事業内容
アイコム株式会社は1954年創業の無線通信機器専業メーカーで、陸上業務用・アマチュア用・海上用・航空用の各無線通信機器を中心に、ネットワーク機器等の情報通信機器を製造・販売する。製造は国内(大阪・和歌山)に集約し、販売は北米・欧州・アジア・オセアニアの子会社を通じてグローバルに展開。
主要顧客は大手航空会社・鉄道会社・官公庁・公共機関・コーストガード等の業務用途から、アマチュア無線愛好家まで幅広い。国連・各国政府・大使館等からの需要もあり、有事の通信インフラとしての役割も担う。
2026年3月期の連結売上高は36,959百万円。
ビジネスモデル
コア収益は無線通信機器の製品販売であり、陸上業務用・アマチュア用・海上用・航空用の各カテゴリーで構成される。これに加え、IP無線機の回線利用料収入(ストックビジネス)が新たな収益柱として成長中。
2026年3月期にはAI搭載インカムアプリ「ICOM CONNECT」をリリースし、サブスクリプション型収益の創出にも着手。全製品を国内拠点で製造し、世界14の子会社を通じて販売する垂直統合型の事業構造を持つ。
企業の強み
創業以来60年以上にわたり国内生産を堅持し、開発・生産技術・製造の各機能を国内拠点に集約。設計から出荷まで一貫した品質管理体制を構築しており、この品質・信頼性が大手競合他社には参入困難な日本の国家機関への装備品納品を可能にしている。
2006年から行政機関より災害対策用移動通信機器の備蓄・貸出事業を継続受託している実績もある。
アマチュア用で培ったアナログ技術を基盤に海上用・航空用へ展開し、デジタル通信・IPネットワーク技術を業務用無線機の高度化に応用。さらに世界初の量産SHFアマチュア用無線機を市場投入し、24GHz帯モジュール開発にも成功。
異なる無線プロトコル間の通信ノウハウやハイブリッド製品開発により、単一技術基盤から複数製品ラインを効率的に展開できる点が競合との差別化要因となっている。
IP無線機は端末販売に加え回線利用料による継続収益を生み出すストック型ビジネスを実現。大手航空会社・大手鉄道会社等のインフラ運営に不可欠な機材として導入されており、代替困難な社会インフラとしての地位を確立。
2026年3月期にはAI搭載インカムアプリ「ICOM CONNECT」をリリースし、スマートフォン向けサブスクリプション型収益の新規創出にも着手している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は36,959百万円(前期比1.4%減)と2期連続の伸び悩み。国内は13,525百万円(前期比8.2%増)と堅調だったが、海外は23,433百万円(前期比6.2%減)と米州(11,311百万円、前期比6.9%減)・アジア・オセアニア(5,510百万円、前期比15.8%減)が大幅減収。
営業利益は2,913百万円(前期比21.7%減)、営業利益率7.9%(前期9.9%)に低下。人件費・試験研究費増加で販管費が13,283百万円(前期比2.7%増)に膨らんだ。
経常利益は為替差益428百万円の計上により3,812百万円(前期比2.3%減)にとどまった。特別損失に訴訟和解金400百万円を計上し、当期純利益は2,665百万円(前期比9.7%減)。
包括利益は投資有価証券評価差額・退職給付調整・為替換算調整の改善により6,921百万円(前期比130.2%増)と大幅増加。2027年3月期は売上高37,500百万円・営業利益3,800百万円を予想(前提:米ドル153円・ユーロ180円)。
成長戦略
「中期経営計画2026」満了後の次期中計策定中、ストックビジネス拡充・北米再構築・国内システム販売強化が柱
無線機単体販売からオプション・周辺機器を含むシステム販売へのシフトを推進。官公庁向け営業体制を見直し、入札案件・システム案件の獲得を拡大。2026年3月期は国内セグメントが増収を達成し、陸上業務用無線通信機器・付属品その他が牽引した。
スマートフォン向け多機能AIインカムアプリ「ICOM CONNECT」をリリースし、通話・一斉連絡・音声文字起こし機能を提供。サブスクリプション型収益モデルによる安定的なストック収益の積み上げを目指す。2026年3月期にリリース済みで本格展開フェーズへ移行中。
電子部品調達難解消後の余剰在庫調整が長期化した北米市場で、営業体制の再構築とディストリビューターへの製品トレーニング・マーケティングサポートを実施。2026年3月期末時点で在庫は概ね正常化したとされるが、関税・通商摩擦の影響で収益回復は道半ば。
「中期経営計画2026」の期間満了に伴い、次期中期経営計画を策定中。2026年5月中を目途に公表予定。新計画ではストックビジネスの海外展開・スマートファクトリー化・新製品投入サイクルの加速等が盛り込まれる見通し。
最終更新: 2026年7月19日

