事業内容
ニチアス株式会社は1896年創業、2026年に創業130周年を迎えた産業用シール材・断熱材の老舗総合メーカーである。「断つ・保つ」をコア技術として、電力・石油化学プラント向け工事・販売、幅広い基幹産業向け工業製品、半導体・液晶製造装置向け高機能製品、自動車部品、不燃建材の5セグメントを展開する。
国内外53子会社・9関連会社を擁し、電力・石油精製・半導体・自動車・建築など多様な産業を顧客基盤とする。売上高251,910百万円(2026年3月期)、東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
プラント向け工事・販売では全国プラント施設への常駐体制を構築し、製品販売と継続的なメンテナンス工事を組み合わせた安定収益モデルを確立している。工業製品・高機能製品・自動車部品では自社製造品を各産業向けに供給し、建材では製品販売と施工工事を一体提供する。
研究開発費6,808百万円(売上高比2.7%)を投じ、差別化製品の開発・拡充により付加価値を維持する。
企業の強み
電力・LNG・石油精製・石油化学プラントに常駐体制を構築し、工事・メンテナンス需要を継続的に取り込む。2026年3月期のプラント向け受注高は84,087百万円(前期比+1.2%)、受注残高は26,582百万円(前期比+20.8%増)と先行指標が堅調であり、競合が短期間で模倣困難な顧客密着型の営業基盤を有する。
プラント・工業製品・高機能製品・自動車部品・建材の5セグメントを保有し、特定市場への依存を分散している。2026年3月期は高機能製品が半導体需要軟調で売上高39,094百万円(前期比△12.3%)と落ち込んだ局面でも、他4セグメントが堅調を維持し、グループ全体の営業利益率14.7%を確保した。
浜松研究所・鶴見研究所の2拠点と各事業部門技術開発部からなる研究開発体制を持ち、研究・開発スタッフはグループ全体で521名。2026年3月期の研究開発費は6,808百万円(売上高比2.7%)に達し、シール・断熱・耐火・耐食・クリーン技術の基盤整備と差別化技術強化を継続的に推進している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期216,236百万円から2025年3月期256,512百万円まで4期連続増収を達成したが、2026年3月期は251,910百万円(前期比1.8%減)と初の減収。営業利益も37,014百万円(同6.8%減)、営業利益率14.7%(前期15.5%)に低下した。
主因は高機能製品セグメントにおける半導体製造装置向け需要の軟調(同セグメント売上高前期比12.3%減)。一方、プラント向け工事・販売・工業製品・自動車部品は堅調を維持。
財政面では自己資本比率77.7%、純資産239,612百万円と財務基盤は引き続き強化。2027年3月期は半導体関連需要の回復を主因に売上高270,000百万円・営業利益45,000百万円(同+21.6%)の大幅回復を予想している。
成長戦略
中期経営計画「しくみ・130」のもと半導体・エネルギー需要を取り込み2027年3月期に営業利益率16.7%を目指す
半導体製造装置向けふっ素樹脂部品の需要回復を見込み、2026年3月期に設備投資2,139百万円を実施。受注高は前期比8.4%増の44,134百万円と先行指標が改善しており、2027年3月期の売上・利益回復の主要ドライバーと位置付けられている。
2026年3月期の工業製品セグメントへの有形・無形固定資産増加額は5,231百万円(前期2,243百万円から大幅増)。国内インフラ向けシール材の堅調需要と半導体関連ふっ素樹脂製品の拡大機会を取り込むための生産能力増強を推進中。
中期経営計画期間中の累進配当継続と総還元性向50%以上を方針として掲げる。2026年3月期はDOE4.6%・配当性向33.0%を達成。2027年3月期は株式分割後ベースで年間65円(中間35円+期末30円)を予定。2026年4月に1株→3株の株式分割を実施し投資家層の拡大を図った。
2027年3月期(創立130周年)を最終年度とする中期計画のイメージ目標は売上高275,000百万円・営業利益率17.3%・ROE15.0%以上・ROIC14.0%。2026年3月期実績はROE13.9%・ROIC10.7%・営業利益率14.7%にとどまり、最終年度目標との乖離が残る。
2027年3月期予想の営業利益率16.7%はイメージ目標17.3%をわずかに下回る水準。
最終更新: 2026年7月19日

