事業内容
東京製綱は1887年創業の国内最大手ワイヤロープメーカーで、当社・子会社21社・関連会社5社で構成される。主力の鋼索鋼線関連(売上高の約44%)を筆頭に、スチールコード、道路安全施設・橋梁・炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)を手掛ける開発製品、産業機械、エネルギー不動産の5セグメントを展開する。
建設・インフラ・タイヤ・エレベータ等の幅広い産業を顧客基盤とし、国内工場(土浦・堺等)に加えベトナム・米国・中国に海外拠点を持つ。ビジョンに「トータル・ケーブル・テクノロジーの追求により世界の安全・安心を支える」を掲げ、スチールから炭素繊維まで多素材のケーブル製造・加工・診断・エンジニアリングを一貫提供する。
ビジネスモデル
当社グループは、自社製造と子会社製造品の仕入販売を組み合わせ、東綱ワイヤロープ販売等の販売子会社・施工子会社と連携して製品を市場に届ける。基幹の鋼索鋼線・スチールコードは量産型の安定収益基盤を担い、開発製品セグメントではCFCC等の高付加価値品を展開して利益率を引き上げる構造を持つ。
エネルギー不動産・産業機械が安定的なキャッシュを補完し、研究開発費1,341百万円を投じて次世代製品の競争力を維持する。
企業の強み
1887年創業以来、超高強度スチール・高機能繊維・炭素繊維など多素材のケーブル製造ラインナップを保有し、加工・健全性診断・エンジニアリングまで一貫提供できる体制を構築。研究開発費は年間1,341百万円(2026年3月期)を投じており、鋼索鋼線549百万円・開発製品725百万円が中心。
競合が短期間で模倣困難な技術基盤を有する。
炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)の国内外プロジェクト拡大により、開発製品セグメントの営業利益は2026年3月期に2,178百万円(前期比183.9%増)を達成。東京製綱インターナショナル㈱・Tokyo Rope USA, Inc.が製造販売を担い、米国ミシガン州での製造拠点も保有。
高付加価値品の構成比上昇が全社利益率改善を牽引している。
2026年3月期において、諸資材・人件費上昇に対応した製品価格改定の浸透と生産現場での操業コスト低減を同時に実行。鋼索鋼線関連は売上高が前期比2.5%減にもかかわらず営業利益は前期比13.1%増の2,533百万円を確保。
全社営業利益は4,849百万円(前期比35.3%増)となり、コスト管理と価格転嫁の実行力を示した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期(67,135百万円)をピークに微減傾向が続いていたが、2026年3月期は64,094百万円と前期(62,867百万円)比で1,227百万円増収に転じた。営業利益は4,849百万円と前期(3,585百万円)比35.3%増加し、過去5期で最高水準を更新。
当期純利益は3,481百万円と前期(3,247百万円)比で増益。外部要因として建設・インフラ需要の堅調さが鋼索鋼線関連の安定収益を支え、CFCC事業の拡大が開発製品関連の利益を大幅に押し上げた。
一方、スチールコード関連は損失が継続しており、タイヤ向け需要動向・競合環境が今後の業績変動要因として残る。
成長戦略
中期経営計画TCTRXのもとCFCC等重点育成事業への資源集中と既存事業の収益力強化を推進
炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)を中期経営計画TCTRXの重点育成事業として位置付け、国内外インフラプロジェクトへの展開を加速。2026年3月期の開発製品関連セグメント利益は2,178百万円と前期比約184%増を達成し、持分法適用会社への投資額も4,748百万円に拡大。
諸資材・人件費上昇に対応した製品価格改定の浸透と操業コスト低減を継続推進。2026年3月期の売上高営業利益率は7.6%と過去5期で最高水準を達成しており、既存事業の収益力強化が着実に進展している。
操業改善・原価低減・収益性を重視した選別的受注戦略によりスチールコード関連の損失縮小を図る。2026年3月期はセグメント損失606百万円と赤字が継続しており、タイヤ用スチールコードの販売数量回復と償却負担軽減が黒字転換の鍵となる。
石油製品販売・不動産賃貸・太陽光発電を手掛けるエネルギー不動産関連が安定収益源として機能。2026年3月期の外部顧客売上高は6,794百万円、セグメント利益は467百万円(利益率6.9%)と安定的な収益貢献を継続している。
最終更新: 2026年7月19日

