事業内容
ダブル・スコープ株式会社は、2005年設立のリチウムイオン二次電池(LiB)用セパレータを主力とするメンブレン技術専業企業。韓国・忠清北道に生産拠点を持つ連結子会社W-SCOPE KOREA CO.,LTD.(WSK)および持分法適用関連会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO.,LTD.(WCP)が製造を担い、アジア・欧州・米国の電池メーカーやリチウム精製プラントに販売する。
セパレータ事業に加え、同技術を応用したイオン交換膜事業(双極電気透析BPEDモジュール等)を2026年1月期より新規セグメントとして立ち上げ、POSCOグループ向けに量産販売を開始している。東京証券取引所プライム市場上場(上場維持基準の改善経過措置中)。
ビジネスモデル
数ミクロン単位の厚さ管理と直径100ナノメートル前後の微孔を均一分布させる高度な成膜技術を核に、LiB用セパレータおよびイオン交換膜を製造・販売する。顧客の月次・四半期購入計画を基に見込生産を行い、アジア・欧州・米国市場へ出荷する。
設備投資資金は株式市場および金融機関からの長期借入金で調達し、運転資金は短期借入金を活用する構造。当期借入金残高は7,876百万円。
企業の強み
2005年の創業以来20年にわたりLiB用セパレータの開発・製造に特化し、数ミクロン単位の厚さ管理と直径100ナノメートル前後の微孔均一分布技術を蓄積。この技術基盤をイオン交換膜(CEM・AEM・BEM)へ応用し、柔軟な製品設計と高い価格競争力を実現している。
研究開発はWSK内の35名体制の研究所が担う。
2026年1月期よりイオン交換膜事業を新規セグメントとして立ち上げ、売上高1,419百万円・セグメント利益504百万円を計上し黒字を達成。POSCOグループ向けBPEDモジュール供給が主力で、セグメント資産5,053百万円に対して収益を生み出している。
セパレータ事業が赤字の中、唯一の利益貢献セグメントとなっている。
WSKは韓国産業団地公団との間で2055年まで(10年毎更新)の土地賃貸借契約を複数締結し、忠清北道梧倉に合計143,000平方メートル超の生産用地を確保。外国人投資促進法に基づく賃借料減免措置の適用条件を満たしており、長期的な低コスト生産基盤を維持している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2027年1月期Q1(2026年2月〜4月)の連結売上高は1,386百万円(前年同期756百万円)と83.2%増収。セパレータ事業589百万円(同121.6%増)、イオン交換膜事業797百万円(同292.8%増)がともに増収。
営業損失は364百万円と前年同期1,494百万円から大幅改善。ただし持分法による投資損失1,682百万円(WCP転換社債評価損932百万円含む)が重く、経常損失2,028百万円・純損失2,033百万円となった。
通期予想は売上高6,000百万円(前期比65.2%増)、営業損失2,400百万円、純損失4,400百万円。過去5期の売上高は2022期45,100百万円をピークに急減し、2026期は3,630百万円まで落ち込んだが、2027期は回復軌道に入りつつある。
外部要因として欧州EV需要の低迷・原油ナフサ価格動向が引き続き業績変動の主要ドライバーとなっている。
成長戦略
ESS・イオン交換膜への用途多様化と顧客分散で業績回復を目指す
顧客の電池生産をEV用からESS用にシフトする動きに対応し、第3四半期以降にESS向けセパレータ出荷が上期遅れ分を上回る水準に回復することを見込む。顧客との出荷計画調整を進行中。
WCPの主要顧客であるSamsung SDI社との協議において、当第4四半期以降からの需要回復を見込む。欧州EV市場が前Q4に底を打ったとの認識のもと、段階的な回復を期待している。
POSCOグループ既存2案件の安定稼働に加え、新規複数社からの引き合いに対してサンプル提出対応を進めており、来期以降のイオン交換膜販売拡大に寄与する見込み。水処理・水電解など新用途への参入も計画。
人件費・水道光熱費・梱包運搬費などの費用削減活動、成膜ライン新工法の大型ラインへの展開、製造工程自動化システムの新規設備導入を積極的に推進。Q1で人件費68百万円・減価償却費70百万円・在庫評価損222百万円の削減効果を確認。
新規顧客とのハイエンド車載EV向けおよびESS向け電池の量産販売準備を進めており、セパレータ事業の顧客分散と収益基盤の多様化を図る。
最終更新: 2026年7月17日

