事業内容
池上通信機は1946年創業、東京証券取引所スタンダード市場上場の情報通信機器専業メーカーである。コア技術であるIP&T(撮像・画像処理・伝送技術)を基盤に、放送局・公営競技向けの放送システム事業と、セキュリティー・医療・検査装置を手掛ける産業システム事業の二本柱で事業を展開する。
国内では日本放送協会をはじめとする放送局や官公庁(防衛省含む)、医薬・鉄道・プラント市場を主要顧客とし、海外では米国・ドイツ・シンガポールの連結・非連結子会社を通じて北米・欧州・アジア太平洋地域に販売網を持つ。開発から生産・販売・サービスまでを一貫して担うメーカーとして、宇都宮プロダクトセンターと藤沢システムセンターを生産・開発拠点とする。
ビジネスモデル
自社のコア技術で開発した放送用カメラ・映像システム・検査装置等を国内外の顧客に直接販売するほか、医療用カメラでは海外OEM供給も収益源とする。大型放送システムや官公庁向け案件はSI(システムインテグレーション)力を活かした受注生産型で高付加価値を実現する。
売上の第4四半期集中という季節性が強く、受注残高の積み上げが翌期業績の先行指標となる構造を持つ。
企業の強み
国内放送局・公営競技市場への大型放送システム複数納入、官公庁向けヘリコプター電送システム・受信基地局設備の大幅伸長など、長年の取引実績に裏打ちされた顧客基盤を有する。NHKへの販売高は2,582百万円(売上高比12.1%)と安定的な取引関係が継続している。
撮像・画像処理・伝送技術(IP&T)を自社コア技術として、宇都宮プロダクトセンターと藤沢システムセンターで要素技術から製品化まで一貫開発する体制を持つ。MoIP対応「IPX-100」、4K高感度医療カメラ「MKC-835S」、錠剤外観検査装置「TIE-10000」など複数分野で独自製品を継続投入している。
米国・ドイツ・シンガポールに現地法人を持ち、北米・欧州・中東・アジア太平洋地域で販売・サービスを展開する。2026年3月期の北米放送カメラ販売は前期比62%増の980百万円と大幅拡大しており、海外OEM事業(医療用カメラ)でも北米新規OEM先への大型案件納入実績を積み上げている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高は18,470百万円(2022期)→22,146百万円(2023期)→21,603百万円(2024期)→20,734百万円(2025期)→21,329百万円(2026期)と20,000〜22,000百万円の狭いレンジで推移。営業利益は2023期に△997百万円の赤字に転落後、2024期794百万円→2025期254百万円→2026期407百万円と回復基調にあるが、水準は低い。
2026年3月期は売上総利益率の改善と国内放送・官公庁向け大型案件の複数納入が利益回復を牽引した。外部要因として円安による為替差益(60百万円)も経常利益を下支えした。
2027年3月期は大型案件の一巡と研究開発費増加により再び営業利益が300百万円へ低下する見通し。
成長戦略
放送IP化・OEM拡大・官公庁深耕・資産効率改善による収益構造の安定化
IPエクステンションユニット「IPX-100」および4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」の販売促進により、国内外の放送局市場に加え非放送局市場でのシェア拡大を目指す。次世代放送を見据えたトータルシステムソリューションの提案力強化を推進中。
内視鏡・顕微鏡用カメラの海外OEM供給拡大と新規OEM顧客獲得を継続推進。北米では医療用カメラの新規OEM先への大型案件で納入実績を拡大。中国・欧州では顕微鏡OEM先の需要低迷・在庫調整が継続しており、回復には時間を要する見通し。
防衛省をはじめとする官公庁や鉄道・プラント市場を最注力領域と位置づけ、監視カメラシステム・ITVシステム・ヘリコプター電送システム等の大型案件獲得を推進。2026年3月期は官公庁向け大型案件の複数納入が売上増に貢献した。
塩浜事業所(神奈川県川崎市)の土地・建物を2026年12月に譲渡予定。売却益1,227百万円を翌期特別利益に計上し、固定資産圧縮損569百万円を特別損失に計上予定。システムセンター新棟(藤沢市)への生産移管により生産効率向上を図る。
医薬市場向け錠剤検査装置・錠剤印刷装置のシェア拡大に加え、検査自動化ニーズの高まりを背景に産業市場向け平面検査装置・粉体検査装置の販売拡大を図り、事業規模の拡大を目指す。2026年3月期は医薬市場向けが順調に推移した。
最終更新: 2026年7月19日

