事業内容
オムロンは1933年創業の電気・電子機器メーカーで、子会社163社・関連会社10社を擁するグローバルグループ(2026年3月末)。主力のインダストリアルオートメーションビジネス(IAB)では製造業向け制御機器を世界に提供し、ヘルスケアビジネス(HCB)では血圧計を中心とした医療機器を130ヵ国以上で展開する。
社会システム事業(SSB)では蓄電システム・駅務システム等の社会インフラを担い、データソリューション事業(DSB)ではJMDC社の医療データ基盤を活用した予防医療ソリューションを提供する。電子部品事業(DMB)はCarlyleグループへの譲渡を決定し、IAを中心としたデバイス事業とデータサービス事業への集中を加速している。
ビジネスモデル
主収益源は制御機器・ヘルスケア機器・社会インフラ機器の製品販売であり、2026年3月期の継続事業売上高は767,351百万円。これに加え、SSBのM&S(マネジメント&サービス)によるストック型保守収益、DSBのJMDC社を通じた医療データ利活用サービス収益が積み上がる構造。
中期ロードマップ「SF 2nd Stage」では注力デバイス事業のキャッシュを5つのデータサービス事業に再投資し、2030年度にデータサービス売上比率15%を目指す。
企業の強み
IABはグローバル11万顧客を可視化した「Customer Base Map」を構築し、センサ・コントローラ等の幅広い商品群を軸に顧客基盤を拡大。2025年度に新商品22機種をリリースし、売上高前期比12.3%増・営業利益前期比18.0%増を達成。
業界随一の商品ラインナップが競合参入障壁を形成している。
HCBは血圧計を中心に世界130ヵ国以上で医療機器を販売し、スマートフォンアプリ「OMRON connect」は130超の国・地域で累計1,500万ダウンロードを超える。50年以上蓄積した圧脈波技術を活用した心房細動検知アルゴリズム「Intellisense AFib」を搭載した次世代血圧計をグローバル展開するなど、技術的差別化を実現している。
2023年10月にJMDC社を連結子会社化し、健康保険組合・医療機関由来の匿名加工医療データ基盤を獲得。DSBセグメントの2026年3月期売上高は51,151百万円で前期比19.7%増と高成長を実現。
製薬企業・保険会社向けデータ利活用需要を取り込み、オムロンのデバイスデータとの組み合わせによる予防医療ソリューションの差別化基盤となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023期876,082百万円をピークに2024期818,761百万円・2025期801,753百万円(DMB含む旧基準)と減収が続いたが、2026期は継続事業ベースで767,351百万円(前期比+7.3%)と増収に転じた。営業利益は2024期34,342百万円の底から2025期53,446百万円・2026期59,935百万円と急回復。
当社株主帰属当期純利益も28,487百万円(前期比+75.1%)と大幅増益。外部要因として生成AI関連の設備投資需要拡大がIABを牽引した一方、米国関税政策・原材料価格高騰・物流コスト上昇が売上総利益率を0.4ポイント押し下げた(45.7%)。
構造改革費用は前期23,795百万円から2,617百万円へ大幅縮小し、利益押し上げに寄与した。
成長戦略
SF 2nd Stage(2026〜2030年度)でデータ×オートメーションの成長加速とIFRS移行
2026年度から2030年度までの新中期ロードマップ「SF 2nd Stage」に着手。「Trusted Growth〜GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化〜」を方針に、注力13事業の成長計画を着実に遂行。
2027年3月期財務目標はIFRSベースで売上高820,000百万円・営業利益62,000百万円・ROE5.5%程度・ROIC4.0%程度・EPS229円。
2026年3月30日に取締役会決議、2026年10月1日を株式譲渡実行日として予定。DMBを非継続事業に分類し、IAB・HCB・SSB・DSBのコア4事業への経営資源集中を実現。ポートフォリオ最適化により収益性・資本効率の改善を図る。
生成AI関連・半導体関連・二次電池領域での設備投資需要を年間を通して好調と見込み、各エリアの顧客ニーズに対応した新商品の計画的開発・リリースを継続。2027年3月期のIAB外部顧客売上高目標は440,000百万円(2026年3月期比+7.5%)、営業利益目標は44,000百万円(同+2.8%)。
JMDC社の「Pep Up」発行ID数拡大と製薬企業・保険会社向けデータ利活用取引の増加を継続。2026年3月期DSB外部顧客売上高は51,151百万円(前期比+19.7%)と高成長。
2027年3月期目標は62,000百万円(同+21.2%)と更なる拡大を計画。データサービスによる新たな成長を2030年以降に実現する企業への転換を目指す。
2027年3月期第1四半期連結会計期間よりIFRSを任意適用。グローバル投資家との比較可能性向上と資本市場での認知度向上を図る。2027年3月期の業績予想・財務目標はすでにIFRSベースで開示済み。米国基準との会計方針差異による数値変動への投資家への説明が課題。
最終更新: 2026年7月19日

