事業内容
サンケン電気は1946年創業の独立系パワー半導体メーカーで、パワーモジュールおよびパワーデバイスの設計・製造・販売を主力事業とする。国内に石川・山形・福島・新潟の製造子会社を持ち、韓国・中国・タイ・インドネシア等にも生産・販売拠点を展開するグローバル体制を構築している。
主要顧客は自動車(ハイブリッド車・内燃車向け空調システム等)、白物家電(エアコン・洗濯機等)、産業機器(業務用空調・AIデータセンター等)の各市場に広がる。2026年3月期は連結売上高80,175百万円(単一セグメント)。
2024年8月にAllegro MicroSystems, Inc.を持分法適用関連会社化し、半導体デバイス専業体制へ移行した。
ビジネスモデル
前工程(ウェーハプロセス)から後工程(実装・パッケージング)まで自社グループで一貫製造し、独自のSPP(Sanken Power-electronics Platform)によるプラットフォーム化で開発効率を高める。製品は自社および海外販売子会社を通じて自動車・白物家電・産機市場の顧客へ直接販売する。
海外売上高は連結売上高の約59.79%を占め、主に米ドル建で取引される。研究開発費は売上高の6.74%(5,400百万円)を投じ、GaN・SiC等次世代デバイスの開発も推進している。
企業の強み
ウェーハプロセスから実装・パッケージングまで自社グループで一貫製造する体制を持ち、SPP(Sanken Power-electronics Platform)によるプラットフォーム化で設計改革・開発スピード向上を実現している。SiC-ICのNEDO先導研究プログラムを産業技術研究所と共同で完了するなど、技術蓄積は有報に記載された事実として確認できる。
2025年4月にパウデックを買収しPSJ技術を取得、GaN on Si技術と融合した独自デバイス構造を開発中。SiCはNEDO採択プログラムを完了し超低損失SiCモジュールの事業化検討を進める。
名古屋大学主導のGaNコンソーシアムにも参画しており、次世代パワーデバイス領域への技術的布石が複数確認できる。
自動車空調向けパワーモジュール、48V MHEVの電動コンプレッサ対応MOSFETモジュール、白物家電向け電源IC、業務用空調・AIデータセンター向け産機製品など、複数市場向けに製品ラインアップを保有する。研究開発費5,400百万円(売上高比6.74%)を継続投入し、当期も複数の新製品開発実績が有報に記載されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の235,221百万円をピークに急減し、2026年3月期は80,175百万円(前期比34.1%減)。主因はAllegro MicroSystems(2024年8月に持分法移行)の連結除外。
サンケンコアでは自動車向けが31,390百万円(前期比0.9%減)と底堅い一方、白物家電が36,485百万円(同21.5%減)と中国市場での自国製半導体シフトにより大幅減。外部要因として金属建値高騰が原価を押し上げ、売上総利益率は9.4%(前期20.5%)に低下。
営業損失は4,728百万円と前期(3,788百万円)から悪化。2027年3月期は売上高86,500百万円・営業利益1,400百万円(黒字転換)を予想するが、上期は赤字継続の見通し。
成長戦略
24中計でサンケンコアの収益構造転換を推進、GaN・IPM協業で次世代製品を強化
ハイブリッド車含む内燃車向けパワーモジュールの継続需要を着実に取り込むとともに、自動車空調向けパワーモジュールを拡販。白物市場では韓国顧客シェア拡大・中国シェア維持・インド等新規顧客開拓を推進。2027年3月期売上高86,500百万円(前期比7.9%増)を目標とする。
石川サンケンでの固定費削減策、後工程生産再編完了に伴う生産性向上、金から銅への材料仕様見直しによる製造コスト最適化を推進。山形サンケンでも前工程競争力向上に向けた固定費削減を進める。2027年3月期下期からの収益回復を見込む。
2026年1月27日に合意したインテリジェントパワーモジュール市場における後工程生産協業および製品共同開発。投資効率の最大化と競争力強化を狙う。外部リソース活用による成長実現という24中計の方針に沿った取り組み。
2025年4月1日に株式会社パウデックを買収し、高性能GaNパワーデバイスの早期上市に向けた開発を推進。次世代パワー半導体市場への参入により、SiC・GaN等の技術転換リスクへの対応と新規成長機会の獲得を図る。
2026年1月新設のアジア戦略室でアジア全体の受注拡大・白物領域維持拡大・データセンター等産機領域への拡販を推進。モビリティ戦略室では車載・産機領域の顧客先行開発段階から参画し、中長期的な量産案件獲得を目指す。
2028年3月期を最終年度とする2024年中期経営計画において、売上高100,000百万円以上・営業利益率10%を目標とする収益構造転換を推進。2026年3月期実績(売上高80,175百万円、営業利益率マイナス5.9%)は目標から大きく乖離しており、計画挽回が急務。
最終更新: 2026年7月19日

