事業内容
株式会社ファインシンターは1950年創業の粉末冶金専業メーカーで、金属粉末を焼き固める焼結技術を核に自動車焼結部品・鉄道焼結部品・油圧機器製品の3事業を展開する。国内外6製造子会社(タイ・米国・中国・インドネシア等)を擁するグローバル体制を持ち、トヨタ自動車・デンソーを主要顧客とする。
売上高の約91%を自動車焼結事業が占め、新幹線用すり板・ブレーキライニングを手掛ける鉄道焼結事業(利益率27%超)と、デンタルチェア向け小型油圧機器の油圧機器製品事業(利益率約24%)が高収益の柱として補完する構造を持つ。東京・名古屋両証券取引所に上場。
ビジネスモデル
金属粉末の成形・焼結・仕上げ加工を一貫して行う製造直販モデルを採用。自動車焼結事業では量産型の受注生産で規模の経済を追求し、鉄道・油圧事業では高い技術障壁と顧客固定性を活かした高利益率ビジネスを展開する。
近年は部品単体販売からユニット製品(設計から生産まで一貫)への付加価値シフトを推進し、収益構造の高度化を図っている。研究開発費は596百万円(2026年3月期)を投じ、HEV用インバーター部品・次世代磁性材製品の開発を継続している。
企業の強み
ハイブリッド車用インバーター部品(リアクトルコア)において新型品の量産ラインを増設し、2026年3月期に生産を開始。HEV車520万台分を賄う計画規模に達しており、設計から生産まで一貫で手掛ける高付加価値ユニット製品の量産設備導入もほぼ完了している。
電動化対応製品が自動車焼結事業の増収・増益を牽引した実績が確認できる。
鉄道焼結事業は新幹線用すり板・ブレーキライニングを主力とし、2026年3月期のセグメント利益率は27.1%に達する。受注水準は前年度と同水準を維持しつつ原価改善が進み、セグメント利益は前年度比24.7%増の646百万円を達成。
集電性と耐摩耗性を両立するコア技術は競合が短期間で模倣困難な参入障壁を形成している。
タイファインシンター第2拠点が2024年11月に本格生産を開始し、駆動系部品の販売が好調に推移。2026年3月期の自動車焼結事業売上高は41,895百万円(前年度比8.9%増)となり、過去最高売上高の達成に貢献した。グローバル6拠点体制により顧客の生産地に近接した供給体制を構築している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期38,957百万円→2026期46,206百万円と5期連続増収基調で、2026期は過去最高を更新。営業利益は2023期に1,041百万円の損失を計上した後、2024期413百万円→2025期683百万円→2026期1,195百万円と回復が加速している。
増収要因は国内販売量増加・価格是正、タイ第2拠点の増産効果、HV用インバーター部品の好調受注。一方、当期純損失は減損損失2,191百万円・棚卸資産評価損473百万円の特別損失計上により2,414百万円に拡大。
外部要因として原材料・エネルギー価格の高止まりや米国通商政策の不透明感が継続しており、2027年3月期は売上高44,500百万円(前期比3.7%減)、営業利益1,200百万円(同0.4%増)を予想している。
成長戦略
生産拠点再編による基盤収益力底上げと磁性材・鉄道・油圧の成長3領域への集中投資
業績低迷が続く米国子会社AFS(オハイオ州)の事業を2028年3月末までに段階的停止し、グループ内他拠点へ生産移管。固定費削減と資産効率向上により中長期的な稼ぐ力の向上と財務体質強化を図る。
2025年5月30日付で精密焼結合金(無錫)有限公司の持分を追加取得し完全子会社化。資本剰余金1,276百万円増加。固定資産残存価額の見直し(取得価額の10%→1%)も実施し、実態に即した資産管理体制を整備。
HV用インバーター部品(リアクトルコア等)の新型品生産開始を実現。中期経営計画では磁性材をユニット製品取扱いと合わせた重点成長領域と位置づけ、付加価値・利益率のさらなる向上を目指す。
高収益の鉄道焼結事業(利益率27.1%)・油圧機器製品事業(利益率23.6%)に経営資源を重点投入。新幹線向け原価改善継続、油圧事業での北米顧客拡大・新規案件獲得を推進し、自動車事業依存度を低減する。
不採算製品の販売価格適正化、原材料・エネルギー価格高騰の販売価格への転嫁、過年度原材料単価変動の価格反映を継続実施。2026年3月期の売上総利益率は14.2%(前期13.5%)に改善した。
最終更新: 2026年7月19日

