事業内容
日本鋳鉄管株式会社は1937年創業、埼玉県久喜市に製造拠点を置く上場企業(東証スタンダード)。ダクタイル鋳鉄管・鉄蓋・樹脂管・関連付属品の製造販売を主軸とし、上下水道事業体・ガス会社を主要顧客とする。
連結子会社4社(日鋳商事・鶴見工材センター・日鋳サービス・イガラシ)を通じ、販売・物流・リサイクル・資材販売まで一貫したグループ体制を構築。近年は管路診断DXサービス(Fracta-AI、だいさくくん)や施工工具(楽ちゃく・オセール)など、管路整備サイクル全般への事業領域拡大を推進している。
ビジネスモデル
売上高15,942百万円の約87%をダクタイル鋳鉄関連が占め、水道事業体・特約店経由の販売が主な収益源。製造は久喜工場(埼玉県)の電気炉一貫生産体制で行い、グループ商社・倉庫機能を活用した荷揃いサービスで付加価値を提供。
価格改定の継続推進と高付加価値品(オセール・楽ちゃく・KATANAバルブ)の拡販、管路診断DXサービスの有償提供により、従来の管材売り切り型から管路整備サイクル全般への収益拡大を目指している。
企業の強み
2025年7月に電気炉の生産稼働を開始し、同年10月に全量電気炉化を達成。キュポラ炉から完全転換することで、2027年度に2013年度比50%のGHG排出削減を目標とする。設備投資総額2,395百万円(ダクタイル鋳鉄関連)を投じた製造基盤の刷新は、競合他社が短期間で模倣困難な固有の競争優位となる。
2025年3月にクボタと製造合弁会社設立契約を締結(当社出資比率80.1%)。2026年12月を目途に、クボタ京葉工場の小口径ダクタイル鉄管(呼び径75mm~250mm)のOEM生産を受託予定。
増産による生産性向上・重量当たりコスト低減が見込まれ、業界の生産設備過剰解消と収益拡大を同時に実現する戦略的な製造基盤強化策である。
Fracta Japan社とのパートナーシップによるFracta-AI管路診断技術は、2025年1月のインフラメンテナンス大賞・内閣総理大臣賞を受賞し、水道事業体への採用が拡大中。マンホール点検DXソフト「だいさくくん」、施工工具「楽ちゃく」「オセール」も実績を積み上げており、東京都水道局による円形消火栓プレキャスト工法の正式採用など、管材販売以外の収益源が具体化している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の16,859百万円をピークに2期連続で減少し、2026年3月期は15,942百万円。外部要因として水道事業体の発注量低迷(特に小口径)とガス導管工事量の減少が主因。
営業利益は2024年3月期の860百万円から2025年3月期に260百万円へ急落後、2026年3月期は258百万円とほぼ横ばいで推移。電気炉稼働に伴う一過性費用増・諸物価上昇を高付加価値品拡販とコスト削減で相殺した。
最終損益は前期の△230百万円から91百万円へ黒字転換。包括利益は退職給付に係る調整額567百万円の改善を主因に710百万円と大幅改善。
一方、支払利息の増加(43百万円→90百万円)により経常利益は215百万円(前期比19.4%減)にとどまった。
成長戦略
電気炉稼働・クボタ合弁・DXサービスで管路ワンストップ企業への転換を加速
当社久喜工場のダクタイル鉄管(直管)製造部門を分社化し、クボタ京葉工場の小口径製品をOEM供給する合弁会社(当社子会社)を設立。業界全体の生産設備過剰解消と自社コスト構造の最適化を同時に実現する。
2025年7月に久喜工場で電気炉の生産稼働を開始し、同年10月に100%電気炉化を達成。2027年度に自社製品のCO2排出量50%削減(対2013年度比)を目標とする。電気炉稼働に伴う一過性費用は2026年3月期に計上済み。
Fracta-AI管路診断技術の普及促進、DXソフト「だいさくくん」の販売促進、プリセット接合工具「楽ちゃく」の新サイズ拡大、さや管推進部品「オセール」の拡販を推進。水道管製造・販売にとどまらない管路ワンストップ型ビジネスモデルへの転換を目指す。
部品仕入価格・エネルギー価格・物流費等の諸物価上昇を受け、顧客理解を得ながら販売価格の改定を継続推進。高付加価値商品の販売拡大とコスト削減の積み上げにより、売上減少局面でも営業利益を前期並みに維持した実績がある。
販売価格改善・生産稼働体制の見直しに加え、倉庫・運送・リサイクル事業を行うグループ会社との連携拡大により収益貢献を強化。2026年3月期のセグメント利益は168百万円と、ダクタイル鋳鉄関連(87百万円)を上回る収益性を示している。
最終更新: 2026年7月19日

