事業内容
株式会社酉島製作所は1919年創業のポンプ専業メーカーで、各種ポンプ・ポンププラント、メカニカルシール、環境装置、小水力発電設備の製造・販売・据付工事・サービスを主事業とする。売上高の90%超をポンプ事業が占める実質単一セグメント企業であり、海水淡水化(RO膜法)向け高圧ポンプで世界トップシェアを誇る。
国内外の発電所向けボイラ給水ポンプでも圧倒的なリーディングメーカーの地位を確立。世界20カ国・36拠点にオフィス・工場・サービス拠点を展開し、官公需・民需・外需(中東・アジア・欧米)の多様な顧客基盤を持つ。
2026年3月期売上高は92,927百万円。
ビジネスモデル
受注生産型のポンプ本体販売と、納入後のメンテナンス・部品供給・据付工事等のサービス事業を組み合わせた複合収益モデルを採用。豊富な受注残高(2026年3月期末106,199百万円)が将来売上を可視化し、経営の安定性を高める。
外需比率60.8%と高く、中東・アジアを中心にグローバルなサービスネットワークを展開。累進配当方針(DOE3%・配当性向35%目安)と自己株式取得を組み合わせた株主還元も実施している。
企業の強み
RO膜法による海水淡水化プロセスに不可欠な大型・高圧ポンプで世界トップシェアを保有。2020年に経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選」に選定。
2026年3月期の中東向け売上高は24,833百万円、外需全体では56,483百万円(構成比60.8%)に達し、長年の納入実績が競合参入障壁を形成している。
高温・高圧環境に耐えるGTCC発電所向けボイラ給水ポンプで国内外タービンメーカー・プラントメーカーから絶大な信頼を獲得。ボイラ循環・復水・冷却水ポンプを含む多種ポンプのワンストップ提供体制を持ち、直近2年間で受注が大幅増加。
2026年3月期末受注残高106,199百万円の大部分を発電・水インフラ向けが占める。
京都大学との共同開発により、マイナス253℃極低温下で動作する「超電導モータ液化水素ポンプ」を製品化。2024年にJAXA試験を完了し、2026年1月に川崎重工業の「川崎LH2ターミナル」向けに液化水素昇圧ポンプ5台・積荷ポンプ1台を受注。
液化アンモニアポンプでも複数受注実績を持ち、次世代脱炭素市場への先行優位を確立している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期52,240百万円から2026年3月期92,927百万円へ5期連続増収。ただし営業利益は2024年3月期6,822百万円をピークに2025年3月期5,449百万円、2026年3月期5,005百万円と2期連続で減少し、営業利益率は5.4%(前期6.3%)に低下。
外注費増・労務費等固定費増が主因。経常利益は為替差損の縮小(前期1,711百万円→当期465百万円)により5,204百万円(前期比+14.6%)に改善。
親会社株主帰属純利益は投資有価証券売却益2,844百万円を計上し5,945百万円(同+46.1%)と大幅増。2027年3月期は売上高95,500百万円(+2.8%)・営業利益5,200百万円(+3.9%)・純利益3,800百万円(▲36.1%)を予想。
純利益の大幅減少は特別利益の剥落が主因。
成長戦略
中期計画「Beyond110」で2029年3月期売上高1,000億円・M&Aによる事業拡張を推進
2026年3月期末受注残高106,199百万円(前期比+1.9%)を背景に、外需・民需を中心とした受注獲得を継続。超電導モータ液化水素ポンプの初受注など新技術領域への展開も進める。2027年3月期売上高95,500百万円を目指す。
住友重機械工業から新日本造機(蒸気タービン・プロセスポンプ)を取得価額約149億円(見込)で買収し、石油化学分野への参入と技術ポートフォリオの補完を図る。流体回転機械の総合メーカーとしてグローバル競争力を強化する。
ポンプ等のサービス市場に対応するソフトウェア開発およびサービスネットワーク拡大を推進。高利益率のアフターサービス収益を積み上げることで、受注生産型ビジネスの収益安定性を高める。研究開発費は当期626百万円を投下。
2026年3月期年間配当63円(前期60円)、2027年3月期予想64円と累進配当を継続。当期は自己株式取得1,000百万円を実施。DOE3%・配当性向35%を目安とした株主還元方針を明確化し、資本効率改善を図る。
最終更新: 2026年7月19日

