モバイル事業の競争・収益リスク
楽天モバイルはNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクなど強固な顧客基盤を持つ既存MNO・MVNOとの価格競争にさらされており、サービスの同質化も進んでいる。競合他社が安価な通信サービスを展開した場合、新規ユーザー獲得・維持が困難となり、契約者数や顧客単価が計画水準に達しない可能性がある。「楽天エコシステム」との連携による差別化施策を推進しているが、期待どおりの効果が得られない場合、モバイルセグメントの収益が当社グループ全体の経営成績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
資金調達・財務制限条項リスク
当社グループが締結するローン契約・社債には財務制限条項が規定されており、経営成績や信用力の悪化により違反した場合、既存借入金・社債の一括返済や担保権設定を迫られる可能性がある。格付機関による信用格付引き下げや金融市場の悪化により、好条件での資金調達が困難となりサービス展開の制約要因となりうる。また、社債の初回任意償還日での期限前償還を見送った場合、将来の有価証券発行条件に悪影響を及ぼす可能性がある。
フィンテック規制・AML対応リスク
楽天カード・楽天銀行・楽天証券・楽天生命保険等の金融グループ会社は各種業法・金融関連法令・監督官庁ガイドラインの適用を受けており、免許取消や業務停止命令を受けた場合、グループ全体の事業・経営成績に重大な影響が生じる。特にFATF第5次対日相互審査を含む国際的なAML/CFT規制強化への対応が求められており、マネー・ローンダリング抑止が不十分と判断された場合には行政処分・業務制限のリスクがある。関連法令の新設・改正により競争環境の変化や追加コストが発生する可能性もある。
情報セキュリティ・個人情報漏洩リスク
当社グループは1億以上の会員IDを保有し、オンライン・オフライン双方の大量データを活用しているため、サイバー攻撃・不正アクセス・内部不正等による個人情報漏洩リスクが高い。情報漏洩が発生した場合、監督官庁からの行政処分、損害賠償請求、ユーザー・取引先の離反、社会的信用の毀損が生じる可能性がある。三つの防衛線モデルに基づくリスク管理体制やIT-BCPを整備しているが、完全な排除は困難と認識している。
モバイル設備投資・有形固定資産減損リスク
楽天モバイルは通信ネットワーク構築に必要な大規模な有形固定資産を保有しており、将来キャッシュ・フローの低下が見込まれる場合には減損損失を認識する必要がある。基地局設置に係る地権者との協議や他通信事業者との連携が計画どおりに進まない場合、追加費用の発生や通信機器売上の減少が生じる可能性がある。プラチナバンド(700MHz帯)の展開や低軌道衛星を活用したモバイル通信試験も進めているが、事前検証結果次第では予定どおりのサービス提供ができない可能性がある。
AIリスク・ガバナンス
当社グループはサービス全般でAI・生成AIの利用を積極的に推進しており、個人情報漏洩・知的財産権侵害・誤情報の流布・意図せぬバイアスの助長等のリスクエクスポージャーが増大している。生成AIによるサイバーセキュリティ脅威への対応として出力フィルタリングや個人情報の入出力管理等の対策を講じているが、これらが不十分な場合、社会的信用の毀損・損害賠償請求・監督官庁からの行政処分を受ける可能性がある。AI&データ委員会でグループ横断のAIガバナンス・リスク管理戦略を策定し、取締役会への定期報告体制を構築している。
楽天エコシステム戦略リスク
当社グループは1億以上の会員IDを核とした「楽天エコシステム」による事業間シナジーの最大化を中核戦略としているが、複数サービスの相互利用促進が期待どおりの効果を上げられない場合、グループ全体の収益最大化が困難となる。デジタルプラットフォーム・メンバーシップデータの利用方法やリワードプログラムに関する法令が不利益な内容に改正された場合、エコシステム戦略の根幹に影響が及ぶ可能性がある。また、一つのサービスブランドで信頼性を毀損する事案が発生した場合、「Rakuten」ブランド全体に波及するリスクがある。
M&A・投資の減損・統合リスク
当社グループは国内外でのM&A・合弁事業・ベンチャー投資を経営の重要戦略と位置づけているが、十分なデューデリジェンスが実施できない場合、買収後に偶発債務や未認識債務が判明する可能性がある。情報システム統合・内部統制統一・人材維持が計画どおりに進まない場合や、事業環境の変化により投下資本の回収が困難となった場合、のれん等の減損処理が必要となる可能性がある。合弁事業においても双方の経営方針に相違が生じ、期待どおりのシナジー効果が得られないリスクがある。
海外事業展開・地政学リスク
当社グループは米州・欧州・アジア等でECを含む各種サービスを展開しており、言語・法令・税制・商慣習の違いや政治的不安定性、外国政府による規制の予告なき変更等のリスクにさらされている。地域紛争や国家間の経済制裁による輸出入・外資規制、世界的なインフレ・金利急変・為替不安定性が顕在化した場合、事業継続が困難となりサービス停止・事業撤退を余儀なくされる可能性がある。楽天シンフォニーのグローバルOpen RANビジネスも収益化まで時間を要し、カントリーリスクによるサービス展開遅延リスクを内包している。
繰延税金資産の回収可能性リスク
当社及び一部の連結子会社はIFRS会計基準に基づき繰延税金資産を計上しているが、将来課税所得の見積りが下方修正された場合、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断される可能性がある。税制・会計基準の変更が行われた場合にも繰延税金資産が減額され、経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。モバイル事業の先行投資による損失計上が続く中、課税所得の見通しは不確実性が高い状況にある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月27日

