事業内容
クリングルファーマは2001年設立の大学発創薬バイオベンチャーで、大阪大学名誉教授・中村敏一氏が発見したHGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を唯一の創薬シーズとして難治性疾患治療薬の開発を行う。脊髄損傷急性期・声帯瘢痕・ALS・急性腎障害の4疾患で臨床試験を実施済みまたは進行中。
自社での医薬品製造販売承認取得を基本方針とし、承認後は丸石製薬・東邦ホールディングスとの提携によるサプライチェーンを活用した販売を想定。2020年12月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)に上場。
現在は脊髄損傷急性期と声帯瘢痕の2パイプラインに経営資源を集中している。
ビジネスモデル
現時点の売上は米国クラリス・バイオセラピューティクス社からの技術アクセスフィー(年間定額ロイヤリティ)が唯一の収益源(2025年9月期:72百万円)。承認後は契約一時金・開発マイルストーン・販売マイルストーン・ロイヤリティ・製品販売の複合収益を想定。
製造は外部受託機関に委託し、販売は提携先(丸石製薬・東邦HD)に依存する軽資産モデルを採用。公的資金(AMED-CiCLE)や新株予約権行使による増資で開発費を補填している。
企業の強み
第Ⅰ/Ⅱ相試験でASIA motor scoreの20週時に有意差を確認しPOCを取得。2019年9月に国内で希少疾病用医薬品指定、2025年6月にはFDAより米国でもOrphan Drug Designationを取得。優先審査・開発費助成等の制度的優遇を国内外で確保している。
HGF製剤組成に関する特許2件(HGF製剤・神経疾患治療に適したHGF製剤)を日本・米国・欧州・カナダ・韓国の5カ国・地域で権利化済み。物質特許失効後も製剤特許によりグローバルでの事業展開に有利な知財環境を構築している。
脊髄損傷急性期製品(KP-100IT)について、救急領域スペシャリティファーマの丸石製薬と独占的販売許諾契約(承認後15年間)、東邦ホールディングスと独占的卸売販売権契約を締結済み。承認時点で即座に商業販売を開始できる体制が整備されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期中間期(2025年10月〜2026年3月)の売上高は36百万円(前年同期比2.2%増)、営業損失515百万円、中間純損失516百万円。売上高は全額ロイヤリティ収入で構造的変化はない。
通期予想は売上高332百万円(前期比360%増)と急増するが、これはクラリス社への原薬供給収入(2026年4月認識)によるもので一過性。過去5期の営業損失は358〜909百万円の範囲で推移し、2026年3月期中間期の販管費552百万円は前年同期比0.8%増と微増。
総資産は1,989百万円(前期末比4.4%減)、純資産は948百万円(前期末比27.6%減)と財務基盤の縮小が続く。自己資本比率は45.9%(前期末61.5%)に低下。
成長戦略
脊髄損傷急性期の国内承認取得を最優先とし、声帯瘢痕・米国展開・適応拡大で企業価値を最大化
第Ⅲ相試験速報結果を踏まえPMDAと協議の結果、2025年7月に追加臨床試験の実施を決定。第Ⅰ/Ⅱ相・第Ⅲ相の知見を基に成功確度の高い試験を立案し、有効性追加データ取得後に承認申請を行う予定。第16回新株予約権の行使資金を治験費用に充当。
2026年1月に8施設での最終症例組入れが完了。AMEDのCiCLE事業による公的資金支援を活用しながらデータ解析を進め、承認申請を目指す。市販製剤開発費用調達のため2025年8月に新株予約権を発行済み。
2025年6月にFDA希少疾病用医薬品指定を取得、2025年11月に米国子会社Kringle Pharma USA, Inc.を設立。北米KOLとの連携体制を構築し、IND申請に向けた準備を進めている。
License and Supply Agreementに基づく毎年定額の技術アクセスフィーに加え、原薬供給による収益を確保。2023年9月からは製造法効率化に向けた業務提携も開始し、グローバル供給体制の構築を目指す。
特発性肺線維症(金沢大学)、ペロニー病(神戸大学)、末梢神経障害(慶應義塾大学)、難治性創傷(京都大学)など新規適応への探索研究を推進。線維化疾患を中心に適応拡大の可能性を広げ、企業価値の底上げを図る。
最終更新: 2026年7月17日

