事業内容
ダイキン工業は1924年創業、2024年に創業100周年を迎えたグローバル空調・化学メーカーである。売上高の約92%を占める空調・冷凍機事業では、住宅用ルームエアコンから業務用パッケージエアコン、アプライド空調(チラー・エアハンドリングユニット)、冷凍・冷蔵ショーケース、エアフィルタまで幅広い製品群を持つ。
化学事業ではフルオロカーボンガス・フッ素樹脂・化成品等のフッ素化学製品を半導体・自動車・データセンター向けに供給する。連結子会社324社・持分法適用会社16社を擁し、日本・米州・欧州・中国・アジア・中近東・アフリカにわたるグローバル生産・販売体制を構築している。
主要顧客は住宅オーナー、建設・不動産デベロッパー、データセンター事業者、製造業、流通・小売業など多岐にわたる。
ビジネスモデル
空調機器・化学素材の製造・販売を基盤としつつ、保守・修理サービス・部品販売・BMS(ビルマネジメントシステム)等のソリューション事業を組み合わせた複合収益モデルを推進している。グローバルに自社工場・販売会社・サービス網を整備し、高付加価値商品(省エネ・低温暖化冷媒対応製品等)の価格政策と、銅からアルミへの材料置換等のコストダウンを両立させることで利益率の改善を図る。
戦略経営計画「FUSION30」のもと、循環型ソリューション事業への転換を加速している。
企業の強み
連結子会社324社・持分法適用会社16社を通じ、日本・米州・欧州・中国・アジア・中近東・アフリカの全主要地域に製造・販売拠点を保有する。空調・冷凍機事業の売上高は4,621,131百万円(2026年3月期)に達し、住宅用から大型アプライドまで製品ラインを網羅することで特定地域・用途への依存を分散している。
1938年にフルオロカーボンガス生産を開始して以来、フッ素樹脂・フッ素ゴム・化成品・冷媒ガスを自社製造する垂直統合体制を維持する。化学事業売上高は281,469百万円(2026年3月期)。冷媒・素材の内製化は調達コスト安定と低温暖化冷媒R32等の差別化製品開発を支える競争優位となっている。
2026年3月期のグループ研究開発費は150,756百万円。テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中核に、東京科学大学・東京大学・大阪大学等との産学連携、スタートアップとの協創を推進する。
圧縮機・モータ・インバータ等の空調コア技術の高度化と、データセンター向け低GWP冷媒チラー・カスタムエアハンドリングユニット等の差別化商品開発を継続している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高5,015,036百万円(前期比+5.5%)、営業利益414,991百万円(同+3.3%)、親会社株主帰属当期純利益275,229百万円(同+4.0%)。売上高は5年連続増収で初の5兆円超を達成したが、増収率は前期8.1%から5.5%へ鈍化。
営業利益率は8.3%と前期8.5%から低下し、化学事業の利益急減(前期比△28.3%)とAHT社減損損失11,849百万円が重しとなった。一方、経常利益は為替差損の大幅縮小(前期9,163百万円→当期1,448百万円)等により前期比+11.4%と大きく改善。
包括利益は572,694百万円(前期比+123.1%)と急拡大し、為替換算調整勘定の増加(+255,965百万円)が純資産を3,316,538百万円へ押し上げた。2027年3月期予想は売上高5,150,000百万円(+2.7%)、営業利益436,000百万円(+5.1%)と緩やかな成長を見込む。
成長戦略
FUSION 30のもとソリューション事業・北米・IMEA成長地域での事業拡大を推進
2026年5月12日付で公表した新5カ年計画「FUSION 30」のもと、「環境と空気の新たな価値」を提供する高収益サステナブル企業をめざす。ソリューション事業の成長加速、北米・IMEA成長地域での事業拡大、経営基盤の高度化(AI活用・間接業務効率化)を3本柱とする。
米国を中心にカスタムエアハンドリングユニット新工場稼働・新規買収効果を活用したデータセンター向け販売を拡大。既存販売網・保守保全メニュー・計装エンジニアリング力を活かした機器更新提案から循環型ソリューション事業への転換を加速し、サービス収益の継続的な積み上げを図る。
銅からアルミへの材料置換、ベースモデルの原価低減、基幹部品の標準化、生産設備の自動化による省人化をグループ一体で推進。米国関税措置への対応も含めたサプライチェーン強化と組み合わせ、利益率改善を目指す。2026年3月期は営業利益率8.3%にとどまっており、施策の実効性が引き続き問われる。
インドでの継続的な販売拡大、サウジアラビア・UAE等中東での大型物件向け販売拡大、トルコでの住宅用・業務用空調の伸長を実績として確認。「FUSION 30」のもとで成長地域への経営資源集中を加速し、グローバルでの売上・利益構成の多様化を図る。
2026年3月期年間配当340円(前期330円から増配)、2027年3月期予想360円と継続増配方針を維持。配当性向36.2%(2026年3月期)。
後発事象として2026年5月13日にToSTNeT-3を通じた総額3,500億円相当の自己株式取得(コミットメント型FCSR)を決議・実施予定であり、資本効率向上と株主還元の大幅強化を図る。
最終更新: 2026年7月19日

