事業内容
株式会社フジクラは1910年創業の電線・ケーブルメーカーで、現在は情報通信・エレクトロニクス・自動車・エネルギー・不動産の5事業部門を展開する。主力の情報通信事業では光ファイバケーブル・光コネクタ・融着接続機等をグローバルに製造・販売し、米国ハイパースケールデータセンタ向けを中心に急成長している。
子会社107社・関連会社12社を擁し、アジア・欧州・北南米に生産拠点を持つ。主要顧客は通信キャリア・データセンタ事業者・自動車メーカー・電力会社等で、2026年3月期の連結売上高は1,182,358百万円に達する。
ビジネスモデル
光ファイバケーブルから融着接続機・光コネクタ・通信エンジニアリングまでを自社グループで一貫供給するトータルソリューションを強みとする。情報通信事業が全社営業利益の約8割を占める収益構造で、高密度ケーブルSWR®/WTC®等の差別化製品で高い利益率を確保。
エネルギー事業・不動産事業が安定収益を補完し、エレクトロニクス・自動車事業がグローバル製造基盤を提供する多層的な収益構造を持つ。
企業の強み
超細径・高密度光ファイバケーブルSWR®/WTC®は限られた布設スペースの有効活用と接続時間短縮を実現し、データセンタ市場での競争力の源泉となっている。2025年度には世界初の13,824心WTC®を開発・販売開始し、日本経済新聞社主催「2025年日経優秀製品・サービス賞」最優秀賞を受賞。
継続的な新製品投入により差別化優位性を確立している。
2026年3月に日米合計最大3,000億円を投じ光ファイバ及びSWR®/WTC®の生産能力を現状の最大3倍に拡大する方針を決定。佐倉事業所では約450億円を投じた次世代工場を建設中。
MTフェルールも2024年度比約1.7倍の増産投資を実施済みであり、旺盛な需要に対応できる供給体制の構築を自社投資で推進している。
旧深川工場跡地「深川ギャザリア」を核とする不動産事業は2026年3月期営業利益率44.9%を誇る高収益事業。エネルギー事業も同12.1%の利益率を維持。
2026年3月期末の純資産は593,200百万円、ネットキャッシュ残高は96,200百万円(前年度比58,400百万円増)と財務基盤は強固で、自己資本比率50%維持を方針として掲げている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は1,182,358百万円(前年度比20.7%増)、営業利益188,707百万円(同39.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益157,163百万円(同72.5%増)と全指標で過去最高を更新した。営業利益率は16.0%(前年度13.8%)、自己資本当期純利益率は32.5%(同24.4%)へ急改善。
外部要因として生成AI普及によるデータセンタ向け需要が情報通信事業部門の売上高を前年度比44.7%増の652,977百万円へ押し上げた。一方、エレクトロニクス事業部門はサプライチェーン問題・競争激化・タイバーツ高で営業利益が前年度比66.5%減と大幅悪化。
財務面では自己資本比率57.8%、時価ベース自己資本比率698.5%と財務体質が著しく改善した。5期間の推移では売上高が2022年3月期670,350百万円から2026年3月期1,182,358百万円へ76%増加し、営業利益は同期間に38,288百万円から188,707百万円へ約4.9倍に拡大した。
成長戦略
データセンタ向け光ファイバ増産投資と2028年中期計画での「攻めの選択と集中」加速
2026年3月に日米で合計最大3,000億円を投じ、光ファイバケーブルの生産能力を現状の最大3倍に拡大する方針を決定。北米ハイパースケールデータセンタ向けの旺盛な需要に対応し、情報通信事業部門の売上・利益成長を持続させる中核施策。
MT/MMCフェルールの増産に加え、ベトナム・メキシコ・ポーランド工場における配線部品の生産能力強化を推進。グローバルでのAIインフラ拡大を見据えた供給能力の確保が目的であり、欧州・アジア等の新規市場開拓とも連動する。
2026年5月に2028年中期経営計画を公表予定。強固な財務基盤を土台に「情報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」の3成長分野へ経営リソースを重点配分し、カーボンニュートラル向け先行投資や新領域R&Dにも積極投資する方針。
2026年度よりエレクトロニクス事業部門と自動車事業部門を統合し、電子・電装事業部門として運営。次世代車・AIロボット等の新事業機会を見据え、高精度微細加工技術と優良顧客基盤・グローバル生産拠点の両強みを融合させ新ビジネスを創出する。
研究開発部門では短期事業化テーマを事業部門に移管し、超電導・ファイバレーザ・次世代光ファイバ(マルチコアファイバ・ホローコアファイバ)等の中長期コア技術創出に注力。CPO等の光電融合技術発展への貢献も目指す。
その他セグメントの有形固定資産及び無形固定資産の増加額が前年度1,087百万円から6,064百万円へ急増しており、先行投資が本格化している。
最終更新: 2026年7月19日

