事業内容
共英製鋼は1947年創業の電炉専業鉄鋼メーカーで、鉄スクラップを溶融・精錬・圧延して異形棒鋼・ネジ節鉄筋等の土木建設用鋼材を製造販売する。国内は枚方・山口・名古屋・関東の4事業所体制で国内鉄筋トップシェアを誇り、海外はベトナム(南北複数拠点)・米国テキサス州・カナダアルバータ州の「世界3極体制」で展開する。
電炉の高熱を活用した医療・産業廃棄物の溶融処理(環境リサイクル事業)も手掛け、鉄づくりと廃棄物処理を一体化した資源循環型事業モデルを構築している。連結売上高315,106百万円のうち海外鉄鋼事業が178,988百万円と過半を占め、成長軸は海外にシフトしている。
ビジネスモデル
主収益源は鉄スクラップを原料とした電炉製鋼・圧延による鉄筋製品の製造販売であり、製品価格と原材料価格の差(売買価格差)が利益の主要ドライバーとなる。国内では4事業所が地産地消型に各需要地へ供給し、海外では現地電炉または購入ビレットを圧延して現地建設需要に対応する。
電炉の高熱を活用した廃棄物溶融処理は処理料収入を得る副次的収益軸であり、スラグ等の副産物も再生砕石として販売する。付加価値製品(ネジ節鉄筋・鉄筋加工品)や「エシカルスチール」ブランドによる非価格競争力強化も収益構造転換の柱として推進している。
企業の強み
枚方・山口・名古屋・関東の4事業所体制により主要需要地をカバーし、国内鉄筋市場でトップシェアを維持する。2024年3月には関東スチールを吸収合併して関東事業所とし、首都圏での供給基盤を強化した。2026年3月期の国内出荷量は138.0万トンに達し、地産地消型の安定供給体制を確立している。
ベトナムでは南北複数拠点を展開し、2025年6月にベトナム・イタリー・スチール社ハイフォン工場の新圧延ラインが稼働し製鋼圧延一貫体制を確立した。カナダ・アルタ・スチール社は細物鉄筋で高収益を維持し、米国・ビントン・スチール社は327百万ドルの大型リニューアルを進行中。
海外売上高178,988百万円はグループ全体の56.8%を占める。
1989年より電炉の高熱を活用した医療廃棄物・産業廃棄物の溶融処理事業を展開し、35年超の処理実績と許認可を蓄積する。「メスキュードシステム」による医療廃棄物の無害化処理は独自ブランドとして確立しており、アスベスト等の難処理廃棄物対応力は競合他社が短期間で模倣困難な参入障壁を形成している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の連結売上高は315,106百万円(前期比△2.4%)と微減。国内鉄鋼事業が建設需要低迷・売買価格差縮小で125,527百万円(同△12.0%)と大幅減収となった一方、海外鉄鋼事業がベトナムの旺盛なインフラ需要と北米下期黒字転換により178,988百万円(同+5.9%)と増収。
営業利益は16,967百万円(同+10.7%)と増益を確保したが、前期の受取保険金2,765百万円・助成金収入710百万円等の特別利益が剥落し、親会社株主帰属純利益は9,864百万円(同△8.6%)と2期連続減益。過去5期では2024年3月期の21,055百万円(営業利益)をピークに調整局面が続いている。
外部要因として、鉄スクラップ価格は通期で前期比3.5千円下落したが第4四半期に急騰、中東情勢を背景とした原油高・エネルギー費上昇も収益を圧迫した。
成長戦略
北米大型設備投資・ベトナム拡販・エシカルスチールで世界3極体制を確立
設備老朽化が続く米国拠点の抜本的刷新として製鋼工場新設と圧延ラインの大規模リニューアルを推進。製造コスト削減と生産能力増強により北米事業の収益基盤を強化する。2026年4月に米国共英製鋼会社へ100百万米ドルの追加出資を完了し資金手当てを実施。
ベトナム政府の経済成長重視政策によるインフラ投資を背景に、南北全拠点で営業黒字を達成。2025年6月稼働の北部ハイフォン新圧延工場が概ね計画通りの生産・販売を記録し、製鋼・圧延一貫体制が確立。次期も南北エリアともに販売量増加と増収増益を見込む。
CO2排出量が少ない電炉鋼材の環境優位性を「エシカルスチール」として訴求し、環境意識の高い需要家への差別化販売を推進。国内需要低迷下での価格規律維持と付加価値向上を図る。次期も拡販継続により収益増加を目指す方針を明示。
鉄スクラップ価格上昇基調・エネルギー費増加という逆風下で、より一層のコスト削減と製品価格引き上げを継続。川上(スクラップ調達多様化)・川下(鉄筋加工品等付加価値製品強化)の両面で収益体質改善を図る。次期は国内事業のさらなる悪化を想定しつつも対策を継続。
最終更新: 2026年7月19日

