事業内容
富士フイルムホールディングスは1934年創業の写真フィルムメーカーを源流とし、現在はヘルスケア(医療機器・バイオCDMO・ライフサイエンス)、エレクトロニクス(半導体材料・ディスプレイ材料)、ビジネスイノベーション(複合機・ソリューション・商業印刷)、イメージング(instax・デジタルカメラ)の4セグメントを擁する。連結売上高3,356,969百万円のうち海外売上高が2,188,287百万円と約65%を占め、258社の子会社・27社の関連会社を通じてグローバルに事業を展開する。
主要顧客は大手製薬会社・半導体ファウンドリー・企業オフィス・一般消費者と多岐にわたり、特定市場への依存度が低い多角的ポートフォリオが特徴である。
ビジネスモデル
写真フィルム開発で培った機能性材料・精密光学・画像処理技術を横展開し、各セグメントで高付加価値製品を提供する。ヘルスケアでは保守サービス・消耗品のリカーリングビジネスとバイオCDMOの長期製造契約(Johnson & Johnson、Regeneron等)、エレクトロニクスでは先端半導体材料の継続供給、ビジネスイノベーションではSaaS型クラウドサービス、イメージングではinstaxフィルムの消耗品需要が安定収益を支える。
設備投資(2026年3月期506,945百万円)を成長領域に集中投下し、営業キャッシュフロー(410,555百万円)を原資に持続的な成長投資サイクルを回す構造である。
企業の強み
銀塩写真研究で培った機能性分子設計・有機合成・処方技術を半導体フォトレジスト・CMPスラリー・バイオ培地・医療画像処理等に転用。NTI現像液・銅配線用CMPスラリーで世界トップシェアを保有し、2026年4月にはフッ素フリーArFレジストを世界初開発するなど、競合が短期間で模倣困難な技術蓄積を有する。
米国ノースカロライナ新工場(20,000リットル培養タンク8基)を2025年度に稼働開始し、Johnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group、Regeneron(総額30億ドル超・10年契約)、argenxとの長期製造契約を締結済み。英国拠点でも約4億ポンドを投資した原薬製造棟を2026年2月に開所し、グローバル4拠点体制を構築している。
instaxシリーズは累計販売台数1億台を突破し、2026年3月期のイメージングセグメント営業利益率は25.5%(営業利益160,003百万円)と全セグメント最高水準。instax mini Evo Cinema・mini LiPlay+等の新製品を継続投入し、2025年12月にはフィルム生産設備の増強を発表。
消耗品(フィルム)需要が安定的なリカーリング収益を生む構造が高利益率を支えている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期2,525,773百万円から2026年3月期3,356,969百万円へ4年間で33%増加し、4期連続で過去最高を更新。営業利益も2023年3月期273,079百万円から2026年3月期350,210百万円へ拡大し、営業利益率は10.4%と前期比0.1ポイント改善。
外部要因として対ユーロ円為替レートが前期164円から175円へ円安進行し、海外売上高(65.2%)の円換算増加に寄与した。一方、バイオCDMO・半導体材料への積極的な設備投資(連結581,976百万円)によりフリーキャッシュフローはマイナスに転落。
2027年3月期は売上高3,470,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益365,000百万円(同4.2%増)を予想し、増収増益基調の継続を見込む。
成長戦略
ヘルスケア・エレクトロニクスの成長加速とビジネスイノベーション構造改革でVISION2030達成を目指す
米国ノースカロライナ拠点に20,000リットル動物細胞培養タンク8基を稼働開始し、Johnson & Johnson・Regeneron等との長期製造契約を締結。英国拠点に抗体医薬品原薬製造棟を開設。第二次投資の稼働時期前倒しを進め、抗体医薬品受託需要の旺盛な伸長を取り込む。
先端レジスト・CMPスラリー・NTI現像液・液型ポリイミド等の製品群でAI半導体需要を取り込み、エレクトロニクスセグメント営業利益率22.1%を達成。Rapidusへの50億円出資完了、インドへの製造拠点用土地取得等、次世代市場への布石を打つ。
instax mini Evo Cinema・instax mini LiPlay+等の新製品でユーザー層を拡大し、フィルム生産設備増強で世界的需要拡大に対応。GFX ETERNA 55による映像制作市場への本格参入でイメージングセグメントの成長領域を拡張する。
ETG Global買収によるMicrosoft Dynamics 365を軸とした基幹システム事業の欧州・北米展開、FUJIFILM IWproへのAI機能強化、セブン-イレブンマルチコピー機へのMicrosoft Copilot活用機能開発(2026年度中提供開始予定)等でリカーリングビジネスの拡大を図る。
最終更新: 2026年7月19日

