事業内容
株式会社ワコムは1983年設立のデジタルペン技術の世界的リーダーである。事業はテクノロジーソリューション事業(AES・EMR方式デジタルペン技術のOEM供給)とブランド製品事業(クリエイター向けペンタブレット・液晶ディスプレイ)の二本柱で構成される。
テクノロジーソリューション事業は連結売上高の約75%を占め、サムスングループをはじめとするグローバルメーカーへのペン・センサーコンポーネント供給が主軸。ブランド製品事業はグラフィックデザイン・映像制作・医療・金融・官公庁など多様な顧客層を対象とする。
東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
テクノロジーソリューション事業では、AES・EMR両方式のデジタルペン技術をタブレットPC・スマートフォンメーカーへOEM供給し、2025年3月期に売上高86,936百万円・セグメント利益率21.3%の高収益を実現。ブランド製品事業では、プロクリエイター向けペンタブレット・液晶ディスプレイを直販・代理店経由で販売し、ビジネスソリューション(金融・医療・官公庁)も展開。
研究開発費は年間8,686百万円を投じ、技術優位性を維持する。
企業の強み
AES・EMR両方式のデジタルペン技術を保有し、タブレットPC・スマートフォン市場で事実上の標準化を推進。サムスングループへの販売額は2025年3月期に48,534百万円(連結売上高比42.0%)に達し、グローバルメーカーからの高い信頼を示す。
UPF(Universal Pen Framework)パートナーとのWGP規格推進も継続中。
2025年3月期のテクノロジーソリューション事業のセグメント利益は18,495百万円、利益率21.3%。前年同期比12.2%増益を達成し、EMRテクノロジーソリューションのOEM需要増加が牽引。連結売上高の約75%を占める中核事業として安定的な利益創出基盤を形成している。
研究開発費は2025年3月期に8,686百万円を投じ、日本・米国・ブルガリア・英国・台湾・中国にまたがるグローバル開発体制を構築。XR・AI・セキュリティ領域への技術融合を推進し、Preferred Networks(1,000百万円出資)等との戦略的パートナーシップも活用している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は109,995百万円(前期比△4.9%)と減収となったが、営業利益は13,382百万円(前期比+31.1%)と大幅増益を達成し、過去5期で最高水準を記録した。当期純利益も9,548百万円と前期の5,225百万円から急回復。
ブランド製品事業の黒字転換と固定費削減効果が利益を押し上げた。外部要因として為替変動がグローバル売上に影響を与えた可能性があるが、今回の訂正は連結貸借対照表における建設仮勘定の独立掲記に関するもので、業績数値への影響はない。
有形固定資産合計(5,521百万円)・固定資産合計(17,579百万円)・資産合計(64,957百万円)は訂正前後で変わらず、内訳の組替えのみ。
成長戦略
Chapter4でXR・AI・セキュリティ領域の新事業収益化と資本効率改善を同時追求
前期の事業構造改革による固定費削減効果が顕在化し、2026年3月期にブランド製品事業が4期振りに黒字転換。Wacom MovinkPad 11・Pro 14やCintiqミドルレンジ新製品の投入によりポータブル・ミドルレンジ市場での売上拡大を図る。
教育市場での事業機会拡大、業務用モニター上でのインク体験(SYNCORE TECHNOLOGY社への出資)など新ユースケースを開拓。AES・EMR両方式の技術標準化を推進し、OEM顧客の多様化によるサムスン依存度低減を目指す。
新中期経営計画Chapter4においてXR・AI・セキュリティ等の新領域への事業展開を推進。デジタルペン技術の応用範囲を拡大し、既存OEM・ブランド事業に依存しない新収益源の確立を目指す。売上成長の回復が課題であり、具体的な収益貢献の時期が注目点。
海外一部地域を日本からの直売モデルへ変更するなど販売オペレーションの効率化を推進。資本効率改善を中計目標に掲げ、ROE向上に向けた施策を継続。2026年3月期の当期純利益急回復(9,548百万円)が資本効率指標の改善に寄与する見込み。
最終更新: 2026年7月17日

