事業内容
日本電波工業株式会社(NDK)は1948年創業、水晶振動子・水晶発振器・応用機器・人工水晶・光学製品等の水晶関連製品を原材料から製品まで一貫製造・販売する専業メーカーである。国内子会社2社・海外子会社10社を含む計15社体制でグローバルに事業を展開し、車載・移動体通信・産業機器・防衛・光学の5市場を主要顧客層とする。
製品は欧米・アジア・日本の自動車メーカー、通信機器メーカー、AIデータセンター向けに供給されており、2026年3月期の売上高は54,629百万円。東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
原材料(人工水晶)の製造から水晶振動子・発振器の加工・組立・販売まで垂直統合した一貫製造体制を持つ。国内外の製造子会社に生産を委託しつつ、北米・欧州・中国・東南アジア・台湾の販売子会社を通じてグローバルに製品を供給する。
売上構成は水晶振動子が39,513百万円(全体の72%)、水晶発振器が9,094百万円(17%)、その他が6,021百万円(11%)。
企業の強み
人工水晶の製造から水晶振動子・発振器の加工・組立まで自社グループ内で完結する一貫製造体制を保有。光学市場では水晶原石の世界最高水準の高純度が競争優位の源泉と有報に明記されており、プロ仕様カメラ市場で高いシェアを有する。この垂直統合体制は品質信頼性と安定供給力の基盤となっている。
2026年3月期に800Gbps/1.6Tbps光トランシーバ対応の2520・2016サイズ差動出力発振器、世界最小クラスOCXO(AIデータセンター向け+85℃対応)等の開発を完了。車載向けでは世界初の次世代車載通信向け1612サイズ水晶振動子も開発完了。
研究開発費は2,830百万円を投じており、次世代製品の継続的な市場投入体制を整備している。
有報において「長年にわたりグローバル車載顧客との取引実績を有し、品質信頼性と安定供給力を競争力の基盤として事業を展開」と明記。売上高の約半分を車載向けが占め、欧州・北米・日本の主要自動車メーカーへの供給実績を持つ。
AEC-Q100/Q200準拠製品の開発完了など、車載品質規格への対応力も示されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期ピーク(52,508百万円)後の調整を経て2026年3月期に54,629百万円と過去最高を更新したが、営業利益は3,355百万円と過去5期で最低水準。研究開発費(2,830百万円)・DX投資に伴う減価償却費の増加が主因で、売上総利益も前期の16,063百万円から15,710百万円へ減少した。
当期利益は法人所得税費用の大幅減少(1,162百万円→487百万円)により2,065百万円(前期比15.2%増)と改善。外部要因として欧州向け車載需要の伸び悩みや移動体通信向けの減少が逆風となった一方、AIデータセンター・防衛向けが追い風として機能した。
成長戦略
「Five Pillars + One」でAI・防衛・車載等5市場を軸にVision2030を目指す
光トランシーバ・AIサーバ向け発振器の販売拡大を2027年3月期増収の主牽引役と位置付け。2026年3月期に産業機器向け売上が増加しており、需要取り込みが進展中。2027年3月期予想売上高60,600百万円の達成に不可欠な施策。
基幹システム刷新(棚卸資産評価方法を総平均法へ変更)を含むDX投資と最先端製造ライン更新を推進。2026年3月期の有形固定資産取得支出は5,701百万円と前期(3,664百万円)から大幅増加。当期利益を一時的に押し下げる要因となっているが、将来の生産性飛躍的向上を目的とした先行投資フェーズ。
防衛向けを中心とする特機向けは2026年3月期に前年同期比増収を達成。その他品目(防衛・光学等含む)は6,021百万円(前期比11.3%増)と高成長。2027年3月期予想でも特機向けの売上増加を見込んでおり、ポートフォリオ変革「Five Pillars + One」の重要な柱の一つ。
ADAS(先進運転支援システム)の高機能化を背景に車載向け売上の伸長を見込む。2026年3月期は欧州向けが伸び悩んだ一方、日本向けが増加し、年度後半にはメモリ価格上昇を背景とした安全在庫確保の動きも寄与。2027年3月期予想でも車載向け増収を計画。
従業員雇用・設備投資に係る国・地方公共団体からの補助金を活用。2026年3月期に政府補助金115百万円を営業収益として計上し、非流動負債に政府補助金繰延収益1,032百万円を計上(前期8百万円から大幅増加)。先行投資フェーズにおける財務負担の軽減に寄与。
最終更新: 2026年7月19日

