事業内容
株式会社リプロセルは、山中伸弥教授のiPS細胞発明を起源とする技術基盤を持ち、日米欧印4拠点で事業を展開するバイオテクノロジー企業である。「研究支援事業」では大学・公的研究機関・製薬企業向けに研究試薬・ヒト生体試料・受託サービスを提供し、「メディカル事業」では脊髄小脳変性症向けステムカイマルをはじめとする再生医療製品の研究開発・受託製造(CDMO)・臨床検査を手掛ける。
2026年3月期の売上高は2,233百万円で、研究支援事業が売上の約87%を占める短中期収益基盤となっている。
ビジネスモデル
研究支援事業では研究試薬・細胞製品の製造販売と受託サービスにより継続的な収益を確保する。メディカル事業では再生医療製品の承認取得・CDMO受託・臨床検査を通じた中長期収益を目指す。
事業収益が資金需要を賄うには不十分なため、公的助成金や第三者割当増資を補完的に活用しており、2026年3月期末時点で現金及び預金2,603百万円・有価証券3,904百万円の流動性を確保している。
企業の強み
山中教授のiPS細胞樹立時に使用された培養液を初期製品として持ち、世界初のiPS細胞由来心筋細胞・神経細胞・肝細胞の製造販売実績を有する。RNAリプログラミング技術・ゲノム編集技術・分化誘導技術を自社保有し、iPSアカデミアジャパンからの商業利用ライセンスも取得済みである。
日本(殿町・リプロセル再生医療センター)・米国(REPROCELL USA)・英国(REPROCELL Europe、GLP準拠施設保有)・インド(Bioserve)の4拠点を有し、2025年10月にはスペイン・ヒストセル社がGMP認証を取得し日米欧3拠点のCDMO体制が整備された。臨床用iPS細胞はFDA DMF登録済みで米国承認申請手続きの簡略化に対応する。
脊髄小脳変性症向けステムカイマルは2018年12月に希少疾病用再生医療等製品に指定され、開発費助成(最大50%)・優先審査の対象となっている。国内第II相臨床試験で安全性確認・有効性の傾向が確認され、2024年11月にはステミネント社が外国製造業者認定を取得し、承認申請要件の一つが充足された。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高の推移は2022期2,235百万円→2023期2,953百万円→2024期2,427百万円→2025期2,979百万円→2026期2,233百万円と、2025期をピークに急減。2026年3月期は研究支援事業が前期比19.1%減の1,952百万円、メディカル事業が同50.2%減の281百万円と両セグメントで大幅減収となった。
営業損失は前期130百万円から860百万円へ拡大し、研究開発費増加(536百万円→627百万円)と売上総利益の大幅減少(1,649百万円→1,015百万円)が重なった。外部要因として為替差益109百万円(前期17百万円)が経常損益を一定程度下支えしたが、経常損失は581百万円に達した。
2027年3月期は売上高2,629百万円(前期比17.7%増)・営業損失630百万円を会社予想とするが、損失幅の縮小にとどまり黒字転換は見込まれていない。
成長戦略
研究支援事業の収益拡大とメディカル事業4パイプラインの早期承認・事業化を両輪で推進
国内第II相臨床試験完了済み(2022年5月)。2024年11月にステミネント社が外国製造業者認定を取得し承認要件の一つを充足。希少疾病用指定による優先審査・開発費助成最大50%の対象として、脊髄小脳変性症患者向け承認申請準備を継続中。
2025年10月スペイン・ヒストセル社AEMPS GMP認証取得、2026年1月「StemEdit™」提供開始、同年3月REPROCELL USA Inc.でのMCB製造サービス開始により、ドナー選定からGMPセルバンキングまでの一気通貫受託製造体制を確立。Gameto社供給iPS細胞がFDA第III相IND取得を通じ品質実績を蓄積。
TIL療法は慶應義塾大学での先進医療B(子宮頸がん対象)で2024年11月に2例目投与実施、2026年までに計10名予定。GPC-1 CAR-T療法は2024年12月AMED採択を受け、京都大学・国際医療福祉大学との共同研究で食道がん対象の臨床試験早期開始に向けた非臨床試験・品質確立を推進中。
2025年4月にHLAノックアウトiPS細胞株「StemEdit™ Human iPSC non-HLA」を販売開始。iPS細胞の創薬モデル細胞・遺伝子編集・3次元モデル組織等の付加価値サービスと細胞測定機器を組み合わせた総合プラットフォームを製薬企業向けに展開し、安定収益基盤の強化を図る。
最終更新: 2026年7月19日

