事業内容
三菱マテリアルは、銅・金・銀・鉛・錫・パラジウム等の製錬・販売を中核とする金属事業を筆頭に、銅加工品・電子材料の高機能製品、超硬工具・タングステン製品の加工事業、再生可能エネルギー事業、セメント・エンジニアリング等のその他事業を展開する総合素材メーカーである。子会社113社・関連会社24社で構成されるグループは、家電リサイクルから伸銅品までのバリューチェーンを国内外に保有し、2024年12月には独エイチ・シー・スタルク・ホールディング社を買収してタングステンリサイクル領域でも世界最大級の処理能力を獲得した。
主要顧客は自動車・半導体・電子部品・建設等の幅広い産業に及ぶ。
ビジネスモデル
一次原料(銅精鉱等)の製錬から二次原料(E-Scrap等)のリサイクル処理、銅加工品・超硬工具等の高付加価値製品製造・販売までを垂直統合的に展開する。金属価格・為替・買鉱条件(TC/RC)が収益に直接影響する製錬事業に加え、持分法適用鉱山会社からの配当・投資利益、UBE三菱セメントからの持分法利益も経常利益を下支えする多層的な収益構造を持つ。
企業の強み
家電リサイクルから伸銅品までの一貫バリューチェーンを国内外に保有し、2024年12月の独エイチ・シー・スタルク・ホールディング社買収によりタングステンリサイクルでも世界最大級のスクラップ処理能力を獲得した。E-Scrap処理拡大・資源循環ネットワーク強化は自社固有の競争優位として機能している。
1873年の鉱山経営着手、1917年の鉱業研究所(現イノベーションセンター)設置以来、製錬・リサイクル・材料技術を蓄積してきた。2026年3月期の研究開発費は8,541百万円に上り、金属・高機能製品・加工事業の各セグメントで基盤技術強化と新技術創出に継続投資している。
金属事業(売上高940,464百万円)、高機能製品(567,972百万円)、加工事業(230,591百万円)、その他・再エネを含む多セグメント構成により、特定事業・地域への依存を分散している。ルバタ社(欧州銅加工)、米国・欧州の超硬工具販売子会社等を通じたグローバル展開も自社固有の強みである。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の連結売上高は1,844,053百万円(前期比6.0%減)と減収となったが、これは金属事業における金の生産量減少等が主因。一方、銅・金価格の上昇(外部要因)と抜本的構造改革による収益性向上が奏功し、営業利益は60,502百万円(同63.0%増)、経常利益は97,556百万円(同62.0%増)と大幅改善。
為替差益5,735百万円の計上、持分法投資利益21,201百万円(前期17,539百万円)・受取配当金23,491百万円(前期20,197百万円)の増加も経常利益を押し上げた。ただし、小名浜製錬所稼働停止決定等に伴う減損損失30,335百万円を含む特別損失41,487百万円の計上により、親会社株主帰属純利益は40,581百万円(同19.1%増)にとどまった。
過去5期の営業利益推移は52,708→50,076→23,276→37,118→60,502百万円と、2024年3月期の底打ち後に急回復している。
成長戦略
中期経営戦略2026〜2028年度のもと、マテリアル・プロダクト・資源・再エネの4領域でグローバル展開を加速
量から質への経営転換の一環として、TC/RC悪化が続く銅精鉱処理事業からの撤退を決定。2027年3月末を目途に小名浜製錬所の銅精鉱処理・関連製錬設備の稼働を停止し、固定費削減と収益体質の抜本的改善を図る。
2026年3月期に減損損失20,361百万円・その他事業構造改革費用3,989百万円を計上済み。
中期経営戦略(2026〜2028年度)に基づき、従来の金属事業・高機能製品・加工事業・再生可能エネルギー事業の4区分から、マテリアル領域・プロダクト領域(超硬製品・高機能製品)・資源事業・再生可能エネルギー事業の新5区分へ移行。資源循環ループ・タングステンリサイクル拡大と高付加価値製品・ソリューション提供による収益性向上を目指す。
2024年12月に連結子会社化したエイチ・シー・スタルク・ホールディング社の統合を推進。2026年3月期に暫定的な会計処理を確定(のれん18,073百万円)し、加工事業の外部売上高は230,591百万円(前期比59.9%増)、経常利益は14,980百万円(同75.5%増)に拡大。
値上げ効果・タングステン製品販売増加・グローバル販売網強化による更なる収益改善を目指す。
2026〜2028年度の中期経営戦略期間中は、従来の配当性向30%目途から純資産配当率(DOE)2.5%目途へ配当方針を変更。2027年3月期の年間配当予想は116円(中間58円・期末58円)と、2026年3月期の100円から16%増配を予定。配当性向は30.9%の見込み。
2026年4月に退職一時金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行。翌連結会計年度(2027年3月期)において特別利益11,033百万円を計上する見込みであり、純利益の押し上げ要因となる。退職給付債務の削減による財務体質改善効果も期待される。
最終更新: 2026年7月19日

