電力市場依存による事業環境変化
バルブ事業の売上は国内電力市場(原子力・火力発電所向け製品・メンテナンス)に重要な割合を依存しており、自然災害・司法判断・規制・発電技術革新・燃料転換・電力自由化など多様な要因による市場変化が業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。現在はPWR型原発6原発12基の再稼働により定期検査からの安定収益が見込まれるが、過度な原発依存の収益構造への回帰リスクが存在する。水素・アンモニア等ゼロエミッション燃料への転換やAI・ITを活用したプラント管理技術の変化への対応が不可欠であり、積極的な研究・投資の継続により市場変化への対応を図っている。
大規模自然災害による生産拠点被災
製造拠点は兵庫県尼崎市の本社工場(バルブ製造)と三重県伊賀市の伊賀工場(鋳鋼部品製造)の国内2か所のみであり、両工場は相互代替関係になく、いずれか一方の被災が生産プロセスの途絶に直結する。本社工場は南海トラフ巨大地震の被害想定地域に位置し、1960年代建築の建屋が多く耐震性・耐火性にリスクを有しており、1995年の阪神大震災では工場稼働に長期支障が生じた実績がある。対策として2024年12月に福井県おおい町、2025年6月に兵庫県神戸市中央区港島の土地を取得し工場建設・移転を計画中であるが、対策には多額の資金が必要であり、対応が遅れた場合には極めて重大な業績への影響が生じる可能性が高い。
製品・メンテナンス瑕疵による賠償リスク
当社グループの製品は原発をはじめとした各種産業用プラントの重要部位に採用されており、製造上の欠陥やメンテナンスの不具合による動作不良が重大事故やプラント運転停止を引き起こした場合、賠償問題に発展し業績に重大な影響を及ぼすリスクがある。対応策として、従業員への品質意識徹底、品質マネジメントシステムの適切な運用、内部統制システムとの組み合わせにより高い品質レベルの維持を図っている。今後も品質体制の更なる強化によりリスクの顕在化防止に努める方針である。
情報セキュリティ侵害リスク
原子力事業に携わる事業者として顧客情報・取引情報の極めて厳格な管理が求められる中、コンピューターシステムへの不正アクセスや人的要因による情報漏洩が発生した場合、業績に大きな影響を与える可能性がある。対策として次世代型ウイルス検知システム(NGAV)・エンドポイント対策(EDR)によるシステム監視、データ多重化、ハードウェア制限・操作ログ収集による予防的統制、情報セキュリティ教育を実施している。ただし今日のネット環境下では情報漏洩は実質的に不可逆的であり、完全な防止は困難との認識である。
法的規制・許認可維持リスク
一部事業は建設業法に基づく一般建設業・特定建設業の許可を必要とし、許可維持のための人的要件充足が求められる。また原子力・火力発電所向け製品・メンテナンスには数多くの規制・規格・許認可への適合と、経験年数・技量認定・資格取得者の配置が必要であり、昨今の採用難による人財不足の中で資格者確保に重大な懸念が生じる可能性がある。計画的な人財育成とプロセス管理を実施しているが、能力的・人的制約から適切に対応できない場合には業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
コンプライアンス違反による信用失墜
原発向けバルブ製品・サービスという社会性の高い分野において、コンプライアンス問題で顧客・社会の信頼を損ねることは企業の存在そのものを否定しかねない致命的リスクとなる。ハラスメントやSNSを利用した不適切情報拡散など違反態様の多様化も進んでおり、監査等委員・会計監査人・内部監査室・品質保証統括室による組織的監査と内部統制システムの運用でコンプライアンスを担保している。全従業員を対象としたコンプライアンス意識調査に基づく研修・教育啓蒙活動を実施しているが、完全なリスク排除は困難との認識である。
環境規制強化によるコスト増・市場縮小
地球温暖化問題に由来する環境課題意識の高まりにより、主要顧客である火力発電所が二酸化炭素の最大排出源のひとつであることから営業面への影響は不可避の状況にある。コスト面では、鋳鋼製造工程での大量電力消費に伴う温室効果ガス削減対応(設備改善・非化石証書購入等)に相応のコストが必要となり、業績に大きな影響を与える可能性がある。社会・顧客の対応を注視しつつ迅速な対応と先手を打った対策によりリスク軽減を図る方針である。
原材料費・エネルギーコスト高騰
主な原材料は鉄・ステンレスを中心とした金属材料およびクロム・ニッケル・タングステン等のレアメタルであり、市況変動による調達価格高騰・調達支障のリスクが常に存在する。世界の紛争問題・為替変動に加え、製鉄業界の高炉停止によるスクラップ需要増加、鋳造・熱処理工程での大量電力・燃料消費など多方面からのコスト上昇圧力が業績に大きな影響を与える可能性がある。信頼できる複数サプライヤーとの取引によるリスクヘッジを図っているが、著しい価格高騰や調達支障の発生リスクは常在している。
IT・DX対応遅れによる競争力低下
バルブメンテナンスの時間監視型から状態監視型保全への移行、老朽化工場の大規模設備投資における効率的生産実現など、IT・DXの活用が重要課題となっている。対応が著しく遅れ従来の枠を脱することができない場合、商品力・コスト競争力の両面で競合他社の後塵を拝し業績に大きな影響を与える可能性がある。R&Dセンターを中心にIT・DX人財育成、製品・サービスとの融合、業務プロセス開発をワンストップで実施する体制を整えている。
労働災害による業績・信用への影響
製造・メンテナンス現場では労働災害リスクが常在しており、ここ数年でいくつかの休業災害が発生している実績がある。労働災害の発生は従業員の安全を脅かすのみならず、生産性低下・作業遅延をもたらし、内容によっては顧客からの信頼失墜・指名停止など営業活動への支障を通じて業績に重要な影響を与える可能性がある。仕事の仕組み改善・個人教育・チームワーク強化および物理的安全対策へのリソース投入により災害が起きない仕組みの構築を推進している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月28日

