事業内容
日本精鉱株式会社は1935年創業の非鉄金属素材メーカーで、アンチモン事業と金属粉末事業の2本柱で構成される。アンチモン事業では三酸化アンチモン(難燃剤・触媒用途)、三硫化アンチモン(ブレーキ材料)、アンチモン酸ソーダ等を製造販売し、中国現地法人を通じた原料調達・販売も行う。
金属粉末事業は連結子会社・日本アトマイズ加工㈱が電子部品向け銅粉・貴金属粉・鉄系合金粉や粉末冶金向け金属粉末を製造販売する。主要顧客は自動車・家電・電子部品・産業機械メーカーで、東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
ビジネスモデル
アンチモン事業では原料アンチモン地金を調達し、製錬・加工して三酸化アンチモン等を製造、直販および代理店経由で販売する。原料価格の変動は製品販売価格に転嫁する仕組みを持つ。
金属粉末事業では各種金属を溶解・アトマイズ加工して高機能粉末を製造し、電子部品・粉末冶金メーカーへ供給する。両事業とも見込み生産方式を採用し、設備投資と技術開発により製品の高付加価値化と原価低減を追求する。
企業の強み
1948年に中瀬製錬所でアンチモン製錬を開始して以来、三酸化アンチモン・三硫化アンチモン・アンチモン酸ソーダ・金属硫化物(SULMICS)等の多様な製品群を保有する。2025年4月には技術開発部を新設し、高付加価値製品開発と多様な原料調達技術の高度化を推進している。
ISO9001・ISO14001の両認証を取得し、品質・環境管理体制を整備している。
2013年に設立した日テイ精礦(上海)商貿有限公司は、中国国内市場でのアンチモン製品販売と原料調達の両機能を担う。中国が主産地であるアンチモン地金の調達において現地法人を持つことは、情報収集・交渉力・調達スピードの面で競合に対する構造的優位となる。
さらに中国以外の供給元多様化も推進しており、調達リスク分散を図っている。
日本アトマイズ加工㈱はMLCC・インダクタ向け微細粉末、パワーインダクタ向け鉄系合金粉、車載用粉末冶金材料等の高機能製品を製造する。2012年竣工・2024年増築のつくば工場では鉄系合金粉製造ラインを増設し、2026年3月期に791百万円の設備投資を実施した。
アモルファス合金粉末・表面改質粉末等の次世代製品開発にも取り組んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の15,589百万円を底に2期連続で急拡大し、2026年3月期は40,866百万円(前期比62.3%増)に達した。外部要因として、アンチモン地金の国際相場が中国の輸出管理強化・太陽光パネル向け需要拡大を背景に前期比約48%上昇(平均約46,820ドル/トン)したことが主因。
アンチモン事業の売上高は29,373百万円(前期比85.8%増)、セグメント利益は5,391百万円(同76.2%増)と急拡大した。営業利益率は14.9%(前期14.3%)と改善。
ただし第4四半期の相場は約26,880ドルと第3四半期比約39%下落しており、2027年3月期は売上高34,400百万円・営業利益1,710百万円と大幅な減収減益を予想している。
成長戦略
2025〜2027年度中期経営戦略で既存事業の競争力強化・グローバル展開・新規事業創出を推進
中国当局の輸出管理継続を踏まえ、中国国外の競争力ある供給元のさらなる多様化を推進。生産プロセスのDX化・省人化による原価低減を加速し、収益性の改善を図る。2027年3月期の想定相場はトン当たり24,000ドルと保守的に設定。
技術開発部を中心に電池材料向け金属硫化物など新製品の開発・高付加価値製品の製造技術確立を推進。製品販売のグローバル化により収益の拡大を図る。2026年3月期の海外売上高比率は約20%(アジア中心)。
増設した鉄系合金粉製造ラインの稼働率向上によりパワーインダクタ向け電子部品用金属粉末の生産・販売を拡大。AIサーバー・EV向け需要の取り込みを加速し、セグメント利益率の改善を目指す。
MLCC・インダクタ向けに微細粉末・アモルファス合金粉末・表面改質粉末等の高付加価値新製品開発に取り組む。サーキュラーエコノミー実現に向けた金属粉末リサイクル率向上と再生処理技術の確立により原価低減を促進する。
2026年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施。投資単位当たりの金額を引き下げ、個人投資家をはじめとする投資家層の拡大と株式の流動性向上を図る。発行可能株式総数は1千万株から4千万株に変更。
最終更新: 2026年7月19日

