事業内容
NCD株式会社(旧・日本コンピュータ・ダイナミクス)は1967年創業の独立系SIer。保険・金融・建設業向けシステム開発を主軸とする「システム開発事業」(売上高12,729百万円)、インフラ構築・運用と業務サポートを担う「サポート&サービス事業」(9,961百万円)、駐輪場の設営・運営・管理受託を行う「パーキングシステム事業」(8,128百万円)の3セグメントで構成される。
主要顧客はメットライフ生命保険をはじめとする保険・金融機関、建設業、小売業など。国内6子会社と中国現地法人を擁し、グループ連結売上高は30,867百万円に達する。
ビジネスモデル
IT関連事業ではアプリケーション保守・インフラ運用等の継続的な受注を積み上げ、安定的な売上基盤を形成する。パーキングシステム事業では自営駐輪場の利用料収入(ストック型)と機器販売・管理受託(フロー型)を組み合わせ、料金改定による採算性向上を図る。
両事業の収益構造が異なるため、景気変動に対する耐性を持つ複合型ビジネスモデルを構築している。
企業の強み
メットライフ生命保険1社だけで売上高の17.7%(5,463百万円)を占め、保険会社向けアプリケーション保守の拡大が継続している。システム開発事業の受注残高は前期比39.4%増の2,867百万円に達しており、既存顧客との長期継続関係が収益基盤を支えている。
売上高の約41%をITと異なる業種であるパーキングシステム事業が占め、IT投資サイクルの変動リスクを分散する構造を持つ。駐輪場利用料収入はストック型で安定しており、2026年3月期も料金改定効果により堅調に推移した。IT事業と非IT事業の組み合わせは競合SIerにはない固有の特性である。
2024年3月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を全社で取得。従来はITサービス事業部単体での認証にとどまっていたが、グループ全体への拡張を完了した。保険・金融機関を主要顧客とする事業特性上、セキュリティ体制の整備は顧客維持・新規獲得における競争優位として機能する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期20,550百万円から2026年3月期30,867百万円へ5期連続増収を達成したが、成長率は2025年3月期の18.1%から2026年3月期は2.5%へ大幅に鈍化した。営業利益は2026年3月期2,638百万円と前期比6.1%減に転じ、営業利益率は9.3%から8.5%へ低下。
主因は採算性の高い大型案件の終了、賃上げを含む人件費増加、外注費上昇、パーキングシステム事業における通信回線変更コスト等の一過性費用。外部環境としてIT投資は堅調に推移し生成AI活用需要も拡大しているが、中途採用市場の競争激化と外部要員費上昇が業界全体のコスト構造を押し上げている。
2027年3月期は売上高32,000百万円(同3.7%増)、営業利益2,750百万円(同4.2%増)を予想しており、緩やかな回復を見込む。
成長戦略
Vision2029でITフルアウトソーシング拡大・駐輪場DX・新規事業創出を推進
顧客のITライフサイクルを包括的にサポートするITフルアウトソーシングの推進により既存顧客の領域拡大と新規顧客獲得を図る。生成AI等先端ITの積極活用によるコンサルティング機能拡充で上流工程案件の受注拡大を目指す。
2026年3月期はサポート&サービス事業が前期比5.9%増収・7.9%増益と成果を示した。
月極駐輪場管理システム「ECOPOOL」の拡販、独自プライシングモデルの確立、ITを活用した管理運営の最適化により自営駐輪場の採算性向上を継続する。次世代駐輪システムの開発を進め、電動キックボード等多様なモビリティへの対応と新規需要の取り込みを図る。
2026年3月期は通信回線変更コスト等の一過性費用が発生し減益となったが、利用料収入は堅調に推移した。
賃上げを含む人的資本経営の積極推進、高度IT人材の育成、即戦力となる中途採用者の確保に注力する。Vision2026最終年度においても継続投資を実施しており、Vision2029においても戦略投資として人的資本への投資を計画。短期的にはコスト増要因となるが、中長期的な競争力強化の基盤となる。
「その他」セグメントを通じた新規事業創出への投資を継続し、主要3セグメントとのシナジー創出を図る。2026年5月15日に従業員向けインセンティブ・プラン(ESOP)の導入と自己株式の処分を決議しており、従業員エンゲージメント向上と人材定着を通じた持続的成長基盤の構築を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

