事業内容
新晃工業は1950年創業の業務用空調機器専業メーカーで、エアハンドリングユニット(AHU)・ファンコイルユニット(FCU)を主力製品とする。大規模建物向けセントラル空調と中小規模向け個別空調の両方に対応し、設計・製造から据付工事・メンテナンスまでバリューチェーン全体を提供する。
主要顧客はゼネコン・管工事サブコンで、オフィスビル・工場・病院・データセンターなど多様な建物用途に製品を納入。国内2工場(神奈川・岡山)と中国現地法人を擁し、連結売上高59,339百万円(2026年3月期)を計上する。
東証プライム上場。
ビジネスモデル
建物の計画段階から設計支援を行う上流営業部門が案件を早期獲得し、顧客仕様に合わせた受注生産でAHU等を製造・納入する。製品販売に加え、グループ会社の新晃アトモスが空調設備工事・メンテナンスを担い、日本ビー・エー・シーが冷却塔・氷蓄熱装置を販売することで、機器販売とサービス・工事の複合収益を実現する。
2026年3月期の空調設備工事・メンテナンス売上高は146億円に達し、ストックビジネスへの移行が進展している。
企業の強み
国内唯一のAMCA認定・AHRI認証取得企業として、第三者機関による客観的な性能評価に基づく製品信頼性を確立している。SINKOテクニカルセンターを開発拠点に、送風機・熱交換器の高効率化を追求するSSAプロジェクトや、WAコイル(フィン使用枚数10%以上削減)など独自技術を継続的に創出し、競合が模倣困難な技術優位性を維持している。
業界最大規模の上流営業部門が建物計画段階から設計支援を行い、早期に案件情報を獲得する体制を構築している。霞が関ビル・ランドマークタワー・東京ドームなど国内代表的建物への継続的なAHU更新実績を持ち、更新案件の受注残高は2026年3月期末に23,974百万円(前期比36.9%増)と高水準を維持している。
グループ会社の新晃アトモスを中心とする空調設備工事・メンテナンス事業は、2026年3月期売上高146億円を達成し、中期経営計画「move.2027」で2027年3月期目標としていた126億円を前倒しかつ大幅に上回って達成した。製品販売に依存しない工事・サービス収益の拡大が収益基盤の安定化に寄与している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期41,964百万円から2026年3月期59,339百万円へ5期連続増収を達成。ただし増収率は2025年3月期9.7%から2026年3月期4.1%へ鈍化した。
利益面では、2024・2025年3月期に急拡大した営業利益が2026年3月期は9,444百万円(前期9,986百万円)へ反落。セントラル空調機器の販売物量減少と人件費・物流費等の増加(販管費13,177百万円)が主因。
市場環境としてはビル空調・データセンター投資の堅調な需要が継続しているが、建設費高騰・工事長工期化の影響が顕在化しつつある。2027年3月期は会社予想で営業利益10,000百万円への回復を見込む。
成長戦略
データセンター・個別空調・更新需要の3軸とDX投資で2027年3月期売上高63,000百万円・営業利益10,000百万円を目指す
「SINKO AIR DEVELOPMENT LAB」「BAC BASE」等の実験・展示施設を活用した提案営業を展開。データセンター・個別空調分野での機器販売は計画を上回るペースで拡大中。2027年3月期からは暑熱対策をターゲットとした新製品の市場投入を開始予定。
製造リードタイム短縮と品質向上を目指す新生産システムの第2フェーズ運用を2026年4月から一部製品で開始。生産能力増強により受注対応力を強化し、販売量増加・価格転嫁を通じた収益性改善を図る。
中期計画「move.2027」で100億円を上限とする自己株式取得を推進。当期は4,892百万円を取得し、転換社債型新株予約権付社債6,000百万円を2025年4月に発行して負債活用による資本構成の見直しを実行。ROE10%以上・PBR1倍以上の目標維持を図る。
中国での厳しい価格競争が続くなか、製品・サービス面での差別化販売戦略と品質・製造面の見直しによる原価低減を推進。2026年3月期のセグメント損失は116百万円(前期283百万円の損失から改善)と損失幅は縮小しているが、黒字化には至っていない。
マーケティングとアフターサービスにおける業務変革・グループシナジー創出を目的とした新たなDX構想を立ち上げ。長期ビジョン「VISION 2030:空気で未来を拓く」の実現に向けたグループ経営深化を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

