事業内容
ACSLは2013年に千葉大学発スタートアップとして設立された国内唯一の産業用ドローン専業メーカーである。自律制御技術を核心技術と位置づけ、小型空撮ドローン「SOTEN」や物流用「PF4」など用途特化型機体を開発・販売する。
主要顧客は防衛装備庁・経済産業省等の政府機関、日本郵便等の大企業、および米国の官庁・社会インフラ関連企業。経済安全保障の高まりを背景に、中国製ドローンからの代替需要を国内外で取り込む戦略的ポジションを確立している。
ドローン関連事業の単一セグメントで事業を展開し、2025年12月期の売上高は2,599百万円。
ビジネスモデル
概念検証(PoC)段階では飛行試験・実演サービスとカスタム開発料を収益源とし、プラットフォーム機体販売では機体・オプションパーツ販売で収益を得る。用途特化型機体の量産販売が主力収益源となりつつあり、2025年12月期は用途特化型機体販売が2,046百万円と前年比482.6%増に急拡大した。
機体販売後は保守手数料・消耗品販売で継続収益を獲得する。加えて、SBIR事業・NEDOのKプログラム等の国家プロジェクトからの助成金・補助金(2025年12月期の営業外収益1,245百万円の主要部分)が損失を補填する構造となっている。
企業の強み
2023年3月に国内初のレベル4対応無人航空機の第一種型式認証を国土交通省より取得。「PF2-CAT3」は国内複数のレベル4飛行実証で活用されており、規制対応面での参入障壁を形成している。
また「SOTEN」はNDAA準拠・FCC認証取得済みで、中国製ドローン規制強化後も米国での継続販売が可能な唯一の国産機体として位置づけられる。
創業以来、モデルベース制御・非線形制御アルゴリズムを採用した独自の自律制御システムを開発し、一般的なPID制御と比較して耐風性・高速飛行安定性で優位性を持つ。GPS非依存の完全自律飛行も実現。
2025年12月期の研究開発費は1,319百万円で、CTO以下30名体制を維持。SBIR事業(事業総額約26億円)・NEDOのKプログラム(事業総額約29億円)に採択され、国家資金を活用した技術開発を推進している。
防衛装備庁への「SOTEN」受注実績を複数年にわたり積み重ね、2025年12月の陸上自衛隊主催フォーラムでは装備品として出展された。日本郵便・日本郵政キャピタルとは2021年6月に資本業務提携を締結し、共同開発した「PF4」が2025年10月より量産開始。
米国ではAlmo Corporationを総代理店に20社以上の販売代理店網を構築し、2024年10月に500台、2025年11月に追加400台の受注を獲得している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年12月期第1四半期(2026年1月〜3月)の売上高は619百万円(前年同期比11.5%減)。防衛・安全保障向けが234百万円(前年同期421百万円)と落ち込んだ一方、北米事業が171百万円(前年同期25百万円)へ急拡大し、社会インフラ維持管理は213百万円(前年同期230百万円)と概ね維持。
売上原価が368百万円(前年同期624百万円)へ大幅圧縮され、売上総利益率は40.5%(前年同期10.8%)へ改善。営業損失は95百万円(前年同期239百万円)と縮小した。
前年同期は助成金収入293百万円が営業外収益に計上されていたため経常損失は16百万円にとどまっていたが、当期は助成金収入がなく経常損失72百万円となった。過去5期の売上高推移(621→1,635→896→2,656→2,599百万円)は変動が大きく、通期予想4,000百万円の達成には後半への大幅な案件集中が必要。
成長戦略
防衛深耕・北米本格拡大・物流量産・国家プロジェクト活用による多軸成長
防衛装備庁への継続受注を軸に、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資指定を追い風として国産ドローンの政府調達シェア拡大を目指す。2026年3月〜4月に小型空撮機体の納品案件を複数受注し実績を積み上げ中。
NDAA準拠・FCC認証取得済みの「SOTEN」を軸に、米国では20社以上の販売代理店網を通じた販売を継続。カナダではJam Industries Ltd.と代理店契約を締結し2026年6月より本格販売開始予定。第1四半期北米売上高は171百万円と前年同期比約7倍に急拡大。
日本郵便と共同開発した長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の量産を開始。物流用途に加え広域測量等への展開も視野に入れ販促中。2026年2月には多数機同時運航実証を日本郵便と共同実施。
SBIR事業(事業総額約26億円)で次世代小型空撮ドローンを開発中。NEDOのKプログラム(事業総額約29億円)ではPreferred Networksと連携しAI活用自律制御・分散制御技術の確立を推進。第1四半期にSBIR研究開発費として25百万円を計上。
2026年3月に2026年5月設立予定のJUDCへの参画が承認され、防衛分野に貢献する製品開発に向けた海外最新技術・知見の獲得を目指す。執行役員 先端技術担当Niklas Bergströmを2026年4月に選任し体制を強化。
最終更新: 2026年7月17日

