事業内容
東邦チタニウムは1953年設立のチタン専業メーカーで、JX金属を親会社に持つ東証プライム上場企業。主力の金属チタン事業ではスポンジチタン・チタンインゴット・高純度チタン・チタン加工品を製造し、航空機・半導体・一般産業向けに国内外へ供給する。
第二の柱である触媒事業ではプロピレン重合用触媒を製造・販売し、化学品事業では積層セラミックコンデンサ(MLCC)向け超微粉ニッケル等の電子部品材料を手掛ける。サウジアラビア合弁会社ATTM社を含む国際的な生産体制を有し、2025年3月期の連結売上高は88,974百万円。
ビジネスモデル
金属チタン事業(売上高の約73.7%)を中心に、Titanium Metals Corporation(売上高比36.0%)・日本製鉄(同15.3%)等との長期販売契約により安定的な販路を確保する。触媒事業(同12.0%)は22.2%の高営業利益率を誇り、化学品事業(同14.3%)は超微粉ニッケル新工場への投資フェーズにある。
原材料・電力コストの変動を販売価格是正で吸収しつつ、円安メリットを輸出収益に取り込む構造。
企業の強み
国内若松・茅ヶ崎・八幡工場に加え、サウジアラビア合弁ATTM社がフル生産体制へ移行。航空機向け輸出スポンジチタンは2025年3月期も堅調に推移し、金属チタン事業の売上高は65,568百万円(前期比10.5%増)、営業利益は6,926百万円(同53.6%増)を達成した。
プロピレン重合用触媒は2025年3月期に売上高10,680百万円(前期比45.8%増)、営業利益2,371百万円(同21.4%増)を計上。中国周辺諸国以外での回復を取り込み、グループ全体の収益安定化に貢献する高マージン事業として機能している。
1953年創業以来、チタン・触媒・電子部品材料にわたる独自技術を蓄積。2025年3月期の研究開発費は2,335百万円で、PEM型水電解装置向けチタン多孔質体(WEBTi®)等の新規事業開発にも注力。設備投資総額は12,388百万円に達し、将来の成長基盤を整備している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期55,515百万円→2023年3月期80,351百万円と急拡大後、2024年3月期78,404百万円、2025年3月期88,974百万円、2026年3月期83,389百万円(前年比6.3%減)と減収に転じた。営業利益は2023年3月期10,693百万円をピークに2026年3月期4,400百万円(同33.8%減)まで低下。
外部要因として、ボーイング社のサプライチェーン在庫調整の長期化、中国メーカーによるスポンジチタン過剰生産、ポリオレフィン製造設備新設による触媒需要の一時的停滞が重なった。一方、輸入原材料・電力価格はピークアウトしたものの依然高水準が続いており、コスト面の改善も限定的。
営業CFは11,051百万円と前年19,283百万円から大幅減少し、積極的な設備投資(15,007百万円)により現金残高は3,647百万円まで低下した。
成長戦略
チタン供給能力増強・新工場稼働・新規事業(WEBTi®)の三本柱でJX金属グループ内成長を追求
国内工場での新工場建設を継続し、航空機向けおよび半導体向け高純度チタンの供給能力を拡大。2026年3月期の建設仮勘定は17,523百万円に拡大しており、ボーイング在庫調整正常化後の需要回復に備えた先行投資が進捗中。
小型・大容量MLCC対応の超微粉ニッケル新工場を若松工場内に建設中。化学品事業の2026年3月期黒字転換(営業利益155百万円)を受け、需要回復局面での供給拡大体制の整備が進んでいる。設備投資額(化学品事業)は4,620百万円。
PEM型水電解装置向けチタン多孔質体WEBTi®の早期事業化を推進。全社費用(調整額)に含まれる研究開発費・管理費として2026年3月期に2,981百万円が計上されており、新規事業創出への投資が継続している。JX金属グループとの統合後のシナジー活用も期待される。
2026年6月1日付でJX金属の完全子会社となる株式交換が完了予定。JX金属グループの資源・素材バリューチェーンとの統合により、原材料調達の安定化・コスト競争力強化・海外展開加速等のシナジーが期待される。上場廃止後は非公開企業として中長期戦略を推進。
最終更新: 2026年7月17日

