継続企業前提の重要疑義
主要パイプライン(脊髄損傷急性期)の承認申請が2025年7月に追加臨床試験の実施決定により延期となり、継続的な営業損失と営業キャッシュ・フローのマイナスが続く中、資金繰りの余裕度が低下し、継続企業の前提に重要な疑義が生じていると会社自身が判断している。対応策として2025年7月16日の取締役会で第三者割当による第16回新株予約権の発行を決議し、2025年8月1日に割当を実施したほか、パイプライン見直しによるコスト削減や補助金活用を進めている。現時点では重要な不確実性はないと判断しているが、新株予約権の行使が計画通り進まない場合は事業継続に重大な懸念が生じる可能性がある。
パイプライン開発の不確実性
脊髄損傷急性期(KP-100IT)は第Ⅲ相試験の速報結果取得後にPMDAとの協議を経て2025年7月に追加臨床試験の実施を決定しており、承認取得時期が大幅に後退した。声帯瘢痕(VFS)は第Ⅲ相試験を8施設で進行中、ALSは第Ⅱ相試験終了後にバイオマーカー解析を継続中であり、いずれも臨床試験で期待通りの結果が得られない可能性や重篤な副作用による試験中断リスクが存在する。開発が遅延または中止となった場合、収益自体が計上できない状況に至る可能性がある。
資金調達・資金繰りリスク
当社は研究開発先行型のビジネスモデルであり、第24期事業年度の研究開発費は681,359千円(販売費及び一般管理費の69.4%)に達し、継続的に当期純損失を計上している。KP-100ITの販売本格開始までの事業資金は過去の増資・株式公開調達資金で賄う計画だが、開発遅延により資金がひっ迫する可能性がある。適切なタイミングで追加資金調達ができない場合は事業継続に重要な懸念が生じ、増資実施時には1株当たり株式価値の希薄化が生じる。
薬事規制・承認取得リスク
当社は薬機法に基づく第1種医薬品製造販売業の許可取得および製造販売承認の取得を目指しているが、薬機法違反や法改正への対応不備があれば許可が取り消される可能性がある。また、組換えヒトHGFタンパク質製品の品質・有効性・安全性がPMDAに認められない場合、製造販売承認が得られない可能性がある。薬機法以外の法令への抵触による行政処分リスクも存在し、これらが発生した場合は事業の根幹に影響を及ぼす。
マスターセルバンク使用許諾リスク
当社は組換えヒトHGFタンパク質製造の起点となるマスターセルバンクについて、株式会社ニューロゲンから使用許諾を受けており、これは主要な事業活動の前提となっている。現時点では継続使用に支障をきたす要因は発生していないが、何らかの理由により使用許諾契約が解除された場合、医薬品開発事業に重大な影響を及ぼす可能性がある。当社はGMP準拠によりマスターセルバンクを適切に保管し、ニューロゲンとの良好な関係を維持することでリスク低減を図っている。
製造外部委託・サプライヤー依存
当社は原薬・製剤の製造を外部委託しており、特殊な原材料・消耗品等を少数のサプライヤーに依存しているため、サプライヤー側の事情による供給停止や委託先の製造不能が生じた場合、医薬品の安定供給に重大な支障が生じる可能性がある。また、製造に関する技術・ノウハウは特許出願せずノウハウとして保持する戦略をとっているため、秘密保持契約等の措置にもかかわらず流出した場合は製造上の優位性が失われるリスクがある。セカンドサプライヤーの検討や一定の在庫確保を進めているが、完全な回避は困難としている。
提携先企業への依存リスク
脊髄損傷急性期治療薬の国内販売については丸石製薬株式会社(独占的販売権)および東邦ホールディングス株式会社(独占的卸売販売)と契約を締結しているが、相手先の経営環境悪化や方針変更により販売・供給が実現しない場合、売上が計画を下回る可能性がある。また、米国クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約についても、同社の開発進捗が滞った場合はHGF原薬の売上が減少するリスクがある。VFS・ALS・海外SCI急性期については現時点で製薬企業等との提携が未確定であり、事業展開の遅延リスクが存在する。
知的財産侵害リスク
当社は事業展開において種々の知的財産権を使用しており、第三者の知的財産権への抵触を回避するための調査・検討を随時実施しているが、係争が生じる可能性を完全に排除することは困難である。これまで第三者との訴訟発生の事実はないものの、事業進捗に伴いリスクは増大するとしており、知的財産権紛争が生じた場合は業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。主要パイプラインについては日本・欧州・米国・中国等で特許を権利化しており、自社知的財産の保護体制を整備している。
小規模組織・特定人物依存
当社は取締役7名・監査役3名・従業員17名の小規模組織であり、医薬開発部・信頼性保証部は取締役2名と従業員13名で構成されている。代表取締役社長の安達喜一が経営方針決定および事業活動全般に重要な役割を果たし、研究開発においても特定従業員への依存が強い。計画通りの人材採用が行われない場合や人材流出が生じた場合、研究開発活動の遅延や内部管理体制の不備が生じる可能性がある。
新株予約権による株式希薄化
当社はストック・オプション制度を採用しており、当事業年度末現在の新株予約権による潜在株式数は340,000株で、発行済株式総数と潜在株式数の合計に対して4.6%を占めている。さらに、継続企業の前提に関する疑義解消のため2025年8月1日に第三者割当による第16回新株予約権を発行しており、今後も資金調達目的での新株予約権発行の可能性がある。新株予約権の行使が進んだ場合、発行済株式総数の増加により1株当たりの株式価値が希薄化する可能性がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月27日

