事業内容
東洋エンジニアリングは1961年に東洋高圧工業(現・三井化学)の工務部門が分離独立して設立された総合エンジニアリング会社。石油・ガス、石油化学、一般化学、発電、水処理、医薬、ファインケミカル、バイオ、環境など幅広い産業向けにプラントの研究・開発協力、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導を一貫して提供する。
連結子会社23社・関連会社7社を含むグループ体制でグローバルに事業を展開し、インド・インドネシア・マレーシア・韓国・中国・ブラジル等に拠点を持つ。EPC事業の単一セグメントで構成され、持分法適用関連会社(MODEC合弁のOFS等)を通じたFPSO向けEPCI事業も手掛ける。
ビジネスモデル
主収益源は石油・化学・発電プラントの設計(Engineering)・調達(Procurement)・建設(Construction)を一括受注するEPC請負契約。工事進捗に応じた収益認識(進行基準)を採用し、受注残高が将来売上の先行指標となる。
加えて、自社保有の尿素プロセス「ACES21™」等のライセンス供与、省エネコンサルティング「HERO」、O&M(運転・保守)サービスといった非EPC領域での粗利拡大も進めており、フロー型EPC収益とストック型サービス収益の二軸モデルへの転換を志向している。
企業の強み
尿素プロセス「ACES21™」を自社保有し、ナイジェリア向け4,000t/日×2系列への採用実績を持つ。加えてBASF・KBR・Lummus等グローバル大手との技術導入契約を複数締結し、ポリプロピレン・エチレン・アンモニア等の主要プロセスをカバーする幅広い技術ポートフォリオを構築している。
三井海洋開発(MODEC)との合弁会社OFS(Offshore Frontier Solutions Pte. Ltd.)を通じ、FPSO向けEPCI案件を2026年3月期に2件受注した。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高は244,611百万円、受注残高は233,026百万円に達し、連結単体を超えた実質的な事業規模を有する。
連結子会社PT. Inti Karya Persada Tehnik(IKPT)はインドネシアで地熱発電設備のEPC実績を継続的に積み上げており、地熱分野での技術・施工ノウハウを保有する。インドネシア政府・民間企業との地熱マスタープラン策定覚書締結や、JOGMECの次世代型地熱発電技術実現可能性調査への採択など、具体的な案件形成が進んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の260,825百万円をピークに2期連続で減少し、2026年3月期は182,941百万円と2023年3月期(192,908百万円)を下回る水準に急落。営業利益は2024年3月期の6,712百万円から2025年3月期に2,591百万円へ急落した後、2026年3月期は△19,003百万円と大幅な営業損失に転落。
当期純損失も14,944百万円に達した。外部要因として、中東・アジアの設備投資環境は引き続き堅調とみられるが、受注した大型案件における資材費高騰・工期延長等のコスト超過が採算を直撃したとみられる。
税金等調整前当期純損失は11,398百万円。なお、連結キャッシュ・フロー計算書の営業CF内訳(退職給付に係る負債の増減額:△418百万円→△534百万円、その他:△2,405百万円→△2,289百万円)に訂正があったが、営業CF合計額(9,305百万円)に変動はない。
成長戦略
「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2軸で収益構造の転換と持続的成長を目指す
大型案件の採算悪化を教訓に、受注段階での採算審査基準を厳格化し、工事損失引当金の早期認識・積み増しを徹底。DXoT推進による生産性向上・工期短縮を通じてEPC遂行リスクの低減を図る。2026年3月期の工事損失引当金計上(842百万円)はその一環。
FPSOのGolden Age(2023年以降10年間)における旺盛な需要を背景に、OFS(海洋浮体式設備)を通じたEPCI受注拡大を推進。持分法利益(2026年3月期8,393百万円)の持続的な取り込みと、EPC事業としての海洋案件受注増加を目指す。
政府支援を背景としたCCS・グリーンアンモニア・SAF・地熱等の脱炭素関連EPC需要を取り込む新規事業開拓を推進。国内向けリチウムイオン電池用電解質・医薬・高機能化学品プラント等の設備投資回復も取り込む方針。現時点では業績への貢献は限定的。
最終更新: 2026年7月19日

