事業内容
日本インシュレーション株式会社は1914年創業の老舗素材・工事会社。1966年に世界初となる1000℃耐熱のゾノトライト系けい酸カルシウム材の製造技術を開発し、耐火・断熱分野に進出した。
現在は建築関連(鉄骨耐火被覆材・不燃内装建材・耐火被覆工事)とプラント関連(石油・化学・鉄鋼プラント向け保温材・保温工事)の2セグメントを展開。国内2工場(岐阜・北勢)に加え、ベトナム子会社JICベトナムがもみ殻バイオマスを活用したけい酸カルシウム保温材を製造し東南アジア・東アジアへ供給する。
主要顧客は建設会社・プラントオーナー(電力・石油・化学・鉄鋼各社)で、製品販売から施工請負まで一貫して手掛ける。
ビジネスモデル
製品販売と完成工事(施工請負)を組み合わせた垂直統合モデルが収益の柱。2026年3月期の売上高14,394百万円のうち、プラント関連9,279百万円・建築関連5,115百万円を計上。
工事部門は進捗度に応じた収益認識(インプット法)を採用し、受注残高が収益の可視性を高める。自社製品を自社施工することで品質管理を一元化し、顧客の改善要望を製品設計に迅速に反映できる体制を維持している。
企業の強み
1966年に世界初となる1000℃耐熱ゾノトライト系けい酸カルシウム材の製造技術を開発。以来、建築基準法に基づく耐火認定ライセンスを継続取得し、競合が短期間で模倣困難な技術・認定の蓄積を持つ。2026年3月期も新規耐火ライセンス取得や新規耐火板開発を継続しており、技術的参入障壁を維持している。
自社でけい酸カルシウム材を製造し、設計・施工・品質管理まで一貫して担う体制を構築。施工管理は自社社員が責任を持ち、契約不適合責任期間内の不具合は全て自社負担で修復する。この体制により顧客の改善要望を製品設計に円滑に反映でき、品質と顧客信頼の両立を実現している。
2014年設立・2016年稼働のJICベトナムは、もみ殻を燃料・原料に利用したバイオマス型けい酸カルシウム保温材「ダイパライト-E」を製造し、東南アジア・東アジア向けに供給。国内工場とは異なる原燃料構造を持ち、環境対応と海外需要取込みを同時に実現する独自の生産拠点として機能している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高推移は2022年3月期14,119百万円→2023年3月期12,320百万円→2024年3月期12,538百万円→2025年3月期12,223百万円→2026年3月期14,394百万円。営業利益は2022年3月期1,861百万円→2023年3月期1,145百万円→2024年3月期1,458百万円→2025年3月期1,027百万円→2026年3月期1,612百万円と推移。
2026年3月期は建築関連(物流施設・官公庁向け耐火被覆工事の大型案件増加、住宅向け耐火被覆材・煙突ライニング材の好調)とプラント関連(鉄鋼・化学・石油分野のメンテナンス・建設工事が当初想定を上回る水準)の両セグメントが牽引し、売上総利益の拡大が人件費上昇・販管費増加を吸収した。一方、2027年3月期は地政学リスク長期化・需要家の投資延期増加を背景に売上高13,050百万円・営業利益1,125百万円と大幅な減益を会社側が予想しており、成長軌道の持続性には不確実性が残る。
成長戦略
環境・防災・海外の3軸で既存事業を拡充しつつ第三の事業柱(環境改善)を構築
主力の耐火被覆材に加え、内装仕上材・炭素繊維強化プラスチック向け型材等の周辺領域製品の拡販を推進。工事部門では顧客ニーズに対応した施工方法や認定拡充により需要を掘り起こす。2026年3月期は大型案件受注増加により売上高5,115百万円・セグメント利益1,098百万円を達成。
顧客のカーボンニュートラル化対応(SAF・アンモニア燃料・ケミカルリサイクル等)に伴う保温材・保温工事需要の拡大を中長期的に取り込む。短期的には需要不足を埋める案件受注・周辺領域開拓・価格転嫁の実施で収益を確保する方針。
2026年3月期は売上高9,279百万円・セグメント利益1,668百万円と堅調。
建築・プラントに次ぐ「環境改善に貢献する第三の事業の柱」の構築を目指し、研究開発を推進。2026年3月期には環境事業の試験設備導入に伴う販管費増加が発生しており、投資フェーズにある。具体的な事業化時期・規模は現時点で開示されていない。
DX推進による労働生産性向上、働き方改革等による人的資本の充実、老朽設備の移設更新による設備生産性向上、JICベトナムを通じた海外事業の安定的拡大、内部統制水準の向上を並行推進。ベースアップの継続実施を予定しており、人件費上昇は当面の収益圧迫要因として継続する見込み。
最終更新: 2026年7月19日

