研究開発の不確実性
医薬品の研究開発は基礎研究から承認取得まで長期間・多額の投資を要し、臨床試験の失敗や規制当局の指導により開発が遅延・中止となるリスクがある。特にBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)はがん治療分野での競争が激しく、開発パイプラインの優位性が低下する可能性がある。当社は発生回避と適切な対応に努める方針だが、その成否には不確実性を伴う。
製造委託先の破産と供給再構築
2025年9月5日付でステボロニン®の製造委託企業が破産手続きに入り取引を停止した。当社は新たな製造委託先との開発委受託契約を2025年10月2日付で締結し生産移管を進めているが、移管の進捗状況によっては製品の安定供給が困難となり、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。安定供給体制の再構築を最優先課題と位置づけ対応中である。
仕入先(ステラケミファ)への依存
ステボロニン®の原薬製造に不可欠なB-10(ホウ素安定同位体)の高純度濃縮技術は国内でステラケミファのみが保有しており、代替品が存在しない。災害等により同社との取引・生産が停止した場合、ステボロニン®の製造販売が困難となる。独占的取引基本契約は承認取得日から10年間有効(以後自動更新)だが、10年経過後に独占権が付与されない場合も財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
BNCT事業の特異性・加速器依存
BNCTはホウ素薬剤と中性子線照射装置(加速器)を組み合わせるコンビネーションプロダクトであり、医療機関への加速器設置の進捗が事業拡大の前提となる。加速器の研究開発・製造販売の遅延や設置済み機器の不具合が生じた場合、BNCTによる治療が制限され当社の収益に直接影響する。住友重機械工業以外の加速器メーカーも研究開発を進めているが、設置状況の不確実性は依然として高い。
資金繰りと継続企業リスク
研究開発費の先行投資により継続的に営業損失・マイナスキャッシュフローが生じており、繰越利益剰余金はマイナスの状態にある。必要なタイミングで資金調達ができない場合、事業継続に重大な懸念が生じる可能性がある。当社は適切な時期に資金調達を実施し財務基盤を強化する方針だが、調達の確実性は保証されていない。
有利子負債と財務制限条項
借入金には財務制限条項が設定されており、抵触した場合は期限の利益を喪失し事業継続に重大な懸念が生じる。有利子負債の総資産比率は2025年3月期14.2%から2026年3月期16.7%へ増加に転じており、今後の事業拡大に伴い借入金がさらに増加する可能性がある。金利の急激な変動や金融情勢の変化により計画どおりの資金調達ができないリスクも存在する。
販売計画の不確実性
自社販売モデルを採用しているが、加速器の設置進捗や患者数見積りの精度により実績と計画に乖離が生じる可能性がある。BNCTの治療実績数は臨床研究を含めても限定的であり、適した症例数・施術数は未知であるため、販売計画が想定どおりに進捗しないリスクがある。計画未達の場合、棚卸資産・固定資産の評価損や減損損失の計上が検討される可能性がある。
薬事規制・薬価改定リスク
医薬品業界は薬事関連法規・医療保険制度により研究・開発・製造・販売の各段階で規制を受けており、法令違反等により第一種医薬品製造販売業許可(有効期限2028年6月)が取り消された場合、製品の回収・製造販売中止を求められる可能性がある。また、日本国内では定期的な薬価引下げが実施される傾向にあり、想定する保険価格が付されないリスクがある。これらは財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
小規模組織・人材依存リスク
当事業年度末現在、社外取締役を除く取締役4名・従業員47名の小規模組織であり、経営陣・各部門責任者・少数の研究開発人員に事業活動が強く依存している。優秀な人材の確保・育成が順調に進まない場合や人材流出が生じた場合、事業活動に支障が生じる。2007年設立の社歴の浅い企業であり、未経験のトラブルへの組織的対応能力にも未知のリスクが存在する。
新株発行による株式希薄化
将来の研究開発活動拡大に伴い増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施する可能性があり、1株当たりの株式価値が希薄化するリスクがある。当事業年度末現在、ストック・オプションによる潜在株式数は888,800株(発行済株式総数34,034,100株に対する割合2.61%)であり、権利行使時にも希薄化が生じる。今後も優秀な人材確保のためインセンティブ・プランを継続する可能性がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

