.8%)と初めて10%台に到達。
セグメント別では計装システム(+17.4%)・センサ(+6.9%)が牽引し、計測制御機器(▲1.4%)は特定顧客向けOEM製品の一時的低迷で減収。外部要因として半導体・電子部品製造設備向け需要の堅調推移と脱炭素関連設備投資が追い風となった。
2027年3月期予想は売上高32,500百万円・営業利益3,300百万円と増収増益を維持するが、成長率は鈍化する見通し。
成長戦略
脱炭素・半導体・海外展開を軸に中期経営計画2026の総仕上げと次期計画策定を推進
2027年3月期(2026年度)は中期経営計画の最終年度。営業利益目標2,700百万円を2024年度に2年前倒し達成、売上高目標30,000百万円も2025年度に1年前倒し達成済み。最終年度は計測・制御・監視技術を活かした顧客価値創造と成長分野の開拓・拡大を継続する。
燃料電池評価試験装置・水電解評価装置・自然冷媒対応コンプレッサー評価試験装置の販売拡大を継続。中長期的な世界的脱炭素化の流れを前提に、計装システムセグメントの受注積み上げを図る。トランプ政権のエネルギー政策見直しによる短期的不確実性は認識しつつも中長期需要は継続と判断。
半導体・電子部品製造設備向け温度センサおよび明陽電機㈱による船舶向け温度センサの売上拡大を継続。受注高が前期比17.2%増と売上を上回る伸びを示しており、次期への成長モメンタムを維持。利益率22.8%の高収益構造を活かした増収効果による営業レバレッジの発揮を目指す。
現中期経営計画の最終年度にあたり、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す次期中期経営計画の検討を進めている。具体的な数値目標・戦略の開示は今後の予定。
専用クラウドサービス「チノークラウド」の有償版サービス開始に向けた開発を推進。計測制御機器・センサの稼働台数増加に連動したデータ活用サービスの提供により、ストック型の新たな収益源創出を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

