大型バイオマス発電の収益リスク
2025年4月に営業運転を開始した佐賀伊万里バイオマス発電所(46.0MW)において、PKS燃料の調達価格高騰・海上輸送運賃上昇・円安が重なり、燃料コストが高止まりしている。固定買取価格24円/kWhの適用期間(約19.5年)全体では黒字を確保する見込みであるものの、期間前半は金利・税負担等により赤字継続が予測されており、利益水準は低位に留まる。2025年6月末時点で総額525百万米国ドルの長期為替予約を締結し収益性確保を図っているが、燃料価格・為替レートが想定を超えて悪化した場合、発電所設備等の減損損失計上を含む財政状態への重大な影響が生じる可能性がある。
高水準の有利子負債と資金調達リスク
2025年6月期末における連結総資産に占める有利子負債の割合は61.3%と高水準にあり、再生可能エネルギー発電設備への設備投資や大型EPCに係る運転資金需要がその主因となっている。金利上昇や業績悪化による信用力低下が生じた場合、金利負担の増加や資金調達の制約につながる可能性がある。また、一部借入には財務制限条項が付されており、抵触した場合には期限の利益喪失や一括返済を求められるリスクがある(本書提出日現在、抵触事実はない)。
FIT/FIP制度変更リスク
当社グループは既にFIT認定を取得した合計69件の太陽光・バイオマス発電所を運営しており、固定買取価格に依存した収益構造を持つ。万が一、既存FIT認定に係る固定買取価格の引き下げ等の大きな制度変更がなされた場合、固定費削減には限界があるため収益性が低下し、事業撤退に伴う追加費用や固定資産の減損損失が生じる可能性がある。当社グループは2023年3月よりFIT制度からFIP制度への移行を一部で進めているが、制度変更への対応が間に合わない場合のリスクは残存する。
再エネ発電所の出力制御拡大
国内における再生可能エネルギー発電所の出力制御エリアは全国的に拡大しており、複数エリアでの同時出力制御増加等により足元の出力制御量は増加傾向にある。当社グループが運営する太陽光発電所の大半には旧ルール(年間30日上限・無補償)が適用されているが、無制限・無補償の出力制御対象となっている「TESS鹿児島下福元ソーラー発電所(約2.3MW)」および「福岡みやこメガソーラー発電所(約67.0MW)」については売電収入への直接的な影響がある。2026〜2027年度にはFIT電源が出力制御の優先順位で先行する制度改定も予定されており、売電収入の減少リスクが高まっている。
大型EPC案件の工程・採算リスク
当社グループは大型EPC案件を継続的に受注しているが、工事工程の複雑化・長期化等により想定通りに工事が進捗しない場合、売上計上の期ズレや想定外の追加コスト・遅延損害金が発生する可能性がある。また、大型EPC案件の有無・規模・売上計上タイミングにより各決算期の業績が大きく変動し、売上高および利益が低水準に留まる可能性もある。FIT制度を活用した太陽光発電設備のEPCについては本書提出日現在で新規受注がなく、蓄電システム・自家消費用太陽光・省エネ設備等への受注拡大が課題となっている。
事業投資の失敗・減損リスク
当社グループは再生可能エネルギー発電所・蓄電システム・オンサイトPPA設備等への継続的な設備投資および合弁会社設立等の事業投資を実施しており、有形固定資産・のれん等の資産規模が拡大している。投資が想定通りに進展しない場合や未認識の瑕疵・問題が判明した場合、有形固定資産・無形資産・のれん等の減損損失が生じる可能性がある。また、多額の借入による有利子負債割合の増大や、エネルギー供給先の経営破綻等が重なった場合には、収益性の悪化と財政状態への複合的な影響が懸念される。
建築資材・燃料・電力価格変動
エンジニアリング事業・エネルギーサプライ事業の双方において、建築資材・燃料価格の変動が受注活動や収益性に影響を与えるリスクがある。電気の小売供給ではJEPX(日本卸電力取引所)からの調達価格変動リスクが存在し、世界的なエネルギー価格高騰や猛暑・寒波等により電力取引価格が急騰した場合、相対取引や販売価格値上げによるリスク回避が機能しない可能性がある。当社グループは市場連動型メニューの展開や複数調達先の確保等で対応しているが、コントロール不能な価格変動が顕在化した場合には業績・財政状態に影響が及ぶ。
自然災害・気候変動による設備被害
大規模地震・台風・豪雨等の自然災害や気候変動による物理リスクが顕在化した場合、当社グループが保有する再生可能エネルギー発電所等の設備に重大な損傷が生じ、修理費用の発生や操業停止による売電収入の喪失が生じる可能性がある。発電設備の損傷に伴う部材飛散等で近隣住民・家屋に被害が及んだ場合には行政処分・行政指導を受けるリスクもある。施設賠償責任保険への加入やTCFD提言に基づく気候変動対応を推進しているが、想定を上回る損失・被害が生じた場合には保険でカバーしきれない可能性がある。
人材流出・資格者不足
エンジニアリング事業の遂行には建設業法上の資格保有者を含む専門人材が不可欠であるが、国内の雇用環境悪化により人材獲得競争が激化した場合、キャリア・資格保有者の採用・教育の失敗や社外流出、労務費の増加が生じる可能性がある。当社グループは新卒・経験者の通年採用、評価制度の整備、資格取得支援制度等で人材定着に努めているが、これらの施策が奏功しない場合には事業継続性に影響が及ぶ。特定建設業許可等の許認可維持に必要な資格者の確保が困難となった場合、許認可の維持自体が困難になるリスクもある。
情報漏洩・サイバーセキュリティ
当社グループは個人情報や取引先の機密情報を取り扱っており、システムへの不正侵入・情報漏洩・改ざん・人為的ミス等が発生した場合、業務停滞・顧客からの損害賠償請求・社会的信用の低下が生じる可能性がある。「JIS Q 27001:2023」に適合した情報セキュリティマネジメントシステムの構築、ファイアーウォール設置、データ暗号化、PCログ取得等の対策を講じているが、サイバー攻撃の高度化により完全な防御は困難である。ICTソリューションセンターの監視設備等の基幹インフラが被害を受けた場合には、顧客へのサービス提供停止や発電所の監視機能喪失につながるリスクもある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月28日

