事業内容
株式会社栗本鐵工所は1909年創業の老舗産業メーカーで、当社・子会社22社で構成されるグループを形成する。主力のライフライン事業では水道用ダクタイル鉄管・バルブを製造販売し、上水道インフラの更新・耐震化需要を主要顧客である水道事業体向けに取り込む。
機械システム事業では鍛造プレス・混練機・破砕機等の産業機械と素形材を手掛け、産業建設資材事業では化成品・建材・合成樹脂製品を建築・電力・道路インフラ向けに供給する。売上高128,126百万円(2026年3月期)の約52%をライフライン事業が占め、公共インフラ需要を安定収益基盤とする。
ビジネスモデル
従来は資材の製造・販売が主体であったが、上水道市場における管路設計・施工の一括発注増加を背景に、DBM(デザインビルドメンテナンス)対応を強化し、工事・サービスを含むソリューション提供へビジネスモデルを拡張している。ライフライン事業が安定収益基盤を担い、機械システム事業・産業建設資材事業が成長牽引役を担う二層構造で、営業キャッシュフローを主財源に設備投資・M&Aを実行する。
企業の強み
1909年創業以来117年にわたり水道・ガス用鋳鉄管製造を継続し、ダクタイル鉄管・バルブ・管路設計施工を一体提供できる体制を構築。耐震管GX形の呼び径を500mm・600mmに拡充するなど製品ラインナップを継続強化しており、水道事業体との長期的な信頼関係と豊富な納入実績が参入障壁を形成している。
2026年3月期末の自己資本比率は60.7%(2022年3月期47.5%から継続改善)、純資産は95,438百万円に達する。有利子負債23,560百万円に対し現金及び現金同等物18,395百万円を保有し、インタレスト・カバレッジ・レシオは27.8倍。
財務健全性が高く、成長投資と株主還元(配当性向50%以上)を同時に実行できる財務基盤を有する。
2026年3月期の研究開発費は2,008百万円。コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)が1,118百万円を担い、磁気粘性流体SoftMRF・鉛フリー銅合金Brobea・難燃耐熱マグネシウム合金KEHMAなど独自素材を開発。
FRP量産技術・再生骨材製造システム・二次電池向けプロセス設備など複数の新規事業領域で技術開発を進めており、既存事業との技術シナジーが競争優位を支える。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期105,954百万円から2026年3月期128,126百万円へ5期連続増収(前期比+1.2%)。営業利益も同期間で4,172百万円から8,059百万円へ拡大し前期比+1.6%増益。
ただし経常利益は受取配当金減少・支払利息増加により前期比▲1.9%の8,319百万円、親会社株主帰属純利益は関係会社減損損失731百万円・法人税等増加により前期比▲3.0%の6,701百万円と2期連続減益。包括利益は退職給付調整額・有価証券評価差額の改善により10,709百万円(前期比+22.0%)と大幅増加。
2027年3月期は売上高130,000百万円(+1.5%)、営業利益8,000百万円(▲0.7%)、純利益7,200百万円(+7.4%)を予想。
成長戦略
ソリューション拡充・成長分野投資・資本効率改善の三本柱で中長期的企業価値向上を追求
ダクタイル鉄管の主力生産拠点である加賀屋工場にてCO2排出量削減と生産合理化を目的とした大型設備投資を実施中。建設仮勘定は前期2,340百万円から6,269百万円へ急増しており、投資は佳境を迎えている。完成後はコスト競争力強化と環境対応力向上が期待される。
2024年4月に全株式取得・完全子会社化した三協機械株式会社を2026年4月1日付で吸収合併。アスファルト・コンクリート破砕プラント関連の要素技術を機械システム事業部門に統合し、循環型社会実現に向けた再生骨材ビジネスの収益化と経営効率化を図る。
2026年3月期よりツカサ工業株式会社を産業建設資材事業セグメントに新規連結(のれん77百万円発生)。同社の製造・販売機能を取り込み、化成品・建材分野での事業規模拡大と収益基盤の強化を図る。
中期3カ年経営計画に基づき、資本コスト経営とサステナビリティ経営を両輪として推進。自己資本比率は2022年3月期47.5%から2026年3月期60.7%へ継続改善。時価ベース自己資本比率も62.6%(前期38.5%)へ大幅上昇し、株主価値向上が進展している。
最終更新: 2026年7月19日

