経済安全保障リスクの高まり
米国の関税強化・各国輸出規制・地政学的緊張の高まりにより、経済安全保障リスクが上昇している。三菱電機グループは売上高の5割超が海外向けであり、社会・経済・政治的混乱が製品需要や顧客の販売動向に影響を及ぼす可能性がある。対応として、政策動向・法制度の調査分析、機微技術管理、サプライチェーンを含む統合的なリスク制御を実施している。
サプライチェーン環境変化
地政学リスクに伴う物流網の途絶、原材料価格変動、自然災害による供給混乱、経済安全保障規制の拡大、人権課題への対応など、サプライチェーンを取り巻く多角的な環境変化が事業活動・業績に影響を及ぼす可能性がある。特定地域への依存低減が急務となっており、調達複線化・在庫確保・代替品探索・新ルート開拓などの強靭化策を推進している。
サステナビリティ社会要請
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・人権デューデリジェンスに関する法規制が日欧米を中心に多極的に整備されており、炭素価格制度・排出権取引・再生材利用規制等への適時対応が求められる。対応が遅れた場合、事業活動・業績への影響に加え、経済制裁や社会的評価の低下リスクがある。社内炭素価格の運用、RBAに基づく人権デューデリジェンス強化、非財務情報可視化システムの構築を進めている。
サイバー攻撃リスクの増大
AI技術を悪用した高度なサイバー攻撃により、顧客情報・営業情報・技術情報・知的財産の漏洩や工場生産への影響が生じる可能性がある。攻撃はIT環境のみならずOT環境にも及び、重要インフラ制御システムや工場管理システムの混乱リスクが急速に拡大している。AIを防御に活用する取組みを含む高度攻撃対応体制の構築と、人的情報漏洩防止策の強化を推進している。
ゲームチェンジ・技術革新リスク
技術革新の加速と競争激化により、事業環境の不確実性が高まりゲームチェンジ・リスクが上昇している。特にAI分野では各国で規制が拡大しており、法規制遵守とビジネスチャンス獲得の両立が求められる。三菱電機グループ倫理ポリシーに基づくAIリスク評価体制を導入し、大学・他企業・顧客との連携・共創による新価値創出を図っている。
BCP上のリスク(大規模災害等)
感染症・地震・津波・台風・水害・火山噴火・火災等の大規模災害により、国内外の製造・販売・研究開発拠点が被害を受け、事業活動が中断する可能性がある。サプライチェーンの混乱に伴い調達・生産・物流等に影響が生じ、多額の損失が発生するリスクもある。リスクマネジメント・コンプライアンス委員会での経営課題検討、全社緊急対策室の設置、各事業拠点単位でのBCP対策を実践している。
製品品質・コンプライアンスリスク
製品・サービスの欠陥・瑕疵による損失計上やコンプライアンス違反による社会的評価の低下は、経営全般に影響を及ぼす可能性がある。過去に複数のコンプライアンス違反を起こした事実を踏まえ、人財等リソース不足に起因する内部リスクの顕在化防止が課題となっている。DX・AIを活用した業務改革、スピークアップ促進、内部監査・各種点検活動を通じた早期発見・対処に取り組んでいる。
為替相場変動リスク
売上高に占める北米・欧州・中国がそれぞれ約10%を占め、米ドル・ユーロ建ての輸入部材購入やアジア製造拠点での外貨建て取引が存在するため、為替レートの急変が業績に影響を及ぼす可能性がある。為替予約等によりヘッジを実施しているが、想定レートから大きく乖離した場合のリスクは残存する。
株式相場下落リスク
三菱電機グループが保有する市場性のある株式の価値減少や年金資産の減少をもたらす可能性がある。「政策保有株式は原則保有しない」を基本方針としつつも、事業運営上必要と判断した株式は保有しており、相場下落の影響を受ける。毎年、執行役会議・取締役会にて保有意義を検証し、意義が希薄と判断した株式は売却・縮減を進めている。
複合リスクの連鎖的影響
地政学リスク・サイバー攻撃・大規模災害・コンプライアンス違反等の個別リスクが複合化・複雑化することで、為替相場・株式相場を含む金融市場全体に波及し、三菱電機グループの業績に連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。各リスクのリスクマップによる類型化・重点付けを行い、インパクト縮小と備えの実効性向上を図っている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

