事業内容
株式会社ティムスは、東京農工大学発の医薬シーズを起点に2005年に設立された創薬型バイオベンチャーである。可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を標的とするSMTP化合物群を中核に、急性期脳梗塞(TMS-007/JX10)、急性腎障害・がん悪液質(TMS-008)、治療抵抗性高血圧(JX09)、脊髄損傷(TMS-010)など複数の高アンメット・メディカル・ニーズ領域で臨床開発を推進する。
研究段階から早期臨床段階までを自社で担い、後期開発以降はグローバル製薬企業との提携によりマイルストーン・ロイヤリティ収入を得るモデルを採用。2022年11月に東京証券取引所グロース市場に上場し、現在は収益なき先行投資段階にある。
ビジネスモデル
自社では研究段階から早期臨床段階(前期第Ⅱ相まで)を担い、後期臨床開発以降は国内外の製薬会社に開発製造販売権を付与する。対価として契約一時金・開発マイルストーン・販売マイルストーン・ロイヤリティを受領する。
TMS-007ではバイオジェン社(現CORXEL)との契約で既に2,200万ドルを受領済みであり、今後最大3億6,750万ドルのマイルストーンおよびロイヤリティ受領権を保有する。現状は販売実績なく、資金調達は増資・新株予約権行使が主体。
企業の強み
TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験(90例)において、90日後mRS0-1転帰率がTMS-007群40.4%対プラセボ群18.4%と統計的有意差(P値<0.05、調整オッズ比3.34)を達成。症候性頭蓋内出血はTMS-007群0%(0/52例)と安全性も示唆され、グローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相試験「ORION」への移行根拠となった。
バイオジェン社とのオプション契約締結(2018年)、オプション権行使(2021年)を経て、現在はCORXELとの契約に基づき開発マイルストーン最大1,250万ドル・販売マイルストーン最大3億5,500万ドル・段階的ロイヤリティ(一桁%台後半~10%台前半)の受領権を保有。既受領額は2,200万ドル(契約金400万ドル+オプション行使料1,800万ドル)。
東京農工大学・北海道大学・昭和医科大学・東北大学等との特許譲渡・ライセンス契約を通じ、TMS-007/008/009/010・JX09・レゾルビン類縁体と複数の臨床・前臨床パイプラインを保有。2025年11月には北海道大学から生理活性脂質レゾルビン新規安定類縁体を新たに導入し、パイプライン拡充を継続している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年12月期1Q(2026年1月~3月)は営業収益ゼロ、営業損失203百万円、経常損失203百万円、四半期純損失204百万円。過去の年間実績は2023期△520百万円、2024期△943百万円、2025期△908百万円(いずれも営業利益)と損失が継続。
1Qの損失縮小は研究開発費の執行タイミングによる部分が大きく、通期では研究開発費600百万円~900百万円、その他費用300百万円~400百万円の合計900百万円~1,300百万円の費用発生が見込まれる。外部環境として急性期脳梗塞治療の未充足医療ニーズは依然大きく、市場環境としてはリードパイプラインの価値を支える背景となっている。
成長戦略
リードパイプラインのグローバル臨床進展とアカデミア連携・AI創薬によるパイプライン拡充
CORXEL主導のグローバル第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験「ORION」において被験者登録が順調に進捗。2026年2月に日本での初回投与が実施され、当社は日本における治験依頼者として参加。試験完了・承認申請によるマイルストーン収入の獲得が最大の価値実現イベント。
心臓手術後急性腎障害(CSA-AKI)を対象とした前期第Ⅱ相臨床試験の実施に向け、2026年2月にPMDA事前面談を受け対面助言準備中。未充足医療ニーズが高い領域であり、試験開始・進捗がパイプライン価値の拡大に寄与。九州大学との共同研究開始により適応拡大の可能性も検討中。
北海道大学とのライセンス契約(2024年7月)により取得した脊髄損傷治療薬候補。1Qに薬効薬理試験を実施し製剤処方を決定。血液脳脊髄関門の破綻防止による神経保護作用が期待され、有効な薬剤が存在しない領域での開発を進める。
AIを活用した化合物生成・天然物ライブラリースクリーニングにより新規sEH阻害剤候補を取得し、複数疾患動物モデルで効果を確認。北海道大学導入のレゾルビン新規安定類縁体の適応可能性検討も継続。社内・社外の2軸でパイプラインの多様化を推進。
最終更新: 2026年7月17日

