地政学的問題
当社進出国における対日感情の悪化、政治的不安定化、通商政策上の対立、紛争発生により、商品の生産・供給・販売体制に悪影響が及ぶ可能性がある。世界的な物価上昇による原材料価格高騰を価格転嫁した結果、生活者の購買意欲が減退し収益性が悪化するリスクも含む。対応策として各地域の売上バランスの適正化、グローバルサプライネットワークのレジリエンス強化、全社的危機対応枠組みの整備を推進しており、前連結会計年度比でリスクレベルが上昇している。
生活者の価値観変化への対応
マクロ経済動向による生活者の所得・消費意欲の変化や、成長領域における購買行動の多様化への対応遅延により、競合に機会を奪われ計画以下の売上・利益となる可能性がある。特に当社の主力市場における需要構造の変化が経営計画の達成に直結するリスクであり、前連結会計年度比でリスクレベルが上昇している。対応策として競争力を発揮できる成長領域の明確化、カテゴリー別戦略の定義、データとAIを活用した需要予測・施策最適化を推進している。
組織能力と組織風土
優秀な人財の獲得・維持が計画どおり進捗せず、経営計画を実現する人財が不足するリスクがあり、前連結会計年度比でリスクレベルが上昇している。グローバル競争の激化に伴い、特にDX人財や専門人財の確保が困難になりつつある。対応策として2025年比3倍規模の人財開発投資(2030年目標)、ジョブ型雇用の導入、「Shiseido Future University」による次世代リーダー育成、競争力ある報酬水準の設定を推進している。
規制対応
各国における薬事規制等の変更・強化に準拠した新商品開発・既存品処方変更が適切に行えない場合、当社の技術や化粧品が規制の対象となり事業計画に多大な影響が及ぶとともに、社会・生活者からの信頼を失う可能性がある。海外約120ヵ国に展開する事業特性上、各国で異なる規制動向への対応が常に求められる。前連結会計年度比でリスクレベルが上昇しており、グローバル本社内に薬事等の規制動向モニタリング部門を設置し、各リージョン薬事部門・現地工業会・外部専門家との協働で対応を強化している。
情報セキュリティ
サイバー攻撃や不正アクセスによるシステム停止・情報漏洩が発生した場合、生産・販売等の業務停滞、顧客・取引先への損害賠償責任、当社への信頼低下が生じる可能性がある。デジタル活用の拡大や働き方の多様化・外部パートナーとの連携拡大に伴い、情報データへのアクセスポイントが増加しリスクが高まっている。対応策としてISOやNISTフレームワークを参考にグローバルSOCによるモニタリング、外部からのサイバー攻撃対策の強化、機密情報漏洩防止の予防・検知・発生後の3段階対応を実施している。
ビジネス構造改革の遅延
各地域・部門におけるビジネス構造改革が狙いどおりに進まず、収益性およびキャッシュ・フローの改善が停滞することで、2026年コア営業利益率7%・2030年10%以上という経営計画の達成に影響を及ぼす可能性がある。当社の展開市場における経済成長の鈍化に伴い化粧品市場の成長が想定以下となるリスクも重なる。対応策として注力領域への積極投資による売上成長加速、コスト最適化、全地域での収益性改善、ROIC改善に向けた取り組みを推進している。
為替変動リスク
グローバルビューティーカンパニーとして海外売上比率が高い当社にとって、円高進行は海外関係会社の現地通貨建て報告数値の円換算時に経営成績へマイナス影響を与えるとともに、海外関係会社への投資に係る為替換算調整勘定を通じて純資産を減少させる可能性がある。輸出入取引等に伴う外貨建て決済においても為替レートの大幅変動が収益に影響する。対応策として適切な為替予約等によるリスクヘッジ策の推進と、主要通貨の変動を監視し迅速に対応できる体制を整備している。
新テクノロジー・デジタル化対応
デジタルを活用した事業モデル変革・データ標準化のスピードが競合他社に対し劣後した場合、コンプライアンスリスクやコストが上昇し市場シェアが低下する可能性がある。また生成AIの活用に伴う情報漏洩・著作権侵害・不正確な情報生成に起因する問題発生リスクや、DX人財の離職リスクも顕在化している。対応策としてAI投資の強化、顧客情報を活用したパーソナライズ体験の提案、デジタルに最適化したチーム構築・人財育成、ファーストパーティーデータ取得の推進を実施している。
事業投資・のれん減損リスク
M&Aにより計上したのれんや無形資産について、投資判断時に想定していなかった水準で市場環境・経営環境が悪化し将来事業計画が未達となった場合、減損損失が生じ当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。グローバルで多数のブランドを展開する当社にとって、のれん・無形資産の規模は財務上の重要な変数となる。対応策として定期的な業績モニタリングと取締役会への報告、Investment/Divestment Committeeによる大型案件の内容精査を実施している。
サプライネットワークの途絶
為替変動・物価上昇・関税変更などの経済的要因や、自然災害・サプライヤーにおける事業・情報システム上の障害に起因し、原材料調達や物流への支障が生じ安定的な生産および供給が困難となる可能性がある。グローバルに展開するサプライチェーンは地政学的リスクとも連動しており、複合的なリスクとして顕在化しやすい。対応策としてグローバル製造・物流ネットワークの最適化、主要原材料のサプライヤー分散化・緊急時在庫確保、S&OPプロセスの高度化による需給バランス最適化を推進している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月27日

