事業内容
電気興業株式会社は1950年設立の東証プライム上場企業で、電気通信関連事業と高周波関連事業を二本柱とする。電気通信関連事業では各種アンテナ・鉄塔・防災行政無線・防衛装備品・AIソリューションシステムの製造・建設・販売を手掛け、主要顧客はNTTドコモ等の通信事業者、防衛省・地方自治体等の官公庁。
高周波関連事業では高周波誘導加熱装置の製造販売と熱処理受託加工を行い、自動車メーカー・部品メーカーを主要顧客とする。国内外13社の連結子会社を擁し、米国・タイ・韓国・中国・メキシコ・ベトナムに生産・販売拠点を持つグローバルグループ。
2026年3月期の連結売上高は35,446百万円。
ビジネスモデル
電気通信関連事業では設備・機材の製造販売(売上高11,167百万円)と工事施工(14,220百万円)を組み合わせ、受注残高17,257百万円を積み上げる継続受注型モデルを採用。高周波関連事業では装置販売に加え熱処理受託加工による安定収益を確保。
設備貸付・売電事業はFIT制度活用と社内賃貸による高利益率(約53%)の安定収益源として機能。受注高は前期比11.8%増の38,873百万円と先行指標が好調で、次期売上への貢献が見込まれる。
企業の強み
防衛関連では熊本防衛支局向けえびの送信所鉄塔支線整備工事を複数年にわたり受注し、2029年9月完成予定案件を含む長期手持高を確保。電気通信関連事業の受注残高は17,257百万円(前期比18.6%増)に達し、防衛費増額を背景とした装備品・防衛施設需要の増加傾向が継続している。
官公庁向け手持高は4,763百万円(工事4,051百万円・設備711百万円)。
700MHz帯5G無線装置の開発完了・商用納入開始、O-RAN準拠無線装置の開発・製品化、国内初の5.7GHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送商用免許取得など自社技術の社会実装実績を持つ。研究開発費は987百万円(2026年3月期)を投じ、ワイヤレス研究所・未来研究所を軸に産学連携を推進。
㈱サイバーコアの画像AI技術と無線通信技術を組み合わせたソリューション実績も積み上げている。
米国・タイ・韓国・中国・メキシコに生産・販売・メンテナンス拠点を展開し、高周波誘導加熱装置の国際的なサービス体制を構築。2024年6月には愛知県岡崎市に東海熱処理研究センターを新設しEV化対応の試作拠点を稼働。
高周波関連事業の受注高は10,781百万円(前期比12.1%増)、受注残高3,926百万円(前期比26.7%増)と先行指標が改善している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期28,864百万円を底に回復し、2026年3月期は35,446百万円(前期比8.8%増)と5期ぶりに2022年3月期水準に近づいた。営業利益は1,219百万円(同30.4%増)、営業利益率3.4%と改善が続く。
親会社株主帰属当期純利益は1,903百万円(同144.9%増)だが、投資事業組合運用益879百万円・投資有価証券売却益862百万円等の特別利益1,890百万円が寄与した点に留意が必要。外部要因として防衛費増額・防災行政無線需要・5G設備投資回復が電気通信関連事業を牽引した一方、米国関税政策に起因する自動車関連設備投資停滞が高周波関連事業の重石となった。
2027年3月期は売上高36,500百万円(同3.0%増)、営業利益1,650百万円(同35.3%増)を予想している。
成長戦略
DKK-Plan2028のもと防衛・防災・AIソリューション・高周波新領域で収益創出体制を確立
防衛費予算増額を背景に装備品の安定供給と既存設備の維持・点検整備事業への積極提案を推進。緊急防災・減災事業債の5か年延長を受け、地方自治体向け防災行政無線の需要掘り起こしを継続する。2026年3月期の電気通信関連事業受注高は前期比11.7%増の28,092百万円と順調に拡大。
㈱サイバーコアとの協業によるAIソリューション事業において、提案力・開発力強化に向けた組織改編を実施済み。人流・交通分析をはじめとした社会課題解決型ソリューションの実績積み上げを継続し、新たな収益源として育成する。
過熱水蒸気技術の高度化と展示会出展による知名度向上を推進し、2026年3月期に食品関連分野で粉末殺菌技術を備えた過熱水蒸気装置の受注を初めて獲得した。自動車関連依存からの収益源多様化を図る重要施策。
2026年3月期に自己株式1,001百万円取得・2,234百万円相当消却を実施し発行済株式数を削減。DOE下限値を2.0%から2.5%に引き上げ、年間配当100円(前期比+20円)を実施。2027年3月期は105円を予定し、株主還元の継続的強化を明示している。
2026年4月1日に確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行。退職給付制度の一部終了処理により、翌連結会計年度において特別利益を計上予定(金額は算定中)。財務体質の改善と将来の退職給付債務リスクの低減を図る。
最終更新: 2026年7月19日

