事業内容
タムラ製作所は1924年創業の電子部品・電子化学材料メーカーで、当社・子会社34社・関連会社6社で構成される。主力の電子部品関連事業ではトランス・リアクタ・電流センサ等を製造し、米国データセンター向けPDU・UPS用大型トランス・リアクタが業績を牽引する。
電子化学実装関連事業ではソルダーペースト・ソルダーレジスト・感光性カバーレイ(PICC)・実装装置を展開し、車載・AIサーバー・スマートフォン向けに供給する。情報機器関連事業は2026年10月に事業譲渡予定で、グループはクリーンエネルギー関連市場への経営資源集中へ転換を進めている。
日本・米国・欧州・ASEAN・中国に生産・販売拠点を持つグローバル体制を有する。
ビジネスモデル
国内外の製造子会社で生産した電子部品・電子化学材料を、当社が仕入れて販売するほか、製造子会社から海外販売子会社へ直接出荷する体制を採る。電子部品は受注生産型で大型トランス・リアクタ等を高付加価値品として供給し、電子化学材料はソルダーペーストの連動相場制価格設定など市況連動型の収益構造を持つ。
両セグメントが各々約33億円のセグメント利益を稼ぎ、グループ全体の収益を支える二本柱構造となっている。
企業の強み
2010年に英国子会社がROMARSH LIMITEDを取得し大型トランス・リアクタ市場に本格参入。欧州再生可能エネルギー市場で主要メーカーの厳格な品質基準をクリアした設計技術をグローバル標準として展開し、急成長する米国データセンター市場への迅速な参入を実現した。
この技術蓄積は競合が短期間で模倣困難な自社固有の競争優位である。
電子化学実装関連事業は2026年3月期に売上高39,876百万円・セグメント利益3,334百万円(セグメント利益率約8.4%)を達成し、グループ利益の約半分を担う高収益セグメント。ソルダーペースト・ソルダーレジスト・感光性カバーレイ(PICC)・実装装置と多製品を展開し、車載・AIサーバー・スマートフォンと顧客分散が図られている。
2025年7月に先端パワーエレクトロニクス技術研究所を設立し、同年10月には東北大学と「先端パワーエレクトロニクス共創研究所」を設置。2026年3月には東北大学との共同研究で透磁率を飛躍的に高めた圧粉磁性体を開発し磁気デバイスへの展開を開始した。
独自素材からの一貫体制による垂直統合モデルで次世代パワー半導体向け受動部品の競争優位構築を目指している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期88,328百万円から2026期123,559百万円へ5期連続増収・過去最高更新。外部要因として生成AI普及によるデータセンター需要拡大と素材価格上昇に連動した電子化学材料の売上増が寄与。
営業利益は5,287百万円(前期比1.8%増)と増益を確保したが、営業利益率は4.3%と中計目標に未達。親会社株主帰属当期純損失は△1,385百万円(前期は2,782百万円の利益)と大幅悪化。
これは体質改善に向けた特別損失3,662百万円の集中計上によるもので、法人税等合計も2,742百万円と高水準。訂正後の営業CFは2,851百万円、投資CFは△4,803百万円(電子化学実装製造棟新設等)。
成長戦略
中計「One TAMURA for Next 100」でクリーンエネルギー注力・ROE8%達成を目指す
放送・音響領域の情報機器事業を2026年10月1日付で第三者に譲渡予定。赤字セグメント(2026年3月期セグメント損失△566百万円)を切り離し、クリーンエネルギー関連市場への経営資源集中を具体化。
中国生産拠点削減を実施し、田村汽車電子(佛山)有限公司の持分を2026年6月末に譲渡予定(特別利益約700百万円を2027年3月期計上見込み)。HEV向け車載用昇圧リアクタの生産を日本に集約し、収益性向上と日本・米国・ASEAN地域への供給拡大を図る。
電子化学実装事業の製造棟新設を中心に有形固定資産取得支出5,471百万円を投下。AIサーバー向け感光性カバーレイ(PICC)等の需要拡大に対応する供給体制を整備し、2027年3月期以降の売上・利益拡大の基盤を構築。
中期経営計画最終年度目標として営業利益率7%以上・ROE8%以上を設定。2027年3月期は営業利益5,600百万円(過去最高の2018年3月期超え)・当期純利益4,500百万円を予想し、収益構造転換の通過点と位置付ける。2026年3月期の営業利益率は4.3%と目標に未達。
最終更新: 2026年7月19日

