事業内容
株式会社駒井ハルテックは1883年創業の老舗鋼構造物メーカーで、橋梁・鉄骨・鉄塔の設計・製作・現場施工を一貫して手掛ける。橋梁事業(売上高の約38%)では鋼橋の積算から架設・補修まで、鉄骨事業(約60%)では超高層ビルを含む大型建築物向け鉄骨を提供する。
主要顧客は清水建設・大林組等の大手ゼネコンや国土交通省等の公共機関。これに加え、陸上・洋上風力発電設備の製造を担うインフラ環境事業、大阪事業所の不動産賃貸事業も展開する。
東京証券取引所スタンダード市場上場(2025年6月移行)。
ビジネスモデル
橋梁・鉄骨ともに受注生産型で、設計・製作・現場施工を自社グループ内で完結させる一貫体制が基本モデル。工事進行基準により売上を計上するため、受注残高が将来売上の先行指標となる。
2026年3月末時点の受注残高は合計52,820百万円。不動産賃貸事業(利益率80%)が安定的なキャッシュを補完する構造となっている。
企業の強み
国土交通省の鉄骨製作工場認定制度における最高位Sグレードを2工場で取得。Sグレードは超高層ビルや大型建造物向け鉄骨の製造を無制限に行える唯一の認定であり、競合他社が短期間で模倣困難な参入障壁として機能している。渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト等の著名案件への参画実績がこれを裏付ける。
橋梁事業では積算・設計・製作・現場架設・補修まで、鉄骨事業では設計・製作・現場建方まで、すべての工程を自社グループ内で担える体制を保有。溶接加工データの長年の蓄積に基づく高度技術力が顧客評価を獲得しており、2026年3月期の橋梁セグメント利益率は約16.3%に達している。
2026年3月末時点の受注残高は橋梁事業28,498百万円(前期末比16.9%増)、鉄骨事業24,262百万円の合計52,820百万円。特に橋梁の受注残高積み上がりは次期以降の売上計上の確実性を高めており、短期的な受注環境の悪化を一定程度緩和する構造的な強みとなっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は34,414百万円(前期比△15.1%)と2期連続の減収。橋梁事業(△16.9%)・鉄骨事業(△12.6%)ともに減収。
一方、橋梁事業での追加変更契約獲得と収益管理徹底により完成工事総利益率が10.5%→13.6%へ改善し、営業利益は470百万円(同+63.3%)と増益。ただし前期に計上した投資有価証券売却益1,635百万円・補助金収入1,855百万円等の特別利益が剥落したため、当期純利益は335百万円(同△73.7%)と大幅減。
外部環境として橋梁発注件数の減少・鉄骨需要低迷・原材料高騰・労務費上昇が引き続き業績の重荷となっている。2027年3月期は売上高36,000百万円・営業利益170百万円と増収ながら大幅減益を会社予想。
成長戦略
受注残高消化による業績回復と洋上風車タワー事業の早期事業化
2026年3月末の橋梁受注残高は28,498百万円(前期末比16.9%増)に積み上がっており、次期以降の売上計上が期待される。追加変更契約の獲得や収益管理徹底により2026年3月期のセグメント利益は2,151百万円を確保。
防災・国土強靭化需要を背景とした老朽インフラ補修・更新案件の取り込みを継続する。
鉄骨事業は2026年3月期にセグメント利益873百万円と前期の損失から黒字転換。受注残高24,262百万円を抱えるが、鋼材価格高止まりや人件費上昇・大型案件の工期見直しが収益性に影響するリスクが残る。Sグレード認定工場の強みを活かした大型・超高層案件の受注継続と設備投資による生産性向上が課題。
NEDO・経産省補助金(GXサプライチェーン構築支援事業等)を活用した設備投資を継続中。2026年3月期の補助金収入(特別利益)は590百万円を計上。
インフラ環境事業のセグメント損失は△599百万円と先行投資フェーズが継続。第7次エネルギー基本計画で洋上風力が重要電源と位置付けられており、2040年に向けた国内サプライチェーン構築の方向性が示されている。
2026年度より新たな経営体制のもとで中期経営計画2026をスタート。人材の確保・育成および生産性向上に向けた取り組みを通じて安定的な収益基盤の構築と企業価値の向上を目指す。
2027年3月期は売上高36,000百万円・営業利益170百万円を見込むが、前期比で大幅減益予想となっており計画達成に向けた施策の具体化が求められる。
最終更新: 2026年7月19日

