事業内容
TPR株式会社は1939年創業の自動車部品メーカーで、ピストンリング・シリンダライナ・バルブシートなど内燃機関向け精密部品を日本・アジア・北米・欧州・南米・インドの6極でグローバルに製造・販売する「TPRグループ(除くファルテックグループ)」と、自動車外装部品・純正用品・関連機器を手掛ける「ファルテックグループ」の二本柱で構成される。連結子会社46社(うち海外30社)・関連会社13社(うち海外9社)を擁し、工業用ゴム・樹脂製品等も展開。
主要顧客は日系・中国系・欧米系の自動車メーカーで、2026年3月期の連結売上高は190,553百万円。
ビジネスモデル
TPRグループは自社工場による直接製造に加え、中国・インド・米国・欧州・トルコ等でFederal-Mogul(テネコ)・安徽環新集団等との合弁会社を多数設立し、現地生産・現地販売体制を構築する。合弁会社からの持分法投資利益(2026年3月期3,532百万円)が営業利益を上回る経常利益の源泉となっており、製造収益と投資収益の複合モデルが特徴。
ファルテックグループは外装部品・用品の製造販売で売上高の約38%を担う。
企業の強み
安徽環新集団との複数合弁を通じ中国現地メーカー向け販売を深耕。2026年3月期アジアセグメント売上高48,497百万円・セグメント利益8,025百万円(利益率約16.5%)はグループ最高収益性を誇る。
持分法適用会社への投資額21,755百万円を背景に、持分法投資利益は前期比1,658百万円増の3,532百万円に拡大した。
1939年創業以来80年超にわたり蓄積した精密加工技術を基盤に、日本・中国・米国・欧州・インド・ブラジル等6極で生産拠点を展開。ISO/TS16949認証を取得し、海外提携会社との協業による世界同一品質を実現。
2026年3月期のTPRグループ(除くファルテック)生産実績は前期比5.9%増の112,241百万円と拡大基調にある。
2026年3月期末の自己資本比率57.3%(前期比1.4ポイント改善)、現金及び現金同等物残高59,369百万円、有利子負債残高30,193百万円。ネットキャッシュは約29,000百万円超の実質無借金に近い状態。
営業キャッシュフロー22,721百万円(前期比4.5%増)を安定創出し、コミットメントライン9,500百万円も未使用で確保している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期193,834百万円をピークに2期連続で微減し、2026年3月期は190,553百万円(前期比▲1.0%)。ファルテックグループの減収(▲5,973百万円)が主因で、TPRグループ(除くファルテック)は+4,031百万円の増収。
営業利益は品種構成悪化・研究開発費増加・ファルテック減益により10,278百万円(▲8.3%)と2期連続減益。一方、持分法投資利益が3,532百万円(前期1,874百万円)に拡大したことで経常利益は16,162百万円(+2.4%)、親会社純利益は9,394百万円(+6.0%)と増益を確保。
包括利益は21,780百万円(+47.4%)と大幅改善し、投資有価証券評価益・退職給付調整額の改善が寄与した。外部要因として中国現地自動車メーカーの販売好調・日系メーカーの北米販売好調が追い風となった一方、アセアン需要鈍化・米国関税影響・日本市場の軟調が逆風となった。
成長戦略
パワートレイン利益最大化とフロンティア分野育成の両輪経営で収益基盤の多様化を図る
カーボンニュートラル燃料(水素等)対応部品・HEV/PHEV向け高機能ピストンリング等の開発を加速。研究開発費の増加が日本セグメントの減益要因となっているが、将来の競争力維持に向けた先行投資と位置付けられる。内燃機関が残存する市場での収益最大化を図る。
持分法適用会社への投資額を21,755百万円(前期19,388百万円)に拡大。2026年3月期の持分法投資利益は3,532百万円と前期比約1.9倍に拡大し、経常利益の下支えに貢献。中国現地自動車メーカーとの取引深耕により、アジアセグメントの高収益性(利益率約16.6%)を維持・強化する。
内燃機関依存からの脱却を図るべく、工業用ゴム部品・樹脂製品・EV関連商品・ナノ素材等の新規事業領域を育成。2026年3月期の有形固定資産等増加額は13,914百万円(前期9,463百万円)と大幅増加しており、設備投資を通じた生産能力・技術力の強化が進んでいる。
自動車メーカーの生産台数減により2026年3月期にセグメント利益が前期比▲36%と大幅減益となったファルテックグループについて、原価低減活動・売価適正化・ミリ波レーダーカバー等ADAS対応外装部品の需要拡大を通じた収益回復を図る。2027年3月期は売上横ばい・利益微増を見込む。
2025年10月に株式分割(1→2株)を実施後、2026年3月期の年間配当を56円(分割後換算)に増配(配当性向39.1%)。2027年3月期も年間56円を予定。
後発事象として上限4,500百万円・400万株の自己株式取得を決議(2026年6月〜2027年3月)。資本効率向上と株主還元拡充を両立する方針。
最終更新: 2026年7月19日

