事業内容
ケミプロ化成は1982年設立の東証スタンダード上場のファインケミカルメーカーで、化学品事業(売上高の約90%)とホーム産業事業(同約10%)の2セグメントを展開する。化学品事業では紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系・トリアジン系)、酸化防止剤、製紙用薬剤、電子材料(有機EL向け)、受託製造製品を製造・販売し、BASFジャパンへの供給契約(2029年9月まで)を含む国内外の大手顧客を主要取引先とする。
ホーム産業事業では木材保存薬剤を主力に、ホームセンター向け塗料等を手掛ける。姫路・相生・明石・福島の複数工場を有し、研究開発人員20名(総従業員比9.0%)を擁する開発型企業を標榜している。
ビジネスモデル
化学品事業では自社ブランドの紫外線吸収剤・酸化防止剤等の直販・OEM販売に加え、受託製造製品(化学品事業売上高の約27%)を組み合わせることで設備稼働率を安定させる。BASFジャパンとの長期供給契約により国外独占販売権を付与し安定受注を確保する一方、受託ビジネスで新規顧客を取り込む。
ホーム産業事業は木材保存薬剤の製造・販売を軸に受託加工品を補完的に取り込む構造である。
企業の強み
2024年11月締結のBASFジャパンとの供給契約(2029年9月まで)により、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)の国外における実質的独占販売権を付与し、一定量以上の購入を義務付けている。2026年3月期のBASFジャパン向け売上高は1,838百万円(総売上高比20.6%)であり、安定的な受注基盤を形成している。
紫外線吸収剤・酸化防止剤・製紙用薬剤・電子材料・写真薬中間体と幅広い品目を自社製造する有機合成技術力を保有し、受託製造製品は化学品事業売上高の約27%(2,172百万円)を占めるまでに拡大。研究開発費247百万円(対売上高比2.8%)を投じ、産業技術総合研究所とのペロブスカイト太陽電池共同開発も実施している。
2026年3月期末の自己資本比率は39.0%(前期末35.9%から3.1ポイント改善)となり、中期経営計画の目標値39%以上を達成した。短期借入金を300百万円削減し、純資産は4,999百万円(前期末比222百万円増)に拡大。
投資有価証券売却益265百万円等の特別利益も活用し財務基盤の強化を図った。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期8,946百万円(前期比7.9%減)と2期ぶりの減収となり、過去5期では2022期9,744百万円をピークに低下傾向が続く。営業利益は341百万円(同15.1%減)で2022期553百万円から継続的に低下。
外部要因として、ファインケミカル業界の需要低迷継続・廉価販売攻勢・原材料・エネルギーコストの高騰が利益を圧迫した。当期純利益は294百万円(同130.0%増)と急増したが、投資有価証券売却益265百万円・保険解約返戻金41百万円の特別利益が主因であり、一過性の要因を除いた実力ベースの収益力は低水準にとどまる。
営業キャッシュ・フローは40百万円(前期1,261百万円)と大幅に悪化した。
成長戦略
稼ぐ力の向上・収益体質強化・持続可能性追求の3方針で収益改善を目指す
主力製品である紫外線吸収剤(当期4,289百万円、前期比12.9%減)の需要回復を図るとともに、今期原材料入手難航で計上に至らなかった新製品の次期以降の売上貢献を目指す。新製品の生産体制整備が急務となっている。
製紙用薬剤は当期341百万円(前期比37.2%増)、酸化防止剤は946百万円(同3.6%増)と拡販効果が顕在化している。引き続き既存顧客深耕と新規顧客開拓により安定的な売上成長を維持する方針。
生産休止費用は当期140百万円と前期174百万円から33百万円削減されたものの、依然として経常利益を大幅に圧迫している。一部工場での新製品生産取り込みを進めており、稼働率向上による固定費吸収が課題。
基幹システムの更新投資として無形固定資産取得108百万円を実施し、ソフトウエア仮勘定残高は154百万円に積み上がっている。システム稼働後の業務効率化・コスト削減効果の実現が期待される。
「稼ぐ力の向上・収益体質強化・持続可能性追求」の3方針のもと経常利益率5%以上を目指すが、当期実績は1.4%にとどまる。地政学リスク・原材料調達不安定化を理由に2027年3月期業績予想は非開示とされており、目標達成の見通しは不透明。
最終更新: 2026年7月19日

